第28話 アッシュやメリッサとジュギョウ
またまた別のクラスのジュギョウに参加する事となった。今回は······。
「はい、兄ちゃん」「サンキュー、レックス。よろしくな、ベアーズ」「よろしくね!」コク(うん!)アッシュとメリッサのクラスとだった。
ということで2人に連れられクラスに合流し、ジュギョウをする場所に向かった。そこはガッコウから少し離れた場所にある高い山のふもとだった。
ふもとに着いたところでせんせいと思われるヒトの1人が、「それでは本日の授業内容を説明する。この高山からは銀がよく発掘されており、近々その銀が大量に必要となりそうであるためサポート科の君達に調達をしてもらうことにした。ただし、この高山には様々な種類のウルフ達が生息しているという情報がある。そのため武力科の君達にも今回は参加してもらうこととなった」(そうだったんだ)
「それでは各チームのメンバーを発表する! 今回は基本的に武力科3名とサポート科2名で1チームとしている」と色んなヒトの名前が次々呼ばれた。
そして「······の5名。以上が基本チームだ。それで······」と言ってせんせいはアッシュ達の方を見て「残ったアッシュ・ハーメルンとメリッサ・ローテン。君達は2人でチームを組んでもらう」「「ええーーー!?」」さすがにそれを聞いてアッシュ達だけでなく他のヒトも驚きの声をあげた。
「せ、先生。いくらなんでもそれはあんまりじゃあないですか?」「何を言っとるアッシュ。お前ぐらいの実力なら問題ないだろ。だからメンバーをメリッサのみにしたんだ」「それに、その子を借りてきてもらったんだろ?」「「え?」」(ん?)せんせいやアッシュ達はボクを見た。
「あー、そういうことですか」(そういうことね)アッシュもボクも納得した。
「それとアッシュ」「はい」「もし今回お前達が最も多く銀を集めたら、学年末試験の結果に関わらずお前を来年Sクラスに昇格させよう」「ホ、ホントですか!?」「ああ」「いよっしゃあー!」「良かったわね、アッシュ」「ああ!」とアッシュとメリッサは喜んでいた。
「それでは各自3時間を目処にまたここに戻ってくるように。では解散!!」を合図に「良し! 行こう!」や「行くぞ! みんな!」「おぉ!!」などの掛け声とともにみんな散って行った。
アッシュ達も「よし、行こう。メリッサ、ベアーズ」「うん」「ガウ(分かった)」その場を離れた。
最後に出発した事もあって他のチームが向かわなかった方向に進み、少し進んだところで「それでメリッサ。銀はどの辺りで採掘出来るんだ?」「うん。銀は陽があまり当たらない所から多く取れるみたいだから、崖下とか大きな岩の岩影から取れると思うわ」「そっか。なら好都合だな」「え?」(こうつごう?)
「ウルフ達は平坦な広い場所にいる事が多いからな。崖下とかなら奴らに遭遇することもなく銀が取れるだろうから」(そうなんだ)
「そっか。凄いわねアッシュ。ウルフの事をそこまで覚えてるなんて」「それを言うならお前の銀の事もそうだろ」「それもそうね。だから先生達も私達だけのチームにしたのかもしれないわね」「ああ。おまけにコイツもいるしな」とボクを見た。「それもそうね」とメリッサも同意したのだった(えへへ)。
とそんな話をしていた時、ピクッ!(ん?)不意に近くで何かの気配を感じた。その気配はアッシュ達が進もうとしている方向とは別の方向へ続いている道の先からだった。
そのためボクは「ガウ、ガウ!(アッシュ。あっちから何かの気配がするよ)」と訴えた。
それにアッシュも気付いてくれて「ベアーズ。そっちに何かいるのか?」と尋ねてくれた。
コク(うん。そう)と頷くとアッシュは少し考えて「様子を見るだけ見てこよう」「そうね」メリッサも同意してその道を進んだ。
少し進んだところで「っ! (ストップ!)」アッシュがボク達を制止させて前を見させた。そこには全身が赤色と白色の毛で覆われた恐らくウルフと呼ばれているまものが3匹いた。
「(アイツらは確か······レッドウルフって呼ばれてる奴らで、普通のウルフより気性の荒い連中だったはずだ)」(そうなんだ)
アッシュがそう説明した後、「(アッシュ)」「(何だ? メリッサ)」「(あのウルフ達のいるところの後ろの岩影見て)」と言われてアッシュとボクはそこを見たら、なぜかキラキラと光っているように見えた。
「(あれ多分、銀が反射している光よ)」「(そうなのか!?)」「(ええ。間違いないわ)」(メリッサがそう言うのならそうかもしれないけど······)ボクはアッシュを見た。
アッシュも何か考えてるみたいでその後「······3匹なら、いけるか」(え?)「(戦うの?)」「(ああ。あれが本当に銀なら儲けもんだろ?)」「(うん。けど······)」「(心配ないって)」アッシュはメリッサに言ったけど、(それなら······)とボクはアッシュのズボンの裾を咥えて引っ張った。
「ん? 何だべ······」と言いかけたところでボクの顔を見て、真剣な顔つきになっていたのを確認して「(お前も手伝ってくれるのか?)」コク(うん! ······1匹となら)と頷いてアッシュに示した。
それを見てアッシュも「(フッ、分かったよ。なら俺が2匹を相手にしている間、1匹の注意を引き付けておいてくれ)」······コク(分かった)。
ボクの思いが通じたような指示をアッシュが言ってくれた。
「(気を付けてね、アッシュ)」「(ああ)」とメリッサはアッシュに言ったあとボクの近くにしゃがみこんで「(ベアーズちゃんも気を付けてね)」とボクの頭を撫でてくれた。
それに対してボクがコクと頷いた後「(よし、行くぞっ!)」アッシュが飛び出し、ボクも続いた。
こうして、ボクにとっては初めて直接まものと対峙する瞬間が訪れることとなった······。