第42話 頼み事-魔物の追い払い-
数日後、「おーい! ベアーズ!」(あっ、来た来······あれ? ロース?)レックスが迎えに来たと思ったら、一緒にロースもいたことに不思議がった。
(何でロースも一緒なんだろう?)と思っていたらレックスがボクを抱き上げ、「ベアーズ、これからロースと一緒にこの頼み事を引き受けに行くからな」と手に持っていた頼み事の紙を見せてくれた。
(あー、そういう事ね)と理解してコク(分かった)と頷き、その頼み事を頼んだヒトの所に向かった。
その頼み事の依頼人(って言うみたい)は王都から少し離れた所に住んでるみたいで、だいぶ歩いてやっと着いた。
そのヒトの話だと、近くの森から鹿のような姿をした魔物が頻繁に畑を荒らしに来るから、森の中にあると思われる巣からその魔物を追っ払ってくれとのことみたい。
早速レックスがボクにこの辺りに残っているソイツらの匂いを嗅いで巣を探すように言ってきたので嗅いでみたら、確かに僅かに匂いを嗅ぎとることが出来たのでその匂いを嗅いで辿ってみた。
暫く歩いたら近くの森の入口に辿り着き、匂いはその森の奥から漂ってきていた。
念のためレックス達の方を振り向きこの森にいるということを示した。
「この森の中か」「みたいだね」2人も理解してくれ、ここからは慎重に進むようボクに言い、ボクもそれに従うことにして森の中に入って再び匂いを辿り出した。
森に入り慎重に匂いを辿り歩き、暫くすると匂いがどんどん強くなり、それに合わせるようにボクの足並みも徐々に速くなっていった。
そして······(っ!)魔物の巣らしき場所を発見した。
巣にいた魔物達を見てレックスとロースが何か話し合ったかと思ったら、ロースが持っていた弓と矢をそのうちの1匹に向けて構え······ヒュッ! と放ち、ブスッ! と狙った1匹の目に命中しソイツが苦しみ出した。
その直後、レックスが飛び出しソイツに近付いて持っていた剣を首筋に突き立てて止めを刺した。
そしてその場にいた他の魔物達はその様子を見てみんなあちこちへ逃げ出したのだった。
その後ボクとロースがレックスに近付き、2人でまた何か話したと思ったらレックスが止めを刺した魔物の首を斬り、それを持って森を出ることとなった。
森を出て依頼をしたヒトの所に戻り、「畑を荒らしていましたバンピーディアー(って名前だったみたい)達のボスを倒しましたので、もうこの畑を荒らしに来ることはないと思います」と説明して依頼したヒトも納得してくれたみたいで、レックスはそのヒトからお金をもらってその場を離れた。
それから再び森の魔物達がいた所に戻り、さっきの魔物達のボスの首をその場に置いて学校へ帰ったのだった。
その後もレックスは時間があれば頼み事を引き受け、たまにボクも付き合わされたのだった。
またある時からレックスだけでなく、アリスやアッシュも頼み事をよく引き受けるようになり、特にアッシュはレックスと一緒に行ったりすることが時々あった。
しかも2人ともお礼でもらったお金をなぜかレックスに渡し、レックスも2人からもらった分も自分がもらった分も部屋の隅に置いてある大きな袋に入れ直し、そのままずっと部屋に置いたままにしているみたい。
たまにその袋を見る度に(あんなにもお金をためてどうするんだろう?)と不思議に思い続けたのだった······。
ちなみに、ボクがこのお金の使い道を知ることになるのはもう少し後になってからだった······。