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野生子グマの人生変転記  作者: きこうダきこう
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第43話 授業-ネズミ退治-

 レックス達がまた学校に行きだしてから以前のようにボクがいろんな所の授業に誘われる事はほとんどなくなり、たまにレックスのクラス(と後はレックスのクラスが他のクラスと一緒に授業をする時)に誘われるぐらいだった。


 今日もレックスのクラスから誘いを受け、「それじゃあ行こっか」コク(うん!)レックスに連れられてクラスのみんなが集まっている王都の中にある広場へ向かった。


 広場に近付いたところで「バーミリアン先生、お待たせしましたー」「おぉ来たか」レックスがバーミリアンのおっちゃんに声をかけてバーミリアンのおっちゃんもそれに答えた。


「では本日の授業内容を説明する」とバーミリアンのおっちゃんは話し出した。


 今日はこの王都内で最近あちこちに大量出没している"ドブネズミ"って魔物を退治するのが目的みたい。


 それでレックス達は4人でチームを作ってバーミリアンのおっちゃんが指定した場所にそれぞれ別れてドブネズミを捜索し、見つけ次第退治することとなった。



 早速レックス達もチームが作られ、全てのチームを作り終えたところで解散となり、すぐさまレックスがボクにドブネズミの匂いを嗅がさせ、偶然ドブネズミの匂いらしきものを嗅ぎ付けてその後を追い、レックス達もそれに続いた。


 ちなみにレックスと同じチームになったのは、エルフ(族)のロースと海人(族)のマールって女の子と、亜人(族)のアイラって女の子みたい。


 そうしてさっき嗅ぎ付けたドブネズミの匂いを辿ったら、やっぱり路地裏にそこそこの数のドブネズミ達がいた。


 すぐさまレックス達が協力してソイツらを倒し、倒したあと何体かが落とした尻尾を拾ってレックス達は喜び合い、再びボクにドブネズミの匂いを嗅がさせたのだった。


 その後もドブネズミ達の匂いを追って別の路地裏や建物などの裏の辺りが暗くなっているところ、さらには王都の街の下を流れている下水道って所に行けるところから向かい、それぞれの所にいたドブネズミ達をレックス達は倒していったのだった。


 暫くしてレックス達が指定された場所にいたドブネズミ達は、みんなレックス達によって倒された。


「取り敢えずはもう十分か」「そうだね、一通り見て回ったし」「そうね。尻尾も結構集められたしね」「うん。そうね」とレックス達はそう言い合ってドブネズミ達の捜索を終えようとしていた。けれど······。



(何でみんなもう終わろうとしてるんだろう? まだ匂いが"漂ってる"のに)とボクはそう心で思いながらレックス達の会話を聞いていた。


 そう、ベアーズは未だにある所からドブネズミ達の匂いが漂ってきている事に気づいていたのだった······。


 そのため(だったら······)ボクは自分だけでその匂いを追い出した。


 すると後ろの方から「レックス、ベアーズがどこかに向かおうとしているよ」とロースの声が聞こえ、「えっ? あ、おいベアーズ! どこ行くんだ!」とレックスの叫び声が聞こえたけど······無視して匂いを追った。


 そうしたらどうやらレックス達もボクの後を付いてきたみたいで暫く歩き続けたら、ある建物の前で止まった。さっきからの匂いはどうやらこの中から匂ってきていたみたいだ。



 それを知らせるようにボクが後ろを振り返ると、「もしかして、この中にドブネズミ達がいるのか?」とレックスが尋ねてきたのでコク(うん。きっとそう)と頷いた。


 ボクの様子を見てまずレックスが1人で入口の扉をゆっくりと少しだけ開けた。そして······すぐさま閉じた(何で?)。


 そうして皆の所に戻って来て中が大量のドブネズミ達で溢れ返っている事を告げた。


 その事を聞いてみんな変な顔つきになったけど、「見ちゃったからには退治しないと」と言うレックスの言葉に賛同し、レックス達はその建物の前に向かい、「じゃあ行くよ。1、2の······さんっ!」ガラッ! ガチャッ! と素早く扉を開けて閉めた。


 その直後「「うわぁーー!!」」「「キャーーッ!!」」ズバッ! ズバッ! ヒュッ! ヒュッ! バチン! ドーン! とレックス達の叫び声が聞こえたかと思ったら、武器で何かを攻撃している音が聞こえ出した。(ど、どうなってるんだろう?)


 暫くその状態が続いたら、「あれ? ベアーズ?」(あっ)後方から元々この辺りを指定されていたチームがやって来た。


「どうしたんだこんなところに1匹で。レックス達は?」と聞かれたので目の前の建物に目をやった。


 そんなボクの様子を見て「ひょっとして、あの中でドブネズミ達を相手にしてるのか?」と聞いてきたので、コク(うん、そう)と頷いた。


 それを聞いてそのチームは建物に向かい、中にいるレックス達に呼び掛けた。


「レックス、大丈夫か?」「悪い、手伝ってくれ。但し、扉を開けたらすぐ中に入って閉めるんだ!」「わ、分かった」そう言ってそのチームは全員で扉を素早く開けて中に入り、すぐに閉め、「「うわぁーーーっ!!」」再び叫び声が聞こえたのだった(ホント、どうなってるんだろう······)。


 暫く経って扉が開かれ、「お待たせ、ベアーズ」(っ!?)ボクは声も出ないほどビックリしてしまった。それだけレックス達の姿はとんでもない状態となっていた······。



 何はともあれ中にいたドブネズミ達はみんな倒したみたいで、手に入れた尻尾を分け合って集合場所の広場に向かった。


 ボク達が着いて少ししたら全員が集まったみたいで、バーミリアンのおっちゃんからレックス達が最も尻尾を多く集めてきたと発表され、レックス達は他の人達から誉められたのだった。



 その日の夜。レックスが夕ごはんを食べに行っている間ひとりで部屋で眠っていたら、「······チュウ······」(ん?)微かにネズミの鳴き声が聞こえてきた。


「今の?」部屋の中を見渡したら······ひょこっ「チュウ」1匹のネズミが姿を現した。


(やっぱりネズミだ)そう思ったボクは警戒心を解いてもらおうとそのネズミにゆっくりと近付いた。


 そうしてそのネズミの目の前に辿り着き、ネズミもボクの事を恐れることなく「チュウ?」と首を傾げた。


 そんな様子のネズミをボクは······グシャッ! とそのネズミを足で押し潰して殺したのだった······。


 その直後、「お待たせベアーズ。ご飯だよー」レックスが戻ってきた。


(あっ、帰って来た)そうしてボクは今殺したネズミの死骸を咥えてレックスの所に向かった。


 そして(レックスー! 見て見てー)と言わんばかりに咥えているネズミの死骸をレックスに見せつけた(ネズミ倒したよー)。


 するとレックスは「······ベアーズ」(何々?)「もう、ネズミはいいんだけど······」と呟くようにボクに言ってきた。


 それを聞いて(······えっ······)と思いつつ咥えていたネズミの死骸をその場に落とし、「······」「······」それからボクもレックスも暫くその場で佇んだのだった······。

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