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17/50

17:ハンス様への贈り物

 久々の更新となりました。遅くなってすみません……。

 今日から隔日更新の予定です。

「そう落ち込まないでってば」


「でも……」


 ガイダー領の観光は無事に終わったものの、ノーマの心はどんよりしていた。

 せっかく収穫した野菜をお土産に持って帰ろうと思ったのに、結局は手ぶらで帰ることになってしまった。しかも泥まみれで帰った姿など見られたりすれば、本気で離縁されるかも知れない。


「元々、いわゆる白い結婚なわけでしょ。ただの戸籍上の夫に気を使う必要ないと思うよ。逆に悪戯しちゃってもいいくらいだと思うけどなぁ」


 まだハンスに対して怒りがあるのか、そんなことを言い出すネリー。

 しかしノーマは、ぶんぶんと首を振った。


「それはもちろん、恋もできなければ愛もない結婚生活を嫌に思わなかった訳じゃないですけど、でも、ハンス様には感謝しているんです。だってこんな素晴らしい場所に連れて来てくださったのはハンス様なんですから。

 ですから私、恩返しがしたいと、そう思ったのです」


 ……これは嘘ではない。ただ、少し綺麗事を言っている自覚はあるけれど。


 ノーマの言葉を聞いたネリーは驚いたのかして目を見開き、数秒固まっていた。

 しかし悪い気はしなかったのだろう。すぐにふふっと楽しげに笑ってこんなことを言った。


「仕方ないな、ノーマちゃんは。じゃああたしがとっておきのお土産を教えてあげようか」



◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「すごいです、ガイダー領にはこんなところもあるんですね。綺麗……!」


「そう、実はここはお兄ちゃんも知らないあたしの秘密の花畑なの。ノーマちゃんが真心を込めて花束を作ってあげればさすがのお兄ちゃんも喜ぶよ、きっと」


 そうして連れて来られたのは、ガイダー領のとある山奥、人気(ひとけ)のない木立の中にひっそりと広がっていたのは、貴族学園にあった大庭園にも負けないくらい美しい花畑だった。

 学園では見かけなかった青い花などもそこら中に咲き乱れている。ネリーが教えてくれたところによるとかなり珍しい品種であるらしく、「花束にすれば馬車一台分の価値はあるよ」とのこと。


「そんなお高いお花を私なんかがいただいてしまってよろしいのですか?」


「いいのいいの。ノーマちゃんはあたしのお義姉様なんだから、好きなだけ摘んで行ってね」


 ノーマはネリーに感謝しつつ、ありがたく青や白、黄色などの鮮やかな花々にそっと触れ、摘み始めた。

 これが花嫁になってからハンス様に贈る初めてのものになる。慎重に、そして少しばかりワクワクした心持ちで花束にするための花を選んだ。

 面白い! 続きを読みたい! など思っていただけましたら、ブックマークや評価をしてくださると作者がとっても喜びます。

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