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緊張と緩和

作者: 雉白書屋

 困った困った、えらいことだと地球人類は頭を抱えていた。

 ある時、飛来した宇宙船。出迎えた人々に彼らはジルタ星人と名乗った。と言っても、最低限の言葉しか覚えては来なかったようだ。それも仕方がない。相手が格上。後々知ることになるが地球の文明レベルが一応、最低レベルではあるが宇宙政府の定める基準に達したので交流にやってきたらしい。ゆえに地球人類側は身振り手振り、知識を総動員、媚びへつらいどうにか彼らと友好関係を結び、ホッと一息。

 と、それを皮切りに続々と他惑星の宇宙人らがやってきたのはいいが、どうも今度地球にやってくる、アロウロ星人というのが、とんでもなく偉い宇宙種族なのだと何度目かの交流の最中、ジルタ星人が教えてくれた。機嫌を損ねると星丸ごと破壊されるかも……と忠告付きで。どこか面白がっているようではあったが文句は言えない。それにこれはある種、成人の儀のようなもので乗り越えれば一目置かれ、ようやく真の仲間入りとなれるかもしれない。

 外国のお偉いさん、または教師の家庭訪問など比較にはならない。アロウロ星人はあと数年で地球に到着するという。人類一丸となってこの問題に取り組もうと人類崩壊の危機に手を取り合うのは映画だけの話ではないと証明。各国は心を一つにした。

 掃除掃除。環境整備。汚いものを隠せ。ゴミゴミゴミ燃やせ燃やせ川を綺麗にエコエコエコエコ。殺せ殺せゴキブリゴキブリネズミネズミハエカラスホームレスを、と次第に苛烈になっていったが、どうにか白を基調とした美しい都市で当日を迎えることができた。


 宇宙船からレッドカーペットの上に降り立ったアロウロ星人。翻訳装置は入手済みである。


「話に聞いていたよりも綺麗じゃないか」


 と、なぜか不満顔でそう言ったアロウロ星人に一同、疑問であったがその理由はすぐにわかった。


「え、ええ、あ、ありがとうござウオエエエェェェェ」


 その見た目もさることながら、あまりの悪臭に耐え切れず地球代表、大統領総理に軍関係者他政治家宇宙局職員マスコミ野次馬その他もろもろオロロロ嘔吐嘔吐。

 と、それを受け最高の歓迎の挨拶だと喜んだアロウロ星人の使節団。

 舌を伸ばしペロペロジュルジュルと吐瀉物を味わい、見事気に入られ、地球は彼らの別荘地になっただけでなく、どうも馬が合い、彼らと盟友となり、またこれまでの緊張の反動もあってか地球は無事、汚物まみれの星と化したのだった。

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