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39:悪役令息の決意※ハンスside

 今日は七話投稿予定です。

 王宮までの道中、何度も何度も襲撃者からの攻撃があった。いずれも王家に遣わされた者であり、殺しに手慣れた騎士だった。


 ヘラとネリーが協力して騎士軍団を片づけ、進む。

 ちなみにハンスの出番は何もなかった。


 ――そして四日目。馬を使い潰す勢いで走らせ、ようやく王宮までやって来た。

 今日はメルグリホ王女との茶会当日のはずだ。約束の時間より数時間以上経ってしまっているが。


「……おかしいな。馬車がどこにもないね」


 馬を降りたネリーがそう言って首を傾げている。

 それもそのはずで、ノーマが乗って行ったはずのガイダー家の馬車がどこを見回してもいないのだ。

 普通、王宮の前に停めるはずである。もしかするとノーマと行き違いになったのではないかとも思ったが、ハンスたちは同じ道で走り続けていたのだからそれはあり得ない。御者には何があっても決して寄り道しないよう命じてあった。


「襲われた可能性がありますね。その場合、ノーマ様も危険な状態にあるかと思われます」


 ヘラが言った。


「ここで取れる選択肢は二つ。

 一つ、王宮へ乗り込み、力ずくでもノーマ様をお助けする。

 もう一つは、国王様に直訴することでございます」


「国王に直訴する? だが首謀者が王家であるなら直訴したところで聞き入れないだろう」


「戦争でも何でも仕掛けるって言って脅せばいいんだよ。国王陛下は気の弱い人だからすぐに折れるって。諦めちゃダメ。ノーマちゃんの命を救うのに大事なことが何かって考えて!」


 ネリーに捲し立てられ、ハンスは少々悩んだ。

 無論のこと彼は王家との戦争など望んでいない。辺境伯領の平和を維持させること、それがハンスの役目だからである。

 だが、いいようにされてばかりで怒りがないかといえば否だった。たとえ今回ノーマが無事であっても次がある可能性は大きい。戦闘面で女性陣に劣るハンスは、口で戦うしかないのだ。


 ノーマを守りたいのであれば、だが。


 お飾りの妻か、領地か。

 大雑把に言ってしまえばハンスは今、その選択を迫られていた。


 今までのハンスだったらきっと後者を選んだに違いない。

 元より望んでいなかった結婚だ。ノーマがどうなってもいい、領地の方が大事だ。そう思って当然のはずだった。

 だが一度好きだと思ってしまった人間を見捨てることなどできない。そもそもここまで来た時点でどちらを選ぶのかだなんて答えは出ていたのだ。


「――行ってくる」



 女性二人に見送られ、ハンスは王宮へと足を踏み入れた。

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