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野生子グマの人生変転記  作者: きこうダきこう
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第31話 レックスともジュギョウ2

 ボクが見つけた隙間の道は若干これまでの道より細かったけど、特に問題なく進むことができ、(この匂いは本当に何だろう?)とずっと思いながら進んでいたらその匂いが強くなってきた。


 直後、「見て! 前の方が明るくなってるわ!」誰かが叫んだのでレックス達はその明かりの方へ駆けて行った。


 ボクが感じた匂いもその明るくなっている方から感じたのでボクも走って行った。するとその先には······。


「「うわぁ!」」「こ、これは······」(うわぁ!)そこにはそこそこの量の茂みが生えていて、その茂みにいくつかそこそこの大きさの色んな色の実がなっていた。


「これは」「す、凄い」「きれい」みんな色んな事を言っているうちに、ボクはその実の1つに近付き匂いを嗅いだ。


 すると(あぁ、やっぱりおいしそうな匂い)と思いつつその実を食べようとしたら「ベアーズ!」(うわぁ)レックスに引き離された。


「さすがに何か分かんないから食べるのはダメだよ」と言われたけど、(だっておいしそうな匂いがするんだもーん!)と思ってボクはレックスの手の中で暴れ続けた。


「とりあえず先生に報告して問題なさそうだったら食べても良いから、ね」と言われ(······わかった)ボクも大人しくなり、ここの事も(大きな実の事も)メモして改めて入り口に向かった。



 そうして最初の分かれ道に着いたところで「「······あっ!」」「「ああっ!」」(あっ)何とカールって子達のグループと遭遇したのだった。


「同じタイミングで戻って来たんだね」「どうやらそうなったみたいだね」とレックスとカールが話したところでみんなして入り口に向かった。


 入り口を出たところで「おお、両グループ同時に出てきたか」とバーミリアンってヒトが言った。


「はい。最初の分かれ道の所で偶然遭遇しまして」「そうか。で、それぞれどれだけメモ出来た?」と聞いてきたのでレックスとカールは書いてもらっていたメモを渡した。


 バーミリアンってヒトがそれらを見ていたら、「······レックス、1つ聞いて良いか?」「はい、何ですか?」(ん?)レックスに何か尋ねてきた。


「この行き止まりのフロアに書かれている"大きな実"というのは何だ?」「実は帰り道にベアーズが行く時も気にしていた隙間の道を進んだ先に見つけたフロアでして、そこにそこそこの茂みが生えてて、その茂みに実っていたんです。色んな色をした大きな実が」「······そうだったのか」(うん、そうそう)とバーミリアンってヒトは答えた。


 その後、「とりあえず両方のメモを見させてもらった結果······カール達の方がより奥まで多くメモされていたため、今回はカールのグループの勝利とする!」


「「やったぁ!」」「よっしゃあ!」とカール達は喜び、「「ちぇーっ」」「残念」「負けたかぁ」とレックス達は悔しがっていた。


「まぁしかしレックス達も十分奥まで書かれていたからな、合格点の範囲だ」とバーミリアンってヒトに言われレックス達も少しは喜んだ。


「今回のような知らない場所を探索するといった事も騎士団などに所属したら行うこともあるからな、この経験をよく覚えておくように。良いな!」「「はい!」」


「うん。ホイットニー先生、皆を連れて先に学校へ戻って下さい」「······分かりました」「レックス、ベアーズ。お前達は俺とここに残ってくれ」「えっ?」(ん?)バーミリアンってヒトにそう言われ、ボク達はみんなが学校へ向かった後また洞穴に入った。


「先生、どうしたんですか?」(うんうん)「実はな、お前達が見つけたフロアだが、俺達は今まで把握していなかったんだ」「そうなんですか!?」「ああ」(うそぉ)


「それで念のために俺も確認しておこうとお前達に残ってもらったんだ」(そうだったんだ)と話をしていたらあっという間にあの場所へ着いた。



「これは、本当にすごい光景だなぁ」バーミリアンってヒトも目の前の光景に驚いていた。


 そして実の1つに近付いてじっくり見ていたら、「これは······恐らく魔法の木の実の類いだ」「魔法の木の実?」「ああ。これらをそれぞれ他の物と一緒に調合すれば、様々な薬品を作ることが出来るはずだ」


「そんな凄い物だったんですか?」「ああ。サポート科の先生方が知ったらすごく喜ばれるぞ、これは。お手柄だレックス!」「いえ、僕じゃなくてベアーズがあの隙間を見つけてくれたものですから、ベアーズのお手柄ですよ」「そうだな。よく見つけてくれたな、ベアー······あれ? ベアーズは?」「あれ? そういえば······」レックスとバーミリアンがベアーズを探していると······「「あっ」」ほどなく姿を見つけた。その当人は······。


(食べたい、食べたい、食べたい、食べたい······)白い実の前でよだれを垂らして食べたそうにそれを見ていた。


「べ、ベアーズ」レックスも呆れていたが、バーミリアンってヒトが、「まぁお前が食べても害はないだろうから、見つけたご褒美でその1つぐらいなら食べても良いぞ」と言ったので、くるっと2人の方を見て(ホント!)と言わんばかりの表情を見せ、またすぐ白い実の方に向き直して目の前の実をパクッ! と食べた。すると······。


(······お、おいしー!)余りの美味しさに感動し、微動だにしなくなった。


 そんなボクを見て心配になったレックス達は「おーい、どうした? ベアーズ」「だ、大丈夫か?」と声をかけてきた。


 その声に答えるように(なーにー?)と振り返った。


「「ゔっ!」」するとそんなボクの表情を見た2人は、「だ、大丈夫、みたいですね」「そ、そのよう、だな」と少々引き気味になったと後でレックスから聞いた······。


 それからボク達は外に出て学校に戻り、バーミリアンってヒトが他のヒト達にボク達が見つけた実の事を話し、少ししてサポート科ってところのクラス(あとでそれがアリスのクラスだったと本人から聞かされた)が調べに行ったみたい。



 それからまた何日か過ぎ、いつもの4人がボクのスペースの所に集まってあの実のあった洞穴の事を話し出した。


「そっか。そんなにも凄い実だったんだ。あそこに実っていた実は」「うん! 先生達も驚いて喜んでたわ。これだけの大きさや種類があれば、どれだけの薬が作れるだろうかって」「へぇー」


「そりゃあすげぇな。俺も去年1回あの洞窟へは探索に行ったことがあったけど、そんなとこがあるなんて気付かなかったからなぁ」「だとしたら、本当に今回もベアーズちゃんのお手柄ね」


「本当にそうだね。なっ、ベアー······ズって、おい」「「「ん? ······あぁ」」」レックスの変な言い終わり方が気になった3人もベアーズを見て、納得した。そのベアーズはと言うと······。


(あの白い実、ほんとうにおいしかったなぁー)今でもあの時食べた白い実の事を思い返し、空を見上げぼーっとしていたのだった。


 その際の顔があの時と同じ顔になっていたので、レックス達はベアーズを見ながら「あいつ、またあの時の事思い出してるみたい」「そ、そうみたいね」「だな」「フフフッ。よっぽど美味しかったんじゃない? その時食べた実が」「か、かもしれないね」と呆れ果てていたのだった······。

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