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野生子グマの人生変転記  作者: きこうダきこう
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第16話 レックスが帰って来たー!

 アッシュとアリスが村を出てってから大分月日が過ぎた。


 あれから森の中も大分涼しくなってきて、「ハ、ハ、ハックシュン!」たまにくしゃみが出るようになってきた。


(大分体も寒くなってきたし、また住み処でずっと過ごす事になるのかなぁ?)森を散策しながら毎年父ちゃんと住み処でずっと体を寄せ合って何日も眠り続けている光景を思い返していた。


 その時、ピクッ!(あれ?)クンクン(この、匂いって······ま、まさか!?)そう思ってボクはもう一度漂ってきた匂いをよく嗅いだ。


(ま、間違いない!)そう思うや匂いの方へ全速力で駆け出した。


 その匂いの元へ走りながら、(間違いない。間違いない······)同じ言葉を頭の中で言い続け、(やっと、やっとまた会えるんだー!)そしてその匂いの持ち主が目の前の草むらの向こうにいるのが分かるや、(レックスーーー!!)と叫ばんばかりに思い切り草むらから飛び出た。


 その草むらの向こうにはやはりレックスがいて「うわぁっ!」突然ボクに飛び付かれてレックスはそのまま後ろに倒れてしまった。


「ベ、ベアーズ。お前なぁ」と言われたが、そんな事はお構い無しにボクは(レックス! レックス! やっと、やっとまた会えた!)と言わんばかりに何度も体をレックスの体に擦り寄せたのだった。


 暫くレックスもされるがままの状態でいたけど、それからレックスはボクの体を手で持ち(え、何?)、体を起こして父ちゃんに「ベアー頼みがあるんだ。しばらくの間ベアーズを貸して欲しいんだ」と伝えた。


(貸してって、どういう事?)「何でだ?」と言いたげに父ちゃんは首を傾げた。「砂漠に咲いている"デザートフラワー"って花を見つけるのにベアーズの力を借りたいんだ。お願い!」と頭を下げた。


(そういう事だったんだ)と理解出来たところで父ちゃんが「どうするんだ?」と聞いてきたので、もちろん直ぐに「行く! 絶対に行く! レックスと一緒にいたいもん!」「さっきレックスが言ったモノを探し出す覚悟があるのか?」と父ちゃんはいつになく真剣に聞いてきたので、ボクも真剣な顔つきで「ある!」と答えた。


「······ハァ。分かった」と言って父ちゃんはボクをレックスの方に押し出した。


「良いの? ありがとう!」(やったー!!)レックスに言われ、父ちゃんは「息子をよろしく」と言いつつ頷いたのだった。


「それじゃあ」(父ちゃん、行ってくるねー!)と言ってレックスは手に持った白い羽のような物を空に向けた。すると······(えっ? えっ?)突然周りの景色が変わったのだった。



(ど、どこ? ここ?)とボクがそわそわしだしたらレックスが「落ち着いてベアーズ」(だ、だって)「ここは君にも前に話したエルフ族が住んでいる所だよ」


(エルフ、族?)そう言われて周りを見渡したら、今まで見たこと無い姿をしたヒトが大勢いた。


(このヒト達が、エルフ族?)ようやくボクも落ち着くことができ、それを悟ってレックスが「それじゃあ行こうか」と言って歩き出した。


 少し歩いて目の前を見たら(何? ここ?)これまた今までとは違った景色が広がっていた。


「ここが砂漠だよ」(これが、砂漠)目の前の黄ばんだ地面をじっと見つめた。


「それで、この砂漠のどこかに"蜃気楼の泉"ってところがあるんだ」(しんきろうのいずみ?)「こんな砂ばかりの所に草が生えて水が涌き出ている所何だよ」(こんな所に水が!?)さすがにそれを聞いて驚いた。


「その蜃気楼の泉のほとりにさっき言ったデザートフラワーって花が咲いていて、それがどうしても必要なんだ」(そうなんだ)


「で、そのデザートフラワーからは物凄く良い香りが出ていて、それを君に嗅ぎ分けて見つけて欲しいんだ」(そういう事ね)と理解し、それを示すようにレックスを見てコク(分かったよ、レックス)と頷いた。


「分かってくれたんだ。ありがとう。とりあえずどこにあるかは分からないから、適当に君の好きなように歩き回って、何か匂ったら教えて」(分かった!)そう言われて真下の地面に降ろされた。その直後······。


(······熱ーっ!!)足の裏が物凄く熱く感じて1回跳び跳ねてしまったが、その後は直ぐにその熱さに慣れ(あー熱かった。さて、と······)そうしてその後ボクは好きなように歩き回ったのだった。


(それにしても、本当に一面砂ばかりだなぁ)などと思ったり、(だけど、ようやくレックスと一緒にいられてるんだ)と思ったりして彷徨い続けた。



 しかし一向に何も匂ってこないため、(······全然何も匂ってこないよぉ?)と思ってレックスの方を振り返った。


「やっぱり何も感じられないか」コク(うん)「まぁもう少し歩き回ってみようよ」(うん)そう言われてまた歩き回った。


 しかしやっぱり何も見つからず、とうとう夜になってしまった。


 さすがにレックスも「もう夜になっちゃったか」(うん)「仕方ない。一旦探すのはここまでにしてさっきの里に帰ろう」(うん。でもどうやって?)と思っているとレックスはボクを抱いてまたさっきの羽のような物を空に向けた。


 するとまた周りの景色がさっきの所に変わった。その事で(そうか! さっきのを空に向けるとここに来られるんだ!)と理解した。


 その直後、「やぁレックス君」「ああ、ヨートス様」(誰?)突然誰かがレックスに話し掛けてきた。


「どうだった? デザートフラワーの捜索は?」「まだ今日のところでは見つかりませんでした」「そうか。それで、その子が?」「はい。さっき話していました子グマのベアーズです。ベアーズ、この人はこの里で一番えらい長のヨートス様だよ」(そうなんだ)と思ってコク(初めまして)と挨拶するように頷いた。


「はは、初めまして。それで、この後はどうするんだい?」「まだ決めてはいませんが······」「ならこの里で寝泊まりすると良い」「良いんですか?」「ああ。君なら大歓迎だよ」「ありがとうございます! やったね、ベアーズ」(······うん)


 そんな会話をして移動しようとしたら、「レックスー!」「あ、ロース!」レックスぐらいの子がレックスを呼んだ(またまた誰?)。


「どう、そっちの課題は?」「まだ終わってないよ。そっちは?」「こっちもだよ」「そっか。それで、その子グマは?」「今回協力してもらっている僕の村がある森に住んでいるベアーズだよ。ベアーズ、こっちは僕と同じクラスの子でヨートス様の息子のロースだよ」「そうなんだ。初めましてベアーズ」と挨拶されたので、これまたコク(初めまして)と頷いたのだった。


「それで、レックス達この後は?」とロースが聞いたら「この里で寝泊まりしてもらうことにしてるんだよ」とヨートスってヒトが答えた。


「そうなんだ。じゃあ僕もそうするつもりでいたから、一緒にいられるね」「うん。そうだね」と話し、ボク達は今日寝泊まりするところ(ヨートスとロースの家だった)に案内され、晩ごはんを食べてしばらくレックスとロースが寝る部屋で会話をしてそのまま眠ったのだった······(おやすみ)。

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