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野生子グマの人生変転記  作者: きこうダきこう
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第20話 アッシュとアリスとの再会

 レックスがいなくなってスペースを見渡した後、しばらくスペース内を歩き回ったりスペース内にある木に登ったりしてレックスがアッシュやアリスと戻ってくるのを待った。


(早く帰って来ないかなぁ)と待ち続けていると、ピクッ!(っ、この匂いは!)突然漂ってきた匂いが懐かしい匂いだと分かり、その匂いの正体が来るのを待った。すると······。


「って、ホントにベアーズじゃねぇか!?」(やっぱりアッシュだぁー!)レックスがアッシュを連れて戻って来た。


(おーい! アッシュー! と、誰?)レックスとアッシュ以外にアリスではない誰かも向かって来ていた。


(もう1人って誰? それより、レックス! アッシュとアリス以外に知らせちゃダメなんじゃないの!?)と疑問に思いつつ頭の中で叫んでいると3人が間近にやって来た。


 するとアッシュが早速「ど、どういう事だレックス。何でベアーズがここにいるんだよ? それにこの柵って?」レックスに聞いたのでレックスは、「実は今回の実技試験でベアーズの力を借りる必要が出来たんだ」コクコク(そうそう)


「それで試験の課題を無事に終わらせて森で別れようとしたら、コイツが背中に引っ付いてきて離れなかったんだ」コクコクコクコク(そうそうそうそう)


「そしたらハウル様が『そのまま学校へ連れて行けば』と仰ったから連れてきてバーミリアン先生に説明したら、校長先生の許可が下りて学校で過ごせるようになって、このスペースも昨日のうちに作ってもらえたんだよ」コクコクコクコク(そう言うことそう言うこと)と説明した。


「はぁ。そうだったんだ」レックスの説明を聞いてアッシュも納得したようだ。


 するともう1人が「それじゃあ、この子がレックス君達がいつも話している子グマのベアーズちゃんなのね?」コクコクコクコク。コク?(そうそうそうそう。だから誰?)つい今までの勢いで頷いたが、未だに目の前のヒトが誰なのか分からず首を傾げた。


 そんなボクの様子に気付いてそのヒトは「初めまして。私はメリッサって言うの」と挨拶してきた。


(メリッサ?)そう聞いて(確か前にそんな名前をどこかで······あっ!)ようやく思い出した。


 アッシュとアリスが村に帰って来た時に話した話題に出てきた名前だ。確かあの時······。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「メリッサさんて言うのは、アッシュ兄ちゃんにとってベアーズ、あなたのお父さんにとってのあなたのお母さんのような存在の人よ」「そうそう」


(そっか。メリッサはアッシュにとって1番大事で何がなんでも守らないといけない存在かぁ)と理解した。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


(つまりこのヒトがアッシュの1番大切なヒトなん、だ!)と理解したと同時にアッシュをまじまじと見つめた。


 ボクの視線に気付いたアッシュもボクをじっと見て、ようやくその理由に気がついて「そうそう。コイツがあの時話していたメリッサだよ」(やっぱり)


 そうアッシュが説明したら、「あの時って?」「ほら、夏季休暇の時俺とアリスが村に帰った時コイツとも再会して遊んだりしたって話しただろ? その時にお前の名前を出したから説明したんだよ」


「そうだったの。それで、何て説明してくれたの?」「あ、えーっと······何て説明したっけ、ベアーズ?」アッシュがとぼけたように聞いてきたので(······忘れたぁ)と言わんばかりにボクも首を傾げた。


「ふーん。そう」「あ、いや、別に変な事は言ってねぇって」「誰もそんなこと疑ってはいなかったけど」「あっ」とアッシュが慌て出した。そんな2人のやり取りを見てレックスが笑い出したため、それにはさすがにアッシュも「レックス!!」と怒っていた。


「ったく。ところで、アリスにはもう知らせたのか?」「いや、兄ちゃん達を見掛けたから先に連れて来たんだよ」「じゃあアリスにもさっさと知らせてやれよ」「そうだね。じゃあ探してくるよ」「うん。いってらっしゃい」


「いってきます。あ、その前に······はい、ベアーズ。ごはんだよ」とレックスは懐から食べ物を取り出してボクの前に置いた(早く出してよぉ)。その後レックスはアリスを探しに行った。


 レックスがいなくなった後は、(それじゃあ、いただきまーす!)ボクはごはんを食べだし、「美味しそうに食べてるわね」「ああ。そうだな」アッシュとメリッサはそんなボクを眺めていた。


「しっかし良かったな、ベアーズ」(ん?)「またレックスと一緒にいられるようになって」と言われたが、(それは······)ボクは急に落ち込んでしまった。


「え? 何で落ち込むんだ?」「レックス君といたかったんじゃあ無かったの?」(そうなんだけど、レックスが······)と思ったその時、「ホントにベアーズだぁ!」(あっ)レックスがアリスを連れて戻って来た。


 そしてアッシュ同様ボクの間近に来たところで「ど、どういう事レックス! 何でベアーズがここにいるのよぉ!?」レックスを責め立てるように聞いた。


「お、落ち着いてアリス。ちゃんと説明するから」と言ってアッシュ達に話した事をアリスにも話した。


 それを聞いて「そうだったんだ」アリスもようやく落ち着き理解した。


 その上で「良かったじゃない、ベアーズ。またレックスと一緒にいられるようになって」と言われたが、(だから、それは······)と再び落ち込んでしまった。


「あれ? 何で落ち込んだの?」「実はさっきも俺が同じ事を言った直後に落ち込んだんだよ」「え?」さすがにレックスも驚き「どうしたんだ、ベアーズ? もしかして、僕といるのが嫌なのか?」と聞かれた直後、(誰のせいだと思ってるの!)と言わんばかりにボクはレックスを睨み付けた。


「えっ? な、何で睨み出したんだ?」と聞いてきたけど(何でか分かんないの!)と思って色々な思いが込み上がってきて思わず涙を流しそうな気持ちになった。


 するとメリッサが「何か理由があってレックス君を睨んでるんじゃないかしら?」とレックスに話したので、すかさずボクもコクコクコクコク(そうだ! そうだ!)と頷いた。


 そのボクのしぐさを見てレックス達もそうなんだと気付き始めた。


「でも一体なんで?」レックスが考えても分からなそうだったので、ボクは次にメリッサをじっと見続けた。


「うん?」「「「え?」」」「何でお姉ちゃんをじっと······あーーーっ!!」(やっと気付いたか!)ようやくレックスも思い出してくれたみたいだ。


「な、何だよレックス。いきなり大声で叫んで」「いや、実はさっきバーミリアン先生といくつか約束事をして······」そこでレックスはバーミリアンてヒトと交わした約束の事を3人に話した。


 その話を聞いて「「「あー、そう言う事か」ね」だったんだ」みんな納得してくれた。


「そりゃあベアーズが落ち込むのも当然だわな」「うん」アッシュとアリスもボクの気持ちを分かってくれた。


 そして当のメリッサも「大丈夫よベアーズちゃん。私も誰にも話さないし、バーミリアン先生も私が知ったことは許してくれるから」(ホント?)そう言ってくれたけど、さすがにボクは疑うように首を傾げた。


「ホントだって、ベアーズ」「うんうん。私達もバーミリアン先生にちゃんと話してあげるから」「不安にさせて悪かったね、ベアーズ」3人がそう言ってくれたのでとりあえずその場は納得する事にした。


 そしてレックスは今日はもう学校での用事は終わったのでボクを連れ出し、そのままキシュクシャに帰った。


 その後アッシュとアリスがレックスの部屋に来てくれて、バーミリアンてヒトもメリッサが知った事は構わないと言っていたと伝えに来てくれてようやくボクも安心したのだった。

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