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第2話 ユリウス・リーマン

「レオンの魔導学の先生ってことは、やっぱり……?」


 ミナトの疑問に対し、レオンハルトが即座に返答した。


「そう。魔導士ユリウス・リーマンその人だ。

 こちらは先に出た『自称・魔導士』なんかじゃない。

『魔導士かく有るべし』を地でいっていた、押しも押されもせぬ本物の中の本物と言うべき魔導師だ。」


 恐らくこの魔導師の名を口にする事を誇りに思っているのだろう。

 やや興奮気味にレオンハルトは一気にまくし立てた。

 それを聞いたギルベルトが、どことなく困った様子で口を挟む。


「流石に褒め過ぎな気もするがな……。

 だが、あいつのことだ。

 修業は結構厳しいものだったんじゃないか?」


 馴れ馴れしいギルベルトの言葉に、少しむっとした表情を見せるレオンハルト。

 だが一瞬考えると、すぐに納得した表情を見せてきた。

 ギルベルトがユリウスと親友の間柄だったことを思い出したのだろう。

 成程、こんな物言いも仕方ないか、と苦笑して返答を始める。


「厳しかったさ。

 朝は日が昇る前に起床して瞑想。

 朝食を挟んで魔導理論を高密度でみっちり仕込まれる。

 昼食後は、日が暮れるまで魔法の実践。

 日が暮れた後は、翌日に備え、書庫に籠って復習と予習で日付が変わっていたぐらいだ。」


「すご……それって、魔法についてだけだったの?」


 レオンハルトの語ったスケジュールを聞き、ミナトが驚愕の声を漏らす。


「無論、他の勉強も見てもらったよ。

 特に重点的に見てもらったのは、やはり数学・数理。

 あとは何と言っても、遺跡工学の基礎知識だ。」


 レオンハルトの返答に、今度はギルベルトが得意げな声で話し始める。


「その辺は詳しいだろうな。

 なにせ、私とよく一緒に遺跡の発掘調査に携わっていたんだ。

 色々な遺物や出土品も見ることができたんじゃないかな?」


 レオンハルトは苦笑しながら、話を続ける。


「まあな。その中でもやはり『回路(サーキット)』は特に目を惹かれた。

 幼心にその神々しい輝きは眩いほどだった。

 更にはその正体を聞いたことで、なおのこと興味が沸き上がった。

 いま、自分がこういった形で遺跡の発掘と遺物の研究に携われているのも、やはり先生のおかげだとしか言いようがない。」


 苦笑から、微笑みへ。レオンハルトの頬がほころぶ。

 そんなレオンハルトの横顔を見ているミナトには、そこはかとない影が浮かんでいた。


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