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序章

■■  霹靂閃電へきれきせんでん  ■■


 雷雨の夜、窓に激しく叩きつける雨粒が高校の廊下をひときわ異様な雰囲気に包んでいた。宮本拓也と佐藤健太は、放課後の学校に残り校舎内を歩き回っていた。二人はその日、偶然にも鍵を拾ったのだ。それは既に使われなくなった天文部の部室の鍵だった。


「ここ、ずっと使われてないよな。」拓也が言った。


「そうだな、なんで鍵が落ちてたんだろうな?」健太が答える。


二人の背後には、彼らの同級生である佐々木玲奈が立っていた。玲奈は不安げな表情を浮かべながら、二人に追いつこうとしていた。


「ちょっと、二人とも本当に行くの?」玲奈は声を張り上げた。


「大丈夫だよ、玲奈。ちょっと見るだけだ。」健太は軽く答えた。


「だって、天文部って3年前に当時の部長さんが行方不明になった時、最後に目撃された場所でしょ?」玲奈の声は微かに震えている。


鍵穴に鍵を差し込むと、古びたドアはきしむ音を立てて開いた。部屋の中は暗く、湿っぽい空気が漂っていた。電灯のスイッチを入れると、薄暗い光が室内を照らし出した。ひととおり見渡してみると、部屋の隅に妙に複雑な機械装置が置かれていた。


「何だこれ?」拓也が驚いた声を上げた。


「見たことないな。天文部の残骸か何かか?」健太も不思議そうに装置を見つめた。


玲奈は一歩後ずさり、「やめた方がいいよ。こんなところ、何か危ないに決まってる。」


しかし、二人は玲奈の言葉を無視して装置をいじり始めた。よくわからないスイッチやダイヤルを回し、試行錯誤を繰り返した。玲奈は不安げに窓辺から部屋の外を見ていたが、その瞬間、外で激しい雷鳴が轟くと共に刹那の間も開けず、強烈な稲妻が校舎屋上の避雷針に直撃した。


「きゃあっ!」玲奈が叫ぶと同時に装置が突然、異常な音を立てて起動し始めた。


「何だこれ?」拓也が叫んだ。


「わかんねぇ、でも止められない!」健太も叫び返した。


装置から放たれた眩しい光が部屋中を照らし出し、瞬く間に二人を包み込んだ。玲奈は目を閉じ、光から身を守ろうとしたが、ぼやける視界が幾分晴れてきた時、部屋の中には拓也と健太の姿が消えていた。


「拓也!健太!」玲奈は叫びながら部屋中を見回したが、二人の姿はどこにもなかった。消えた二人を探し求めて、玲奈は途方に暮れ、ただ立ち尽くすしかなかった。


雷雨の音が再び耳に届く中、玲奈は一人きりで謎の装置の前に立ち続けた。彼女の心には、深まる不安と疑問が渦巻いていた。


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