表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
野生子グマの人生変転記  作者: きこうダきこう
54/60

第54話 里帰り

 レックス達と森へ帰る日の朝、やっぱりボクは昨日からの待ちきれない思いが高まったままで早く目が覚めてしまい、ペロッペロッ(レックス。朝だよ、朝)とレックスの顔を舐めて起こしたのだった。


 ボクに舐められてレックスも「うーん······。あぁ、ベアーズ。おはよぉ~う」まだ眠たそうにして起きた。


 それから一緒に朝ごはんを食べに行き、帰ってきてから身じたくをしてみんなと集まる広場に向かった。


 けどやっぱりまだ誰も来てないからみんなが来るのを待った。


(早く来ないかなぁ)と思いながら待っているとレックスが、「ベアーズ、早く帰りたいって気持ちは分かるけど、王都から村までは2、3日はかかるから、途中の町や村に立ち寄ることになるからな」と伝えてきた。


(えっ、そうなの!? ガックシ)それを聞いてボクは落ち込んでしまった。



 ちょうどその時、「あ、レックスー!」アリスがやって来た。


「やぁアリス、おはよう」「おはよう。相変わらず早いわねぇ」「いやぁ、僕もコイツに起こされて」とボクを見てきた。


「そうなんだ。ところで、何でベアーズは落ち込んでるの?」「森へは数日かかるって伝えたら落ち込んで」「あ、そうなんだ」(そうなの)


 とそこへ、「おーい、レックスー! アリスー!」「あ、兄ちゃん! お姉ちゃん!」アッシュとメリッサもやって来た。


「お待たせ。どうしたの? ベアーズ。落ち込んでるみたいだけど」「何かあったのか? レックス」「いやぁ、コイツに森へは数日かかるって伝えたらこうなって」「あ、そう言うことか」「フフッ、仕方ないわよね」ってそれぞれ言い合っていた。


「まぁコイツのためにも、出発しようか」「「うん!」」(おー)アッシュの掛け声でボク達は森に向けて出発した。


 森へはやっぱりレックスの言った通り出発して3日かかった。そのため途中の町や村でレックス達はそれぞれ一晩過ごす(ボクは近くの森で過ごす)事にした。そして3日目······。



(着いたー!)ボク達の目の前に懐かしの森が見えてきた。まずはレックス達の村に向かうために森を進んだ。


 村に近付いたところで入り口にレックスとアッシュの母ちゃんがいたみたいで、真っ先に気付いたレックスが「母さん!」と声を掛けるや2人も気付き、それぞれ再会の挨拶を交わし、その後みんなそれぞれの家に向かった。


 家に入り部屋に着くなりレックスは「この部屋に帰って来るのも随分久しぶりだなぁ」と言った。


(そう言えば、確かに)学校へ行く前にレックスは村を出てハウルのおっちゃんの所に行ってたんだから、久しぶりになるよなぁ······。って、そんなことより!


 クイッ、クイッ!(レックス! 早く森に行こっ!)と言わんばかりにボクはレックスのズボンを咥えて森へ行くことを促した。


「わ、分かった分かったよ、ベアーズ」レックスもボクに促されて家を出た。


 みんなと集まる広場に最初にボク達が着き、恐らくそのボク達の姿が見えてそれぞれアッシュが、そしてアリスとメリッサ(メリッサはアリスの家に行ったんだ)がやって来た。


 その後は村にいるヒト達に挨拶をしてようやく森に向かうことになった。



(わーい!)森に来て父ちゃんに会えると思ったらたまらなくなり、レックス達を置いてさっさと住み処へ向かいだした。


(父ちゃんに会える。父ちゃんに会える)そう心を踊らせながら森を駆けて行き、ようやく(見えた!)住み処が目に入ってきたのだった。


 そして住み処をよくよく見たら父ちゃんがいる事が分かるや「父ちゃーん!」と叫びながら住み処へ駆け出した。


 ボクの声に気付いて父ちゃんもこちらを向きだし「おぉ、ようやく帰ってきたか」と帰って来るのが分かってたみたいに返してきた。


「ただいま!」「おかえり」「ボク達が帰ってくること知ってたの?」「ああ。数日前にレックスの父ちゃんが知らせてくれてな」「なぁーんだ」「ははは。それで、レックス達は?」「みんなでもうすぐ······あっ、来た来た!」来ると言いかけたところでレックス達の姿が見えた。


 レックス達の姿を見て父ちゃんが「1人知らないヒトがいるみたいだが······」と言ってきたので、メリッサの事だと思って「アッシュの恋人でメリッサって言うヒトだよ」と説明した。


「そうだったか」と理解した直後に「おーい、ベアー!」とレックスが呼び掛けてきたので、「ちょっと驚かしてやるか」「えっ?」そう言うや父ちゃんは突然立ち上がったのだった。


 さすがにその姿を見たレックス達は驚いていたが、すぐに落ち着いて「ベアー。お前なぁ」「ったく、お前までベアーズのイタズラ心が感染ったか?」「ホントよ、全く」などと言われ、当のメリッサからは「フフフッ。初めまして、ベアー。アッシュの彼女でメリッサ・ローテンって言います」と挨拶された。


 それを聞いて父ちゃんはようやく四つん這いに戻り、「こちらこそ初めまして」と言わんばかりに顔をメリッサに押し付けたのだった。


 それから暫くはこれまでの、とりわけボク達親子との事を色々話したのだった。



 だいぶ時間も過ぎたので村に帰ることとなり、「じゃあね、ベアー」「また来るからな」「「バイバイ」」とレックス達が挨拶し、「じゃあ父ちゃん。また来るね」「ああ」そう言ってボクもレックス達と村に帰った。


 村に着いたらちょうどレックスとアッシュの父ちゃんと会ったので挨拶をしてそれぞれの家に向かった。


 その日の夜、レックスが父ちゃんから明日アッシュやアッシュの父ちゃんとオークのとうばつ······倒しにいかないかと誘われ、行くことにしたのだった。



 次の日、レックスの父ちゃんがアッシュの父ちゃんとアッシュにオークのとうばつの事を話したら、2人も行くと言ったのですぐにオークのとうばつへ向かった。


 レックスの父ちゃんの話だと、森の北にある村のヒトが近くでオークの姿をよく見かけているとのことで、まずはその村のヒトに改めて話を聞きに行った。


 それからレックスとアッシュの父ちゃん達がオークを見かけた場所に向かい、そこに着いたところでボクに匂いを辿れるかどうか聞いてきたので、クンクン、クンクンと嗅いでみた。


(っ!)するとこれまで嗅いだことのあるオークの匂いと同じ匂いを感じられたので、その匂いを辿った。


 暫く辿ったらオーク達の住み処らしき所に行き着いて、そこには多くのオーク達がいた。



「どうするの? 父さん達」アッシュが聞くと「取り敢えず、俺達3人で一気に突撃し、レオがここから援護射撃をしてくれ」レックスの父ちゃんがそう答え、みんなも受け入れた。


 そこでアッシュが「レックス、念のために()()やっとこうぜ」と言うとレックスも、「そうだね」と答えて目を閉じ、(あ、弱点か)今までのように弱点を探りだし「やっぱり背中が弱点みたい」と答えた。


 それを聞いて2人の父ちゃん達はとても驚いていた。そして改めてタイミングをとって······レックスの父ちゃんを先頭にオーク達へ突っ込んだ(ボクは当然レックスと一緒に)。


 突然襲われてオーク達は最初こそ驚いていたが、徐々にこっちに反撃してくるようになった。だけど、レックスの父ちゃん達もアッシュも、当然レックスやボクも今ではオーク達相手なら難なく倒すことが出来るようになっていて、それぞれ次々とオーク達を倒していった。


 そのため何体かオーク達が逃げ出そうとしたため、「父さん! 奴らの一部が逃げてくよ!」とレックスが叫ぶと「レックス! アッシュ! お前達で追ってくれ! 少しでも数を減らしておくんだ!」とレックスの父ちゃんが叫び返したので、レックスとアッシュとボクで逃げ出したオーク達を追いかけた。



 暫く行って逃げたオーク達に追いつき倒していたら突然大きく地面が揺れた。レックス達が辺りを見渡していたら、向こうからでかいオークであるハイオークがやって来た。


 ハイオークを見てレックス達は一瞬たじろいたが、すぐにレックスが弱点を探り、また背中だと分かるとボクがハイオークの注意を引き付け、その隙にレックスとアッシュが奴の足を狙いだした。


 そうしてハイオークが倒れてレックスが背中を持っていた剣で突いたら完全に動かなくなった。


 それを見た他のオーク達は手に持っていた武器などを捨てて降参するような素振りを見せた。


 だけど後から来たレックスの父ちゃんによってみんな倒されちゃった。


「可愛そうかもしれないが、これが一番コイツらのためにもなるんだ」とレックスの父ちゃんが言い、ボクやレックスを始めみんながそうだと思った。


 こうしてオーク退治も無事に終わってボク達はレックス達の村へと帰った。


 村に帰ってアリスやメリッサにオーク達と戦った話をしたら、アリスやメリッサはその頃父ちゃんの背中に乗って森の中を散策していたんだと教えてくれたのだった···。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ