第51話 ギルドの、クエスト?4
「ま、まさか······」「い、生き返ったのか!?」「「おぉ!」」死んでいたブラックスコーピオンが生き返った事にアッシュ達やブラックスコーピオン達はとても驚き、「ああやって私もレックスに蘇らせてもらったんだ」「うん。きっとそうだったのよ」アリスとメリッサは以前アリスもレックスに同じことをされた事について話していた。
そしてハウルのおっちゃんが「成功のようじゃな、レックス」「はい」「うむ。ではアッシュよ」「は、はい!」
「残りのブラックスコーピオン達はそなたとレックスで手分けして蘇らせるのじゃ」「わ、分かりました」とアッシュに伝えた。
「じゃあ兄ちゃん。さっき僕がやったようにブラックスコーピオンの体に命の石を当てて、心から"蘇って下さい"って願うんだ」「ああ。分かった」レックスからそう聞いてアッシュとレックスはそれぞれブラックスコーピオンの体に乗って石を当てた。
やがて、ピカッ!······ピクッ! それぞれ石を当てたブラックスコーピオン達が動き出した。
その光景を見てやっぱりみんなとても驚いていた。その後残っていたブラックスコーピオン達も無事に2人が生き返らせたのだった。
「やったね! 兄ちゃん」「ああ。良かったぁ」ブラックスコーピオンをみんな生き返らせれて特にアッシュは本当に喜んでいた。
「よくやったな、2人とも」「「はい!」」「さて······ベアーズ」(ん?)ハウルのおっちゃんがレックス達をほめた後ボクに声をかけてきた。
「ちと手伝ってもらうぞ」(手伝う?)そう思いながらハウルのおっちゃんの後に付いて行った。
「ハウルのおっちゃん。手伝ってもらうって?」「ブラックスコーピオン達に海人族側の気持ちを伝えるのに、お主から伝えてもらった方が向こうも警戒すること無く聞き入ってくれるじゃろうからのぉ」「あぁ」そう言うことね。
そしてブラックスコーピオン達の下に着いて「全員蘇られて良かったのぉ」「はい! 本当にありがとうございました!」「うむ。ではベアーズ」
「うん。あのね、海人族のヒト達は君達と一緒に暮らしても良いって言ってるの」「「ええっ!?」」「ホ、ホントですか?」
「本当じゃ。事情が分かったことであちらもそなた達と共生して行きたいと考えておる」「そ、それが可能なら我々としてもぜひそうして行きたいです」「分かった。そう海人族側に伝えよう」「あ、ありがとうございます!」ブラックスコーピオン達にお礼を言われてボク達はいったんレックス達の所に戻ることにした。
その途中ハウルのおっちゃんから、「ベアーズよ」「うん、何?」「今回の一件で改めてお主が養成学校で過ごす事になったのが良かったと思うようになったよ」「そうなの?」「ああ」って言われたけど、······あんまりよく分かんなかった。
その事はともかく、みんなの所に戻ってブラックスコーピオン達の気持ちを守備隊長のおっちゃんにハウルのおっちゃんが伝えたら、「分かりました。では街の者達に事情を話してブラックスコーピオン達が暮らす砂浜近くへは近付かないようにさせ、バリケードの様な物を設置して住み分けをしたいと思います」「うむ、そうじゃな」と2人でそんな話をして、その事をブラックスコーピオン達に伝えに行った。
暫くしてから2人が戻って来て、「ブラックスコーピオン達も了承してくれたわい」「では?」「うむ。今回の一件はこれで終了じゃ」
「「や、やったぁ!」」ハウルのおっちゃんから終了と聞いてレックスやアッシュ達が大喜びしだした。
そして全員が落ち着いたところで今度はみんなでお城の中に行き、さっきボク達がいた部屋に連れていかれた。
その部屋の一番奥にいた国王って呼ばれているヒトにハウルのおっちゃんや守備隊長のおっちゃんが色々説明をして、それを聞いたそのヒトもすごく喜びだした。
その後また別の部屋に連れていかれ······なんとそこに色々なごちそうが用意されていたのだった。
それからボク達はそのごちそうを暫く堪能してからお城を出て、ハウルのおっちゃんによって学校へ戻されたのだった。
「みんな、今回は色々協力してくれてありがとうな」「良いってことっすよ、アッシュさん」「そうですよ」「ああ、その通りだ」「だけど良かったね、兄ちゃん。ブラックスコーピオン達を倒すことにならなくて」「ああ、そうだな」「ホントにそうね」「うん!」アッシュがみんなにお礼を言った後にみんなが色々アッシュに言い返していた。
その後ハウルのおっちゃんから「ほれ、話はそのくらいにしてアッシュにレックス。お主らはまだやらなければならぬ事があるじゃろうが」って言われ、「え?」「やらなきゃならない事って何ですか? ハウル様」アッシュもレックスも分からなかった。
「ジルコニーに報告する必要があるじゃろうが」「「あっ!」」「そうだった」「校長先生に依頼書を渡しに行かなくちゃ。じゃあみんな、ここで解散ってことで」「「うん!」」「「はい!」」「分かった」
そうみんなに伝えてアッシュとレックスは校長のおっちゃんの所に向か······おうとしたところで「レックスよ」ハウルのおっちゃんがレックスを呼び止めた。
「何ですか? ハウル様」「ベアーズは儂がスペースに戻しておくから心配する必要はないからな」(え?)「あ、はい。ありがとうございます」そうしてボクはハウルのおっちゃんに······首根っこを掴まれながらスペースに向かうこととなった。
その途中、「······それにしても」「うん、今度は何?」「何? じゃなかろうが」「え?」「まぁお主に言うことではないがのぉ」って言われたけど、何の事を言ってるんだろう?
すると、「いい加減に姿を現しては如何ですか? 初代殿!」とハウルのおっちゃんは空を見上げながら言った。
(初代?)そう思っていると、「(ふぉふぉふぉ。そう怒る事もなかろう、6代目よ)」(あっ)そう言いながらしろいおっちゃんが姿を表した。
「まさかベアーズの体を借りて行動なされようとは」「じゃからあの時言うたであろう。"これからはより身近でレックスを見守って行くつもりじゃから"と」「確かにそう仰ってはいましたが、全く」「もう良いではないか。結果的に儂やこ奴のお陰で最悪の結果にならずに済んだのじゃからのぉ」「まぁ、そうですね」と全くよく分かんない会話をしていた。
「それに」「それに?」そこでしろいおっちゃんはボクを見だした(ん?)。
「今回の一件でこ奴にとっても嬉しい事になりそうだしのぉ」「えっ?」「それはどういう?」そこでしろいおっちゃんはほほ笑みだし、「6代目よ。後は儂に任せてお主は帰って良いぞ」「······分かりました。ではな、ベアーズ」そう言ってハウルのおっちゃんはいなくなった······。
「さて······ではベアーズ」「ん?」「少し寄り道して行くぞ」「よりみち?」そう言うとまたしろいおっちゃんはボクの体を勝手に動かし出した。
暫く走り続け、(あれ? この道って······)周りの光景が見馴れた景色だったので、この先の行き着く場所に心当たりがあった。そして······(やっぱり)。
しろいおっちゃんが止まったのは、校長のおっちゃんがいつもいる部屋の窓の下だった。そこでまた意識が交代させられたから窓の中を覗くと、校長のおっちゃんとレックスにアッシュがいた。
2人と校長のおっちゃんが何かを話してる事は分かったが、(何話してるんだろう?)当然声は聞こえなかった。
暫くそのまま中を覗いていたら、突然校長のおっちゃんが後ろを振り向き、つられてレックスもボクの方を見てきてとても驚いていた。
そこで(あ、やばい)一瞬そう思ってすぐその場から離れ、全速力でスペースに向かったのだった。
スペースの中に着いたところで(ふぅ、疲れた)ぐったりとしだした。一瞬レックスに姿を見られちゃったけど······(まぁ、いっか)と開き直ったのだった。
(だけどホントに今回も色んな事があったなぁ)と今回の出来事を振り返り、そして(それにさっきしろいおっちゃんが言っていたうれしい事になりそうって、何の事だろう?)その事を考えだしたのだった。
暫くしてレックスが迎えに来て、「お前、まさかここを抜け出してあちこち走り回っていたとはなぁ」とボクをジーッと睨むように見ながら言ってきた。
(えっ······何でバレたんだろう?)と思いつつレックスと一緒に寄宿舎へ帰った。
翌日、本当にボクにとって嬉しい出来事が起こったのだった······。
いつものようにスペースの中でゆっくりしていたら、クンクン(ん? この匂い)バーミリアンのおっちゃんが突然スペースに向かってきたのだった。手に何か色々な物を持って······。
そしてレックスやバーミリアンのおっちゃん達が出たり入ったりしている扉の前に来て「よぉ、ベアーズ。ちょっとここで作業させてもらうからな」と言って扉に何かをしだした。
(何してるんだろう?)と思いながらボクもバーミリアンのおっちゃんがやってることを見続けた。
長い時間が過ぎてようやく「ふぅ、これで良いだろう」バーミリアンのおっちゃんのやってたことが終わったようだ。
するとバーミリアンのおっちゃんが、「ベアーズ。ちょっとこいつにぶつかって来てくれ」と扉を指差しながらボクにそう言ってきた。
(え、扉に? 良いけど)などと思いながらボクはとりあえず歩いて扉に向かった。
そして扉にぶつかった時、······カタッ!(えっ?)何と今まで開けようとしても開けれなかった扉が体をぶつけただけで開いたのだった。
(な、何で!?)ボクが頭の中で混乱しているとバーミリアンのおっちゃんが「ベアーズ、今度はそっちからぶつかって来てみろ」と言ってきたので、コク(うん。分かった)と頷き扉に向かった。
するとやはり、カタッ! 扉が開いたのだった。
(ほ、ほんとに何で?)と混乱しているとバーミリアンのおっちゃんが、「どうだベアーズ。これでレックス達がいなくても自由にここを出たり帰ってきたり出来るようになった気分は?」と聞いてきた。
(えっ? 自由に出たり、帰ってきたり······あ、ホントだぁ!)バーミリアンのおっちゃんに言われてようやくその通りだと理解した。
(でも、何で?)と不思議がるように首を傾げたら、「ベアーズ、お前昨日レックス達と海人族からのクエストをしに行ったんだろ?」と聞かれたので、コクコク(うん、しに行った)と頷いた。
「その時お前が一番活躍したそうじゃないか」······コク、コク(うん、まぁ)ホントはしろいおっちゃんのお陰なんだけどね。
「それを聞いて校長がこれまでのお前の様子やレックス達との行動を振り返って、自由にさせてやっても良いかと判断されたんだよ」(そうだったんだ。······あっ!)ひょっとして昨日しろいおっちゃんが言っていた嬉しい事って、この事なんじゃあ······。
何て思っているとさらにバーミリアンのおっちゃんが、「あとベアーズ」(ん?)「王都の人達もお前の事をよく分かってくれてるみたいで、お前が1匹でいても特に問題無いと仰ってくれてな」
(えっ?)「つまり、これからは学校の敷地内だけでなく王都の街中、さらには王都から少しだけ離れた場所へも自由に行ったりしても良くなったんだよ」と言ってきた。
(······、······や、やったぁ!!)それを聞いてボクは心の底から大喜びし、その場で何度もピョンピョンピョンピョンと跳び跳ねたのだった。
「ははははは! そこまで大喜びしてくれるとはな。それなら本当に良かったな、ベアーズ」とバーミリアンのおっちゃんも言ってくれて、コク(うん!)とそれに答えるように大きく頷いた。
ホントにしろいおっちゃんが言った通り嬉しい事が起こったのだった。
(あ、それじゃあ······)そこでボクはある思いを持ち出したのだった······。