第27話 アリスとジュギョウ
ある日「ベアーズ、またお前の力を借りたいクラスがあるんだって」とレックスがやって来た。
(またぁ)と思っていたら、「今度のクラスはお前もよく知ってる人がいるクラスだから大丈夫だよ」(よく知ってるヒト?)レックスがそう言ってきたので、とりあえず連れてってもらった。
少ししたところで「あ、レックスー! ベアーズ!」(この声)聞き慣れた声がしたと思ったら「アリスー! お待たせー」レックスも言い返したので(やっぱりアリスだ!)と確信し、(そっか。アリスのクラスだったんだ)と理解した。
そしてレックスからアリスに渡され「ありがとう。終わったらスペースに戻しておくから」「分かった。じゃあね、ベアーズ」(うん。バイバーイ)とレックスは帰って行った。
「それじゃあ行こっか」コク(うん!)アリスはクラスのみんながいる所に向かった。
「お待たせしました!」アリスがみんなの所に着いたところで「来たか。では現地へ出発する!」「「はい!」」せんせいと思われるヒトの声とともに歩き出した。
そして目的地と思われる森の前で止まり、「それでは本日の授業内容を説明する」またせんせいが話し始めた。
「この森の中にはあちこちに薬の材料となる各種薬草が生えている。その薬草の調査を今回はグループに別れて行ってもらう。ただし、森の奥地の方には以前から凶暴な魔物が生息しているとの情報がある。そのため今回は武力科のレックス君からベアーズ君を借り、協力してもらうことにした」(あぁ。そういうこと)ボクも含め全員が納得した。
「それでは各グループメンバーと担当エリアを発表する」と言って色んなヒトの名前や場所が言われ、「最後に森の奥地へはアリス・テレンシア!」「はい!」「それから······」とアリス達の名前が呼ばれた。
「以上だ。そして先ほど伝えたようにベアーズ君にはアリス達と同行してもらう。アリス、ベアーズ君の事頼んだぞ」「分かりました」(やった!)「それでは各自約2時間で調査を行いここに集合するように。それでは解散!」と言われボク達も目的の場所に向かった。
目的の場所へ行くまでは特にまものなどにも遭遇したり、近くには感じられずに進めて無事に辿り着いた。
「それじゃあそれぞれ別れて調査を始めましょ!」「分かった」「OK」アリスの声に他のヒトも答えてバラバラになった。
その後アリスはボクに「ベアーズも何か感じたら教えてね」「ガウ(分かった)」そう告げてアリスも調査に行った。
周りに誰もいなくなってからボクは周りを警戒しつつ······(おいしそう)目の前の茂みに実っていた赤い木の実に興味を示していた。
そのため周りを見渡し、誰も(アリス達が)いないことを確認して······パクッ! とその赤い木の実を食べた。ムシャムシャムシャ(······おいしー!)と感動した直後······。
ピクッ!(ん?)今何か感じたような気がしたため、クンクン、クンクンと匂いを嗅ぎ出したところ、(この匂いは······)以前に参加したジュギョウの時に嗅ぎ付けたまものの匂いにそっくりだった。と、言うことは······。
(まものが近くに来てるんだ!)そう思うとボクはアリスのいる所に向かい、すぐに「ガアガア!(アリス! まものがやってくるよ!)」と叫んだ。
ボクの声が聞こえてアリスがこっちを向いてくれて「っ! ベアーズ、もしかして魔物が近くにいるの?」と尋ねてきたので、コク(うん、そうだよ)と頷いた。
そのボクの様子を見てアリスは全員に「皆! 魔物が近くに潜んでいるみたいだから、すぐ近くの草むらに隠れて!」と伝えた。
それを聞いた他のヒト達が一斉に近くの草むらに隠れだした。
みんなが隠れたのを見て(一体どんなまもの何だろう?)とまものの姿を確認するがためにその場で佇んでいたら、「(ベアーズ!)」クイッ!(うわぁ!)ガサガサッ! 不意に首根っこをアリスに掴まれ、そのまま草むらに引きずり込まれた。
「(あなたがあそこにいたら、私達までバレるかもしれないでしょ!)」と怒られ、さすがにその通りだと思い(ゴメンなしゃい)と反省したのだった。
それから暫く全員その場から動かず息を潜めていた。
すると、ピクッ!(っ! すぐ近くに来てるよ)と言いたげにアリスを覗いた。アリスもボクのその様子を感じとってくれて、無言でコクと頷いてくれた。
その直後、すぐ近くの草むらが大きく揺れだしたと思ったら、その草むらから今まで見たことがない大きな生き物が現れた。
四つん這いで歩いているその生き物を見てアリスは「(お、大きなトカゲのような姿をした魔物だったのね)」と呟いていた。
(トカゲ?)ボクが住んでいた森にもトカゲと呼ばれていた生き物はいて何度か見たことあったけど······(あんなに大きくなかったよ!)と心の中で叫んだ。
そんなことを思っているうちに、トカゲのような姿をしたまものは辺りをキョロキョロしたり、数歩動いた後にその場を離れた。
さっきのまものがいなくなって少ししたところでアリスが、「みんな、もう大丈夫みたい」真っ先に草むらから出てみんなにそう伝えた。
それを聞いてみんなも出て来て、「さぁ、さっきの奴が戻ってきたり、他の魔物が出て来ないうちに調査を終わらせましょう!」「「うん!」」再び調査をしだした。
ボクもさっき以上に真剣に周りを警戒したのだった。
そして「みんな、そろそろ切り上げて集合場所に戻りましょう!」とアリスが言ったのを皮切りに「分かった」「了解」「充分メモ出来たしね」などと他のヒト達が言い出し、みんな集まって移動をしだした。
帰りは行きと違い、ピクッ!(あっ)まものの気配を度々感じ、その都度顔を見上げて「ガア!(アリス! 近くにいるよ)」と知らせた。
「分かったわ。みんな!」と他のヒト達に伝え、すぐに近くの草むらに隠れてやり過ごしたりしたのだった。
そうして少し時間がかかったけど······「先生!」「おお、全員無事に戻って来られたか」「はい! ベアーズのお陰で魔物達にも直に遭遇する事なく調査出来ました!」とアリスは全員がメモしていたモノをせんせいってヒトに渡した。
「うむ、良くやった。では全員が帰ってくるまで向こうで休憩していなさい」「「分かりました!」」と言われてアリス達は指定された場所で休憩する事にした。
それから全員が帰ってきたところで「今回は全員それぞれ良く調査出来たな。これだけ出来れば問題ないだろう。全員合格だ!」「「やったぁ!」」「「良かったぁ!」」と全員がそれぞれ大喜びしていた。
「では学校へ帰るぞ」「「はい!」」こうしてアリス達の今回のジュギョウは終わった。
そしてガッコウに戻ってきたところで······。
「それじゃあね、ベアーズ」コク(バイバーイ、アリス)アリスによってスペースに戻され、アリスは立ち去った。
それを見送った後ボクは、(······まったあの木ーの実食べたいなぁー)とアリス達の目を盗んで食べた赤い木の実の事を思い返していたのだった······。