第1話 1日の生活
ここはファンタジック大陸に存在するヒト族の領土であるサンドリア王国の、中央地帯に存在している森の中。
この森の中にはヒトの集落である村が1つ存在し、それ以外の場所には様々な動物が過ごしており、このお話の主人公の子グマもその動物達の中の1匹である。
この子グマは父親と2匹で生活 (母親は子グマを産んですぐに死んでしまったらしい)しており、今朝も「ふぁーーーっ」父親より早く目を覚ました。
そしていつものように「とうちゃん、とうちゃん」父親の体を揺すりながらそう吠えて父親を起こした。
何度か揺すられた後に「うーん······あーおはよう。もう起きたのか?」「うん!」ようやく父親も起きた。
そして父親が起きたと分かるやすぐに「とうちゃん、ごはん! ごはん!」父親に朝ごはんを要求したのだった。
「分かった。少し待っていろ。今から獲りに行ってくるから」「わかった!」そう言って父親はいつも朝ごはん用の魚を獲りに近くの川へ向かうのだった。
その間子グマは住み処の近くで遊んだり近くを散歩して時間を過ごし、「おーい。獲ってきたぞぉ」「おかえり! とうちゃん!」父親が魚 (もしくは木の実など)を獲って帰ってきたらそれらを食べることにしていた。
その後は大概「じゃああそんでくるね!」「ああ。気を付けて行くんだぞ」「はーい!」と森の中へ遊びに行くのだった。
遊びにといっても、いつも1匹で草むらの中に入っていったり、少し太い木の根に登って辺りを見渡して過ごしていたのだった。
森を歩いている最中にたまたま他の動物と遭遇して「あっ、おはよ······」などと自分から声をかけたり近寄ろうとすると「わっ!」とか「げっ! クマだ!」などと叫ばれたりして離れられてしまうのであった。
その理由は子グマ自身も以前父親から「他の動物達は自分達が俺達に食べられてしまうと恐れ、あーやって俺達から逃げたり離れていくんだよ」と聞いてはいたため理解はしているけれど、やはり寂しい気分になってしまうのだった。
そしてお昼近くになったら住み処に戻り、父親が用意してくれていたごはんを食べて再び遊びに出掛けたり、もしくは住み処でお昼寝をしてその後遊びに出掛けたりするのであった。
そして夕方になったら住み処に戻って晩ごはんを食べ、その後その日の出来事を父親と語った後に眠りにつくことにしていた。
と毎日こんな風に過ごしていたのであったが、これから起こる"ある出来事"と"ある人物"との出会いによって、この子グマの人生は大きく変化することとなるのであった······。