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アストラルボディ  作者: 薔薇クーダ
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闇の聖域とやくざ

ネット社会でジンの「闇の仕置人」が「闇の聖域」と呼ばれ出した事に

憤りを感じている者達がいた。

それはやくざであり特に大阪で最大の組織力を誇る八十島組だった。

八十島は何とかその「闇の仕置人」を潰してやろうと思っていたが

相手の素性が全く掴めない。

そこで一人浮かび上がったのが私立探偵の田所順平だった。

八十島はその田所順平に標的を絞った。

 ネットで「闇の仕置人」達の事を「闇の聖域」と言われ始めた時、それを良しとしない勢力があった。


 それは当然暴力を生業とする者達だ。俗にやくざと呼ばれる者達の事だ。


 自分達をさておいて何が「闇の聖域」だ。舐めるのもいい加減にしろと憤っていた。俺達こそが「闇の聖域」だと。


 普通ならここで敵対する者は潰す所だが、相手が分からない。名前だけではない、その素性も住処すら分からないでは攻めようもなかった。


 例えどんなに大きな組織であっても、相手の居所がわかってさえいればそれなりに攻略の仕様もあるし、相手の弱点を探す事も出来るだろう。


 しかし相手が何処の誰で何処にいるのかも分からないでは手の打ちようもなかった。


 特に大阪で最大の組織力を誇る八十島組は業を煮やしていた。


「おい、まだ分からんのか、その「闇の仕置人」たら言うやつの居場所は」

「へぇ、それが皆目。天に消えたか地に潜ったか」

「何をアホな事言うとるんじゃ、はよ探さんかい」

「へい」


 そこに頭の石見がやって来て、

「おやじ、昔『闇の仕置人』に潰された組があったのを覚えてますか」

「そう言うたらなんかそんなんがあったの、何処や」

「大阪では飯島組と神奈川では樫野組言うとこやそうですわ」

「それがどないしたんや」


「へえ、大阪は皆目見当がつかんかったそうですが、神奈川では一人の容疑者が出た言う内部情報があるんですわ」

「ほーようそんな情報が手に入ったの、それで」

「へえ、それは大阪で私立探偵やってる田所順平言う60位のおっさんやそうです」

「そいつが「闇の仕置人」や言うんか」

「いえ、何でも「闇の仕置人」への連絡人らしい言う話ですわ」


「ほーそらおもろいの。ほな、そいつに拷問かけて吐かせたらええ訳やな」

「そう言う事ですわ」

「よし、手配せえ」

「わかりました」


 こうして田所順平は再びやくざに狙われる事になってしまった。


 田所はいつもの様に事務所に顔を出し、必要がなければ特に外に行く事もなく、昼食時に外に食べに行く程度だった。そして6時には帰宅。そんな毎日を過ごしていた。


 特に誰かと会ったり、夜飲みに行くと言う事もなかった。極々普通の静かな生活を送っていた。


 その状況を監視していた組員の報告で、八十島は帰宅時にさらえと命令した。


 順平のアパートは服部と言う阪急宝塚線上にあった。だから天満にある事務所からアパートまでは40-50分と言った所か。


 ただ大阪市内では難しいので、アパートの近くで襲う事にした。


 その服部と言う場所は、かって娘が殺害されて放置された服部緑地と言う所に近い。だからこそ順平は調査の為にその近くにアパートを借りていたのだ。


 それにその辺りはまだ人通りの少ない所も多くあった。だから襲うには打って付けだった。


 順平の帰宅時にその襲撃は実行された。順平は後ろからスタンガンで眠らされバンに連れ込まれた。やくざが使ういつもの手だ。


 順平も探偵業は長い。自分がスタンガンで襲われた事位は直ぐに分かった。


 しかし不思議だった。普通スタンガンを当てられたら意識を失うはずなのにちゃんと意識がある。


 逃げようと思えば逃げられない事もないかも知れないが、益々面倒になりそうなので少し様子を見ようと思った。


 すると予想通り、誰もいない建物の地下に連れ込まれ、そこでまた椅子に縛り付けられた。


 あの時と全く同じだなと思った。また拷問されるのかと。


 そこにいたのは八十島組の頭、石見と後6人の組員達だった。


 石見が、

「なぁ、田所さんよ、あんた『闇の仕置人』の連絡係なんやてな。『闇の仕置人』が何処におるか教えてもらおうか」

「わしゃそんな事しらんわい。ただメールで指示が来るだけや」

「嘘つけそんな訳ないやろう。痛い目に合いとうなかったらはよ吐かんかい」

「知らんもん知らん言うとるやないか」


 順平自身不思議だった。自分はどうしてこうも平然としていられるのか。以前の自分ならきっと震えて漏らしていたかも知れないなと。


 順平はまだ知らなかった。順平の体の中にはジンの分体が入っている事を。


 そしてその分体はジンの本体と繋がっている。いや、もしかすると今順平の中に入っているのがジンの本体かも知れない。


「しゃーないの。ほなちょっと痛い思いしてもらおうか」


 石見がそう言った時、ジンはスザクを分離させた。やはり順平の中に入っていたのはジンの本体だったようだ。


「あんたらさー、うちのコンタクターに何してくれてんのよ」

「何、お前何処から来たんや。しかしびっくりしたで。『闇の仕置人』ちゅうんは女やったんか。それも飛びっきりの別嬪さんとはな。これは楽しめそううやの、なーみんな」

「ほんまでんな。おやじも喜びまっしゃろ」


 そう言った男の首がポロリと落ちた。いつその男に近付いたのかすら分からない内に首を落とされていた。


 そして更に二人三人と首を落とした。これには流石の石見も青くなってしまった。まさかここまでとは。


「ま、待て。それ以上近づくな。こいつの命がなくなるぞ」


 石見の手には拳銃が握られ、順平の頭に向けられていた。


 それでも構わずにスザクは進んで行った。


「おい、ほんとに撃つぞ。仲間が死んでもええんか」

「好きな様にしたら。私はあんたらを殺すだけだから」


『こいつは何や、この探偵はこいつの仲間と違がうんか。しかしや、それでもほんまに見殺しにする言うんか。そんなアホな』


 その時また一人の首が落とされた。残った二人は後先も見ずに逃げ出した。あまりの恐ろしさの為に。


 しかしスザクの前から逃げる事など到底不可能だった。いつの間に前に回ったのか、二人の首もまた落とされた。


 そして自分に向かって来る女を見た時、石見の体は震えていた。膝が笑い手もブルブルとしてまともに銃を握れなくなっていた。


 こちらは銃を持ってる相手は刀だ。普通なら勝てる相手だ。


 しかし体が言う事を聞かない。恐怖だ。途方もない強者の前ではどうする事も出来ない恐怖が自分を襲っていた。


「ま、待ってくれ。俺が悪かった。な、許してくれ。もう二度と『闇の仕置人』には手を出さんから見逃してくれ」

「あんた何処の誰よ」

「俺は八十島組の頭で石見と言うもんや」

「そう、それだけわかったらもう用はないわ」


 そう言って今度は石見の体を縦に真っ二つにした。もはやこれは漫画だ。そんな事の出来る人間が何処にいる。いや、彼女は人間ではなかったか。


「ねぇ、順平さん。何もやられっぱなしでいる事ないのよ。あんたはこいつらよりも強いんだからやっちゃったら」

「わしがですか」

「そうか、言ってなかったしらね。あんたの体の中にはジンの分体が入ってるのよ。だから何処にいてもジンにはわかるのよ」

「分体ですか」

「そう、それを外に出せば、ジン並みの人間が出て来るわ。それにやらせてもいいし。あんたも人間としてのスペックをかなり上げてあるのよ。だから滅多な事では負けないわよ。今度からはあんなやつらのしちゃいなさいよ」


 そう言って二人は何事もなかったかの様に引き上げて行った。


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よろしくお願いいたします。

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