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第4話 書斎

 翌朝の書斎。

 昨夜の二人の他、小型の機械が一体、中空に浮かんでいた。


 丸い頭部と、角の取れた角錐の胴体。

 体の両側面には櫂のような羽根が後ろへと伸びている。


 ギルベルト・カーライル。

 レオンハルトの父親の記憶と意識を宿した機械に向け、レオンハルトは昨夜のミナトとのやり取りを簡潔に彼へ伝えている。


「そう言う訳で、貴方には俺の恨み節を聞いてもらう。

 覚悟してくれ。」


 そこはかとなく意地の悪そうな笑みを見せ、機械に向けてレオンハルトは語りかけた。

 その言葉を聞いた機械は、瞳に当たる部分の光を落とし、覚悟を決めたような声を絞り出した。


「解っている。

 いくらあの様に和解できたとしても、やはり消化できないしこりはあるだろう。

 この際だ。吐き出せるものは、すべて吐き出してくれ。

 私はどんな恨みも受け入れよう。」


「まあまあ。」


 悲痛ともいえる声音で語るギルベルトに対し、助け舟を出す形でミナトが口を開いた。


「レオンはああ言ってるけど、そこまで根深いものじゃないと思いますよ?

 もしそうだったら、こんな顔をするわけないじゃないですか。」


 ギルベルトの目が青く光った。

 その瞳の先には、苦笑したレオンハルトが執務用の椅子に腰かけ、肘掛けに頬杖をついている。


「ミーナの言う通りだ。

 恨み節ではあるが、以前考えていたほどに苛烈な勢いは出ないと思う。

 そもそも自分の記憶は、『回路(サーキット)』に焼き付けた時に閲覧されているはずだ。」


「うむ……。

 だが、私も断片的な情報を得ているに過ぎない。

 それに君が自身の口で語る事によって、感情の整理もつくだろう。」


 ギルベルトの言葉が途切れ、レオンハルトは表情を引き締め、心を静めるように瞳を閉じた。


「そうだな……。

 まあ、思い出しながらの昔語りだ。

 あやふやなところは勘弁してくれ。」


 それだけ言うと、レオンハルトは静かに語り始めた。


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