第9話:川から色んなレア素材が採れたぞ
「ユチ様、力を抜いてくださいませ。それでは上手くできませぬゆえ」
「う、うん、そうは言ってもね……」
水源地の聖域化が終わった後、俺はルージュにマッサージされていた。
なぜか台のように土が盛り上がっている場所があって、俺はそこに連行されていた。
当然のようにパンツ以外の服も脱がされている。
まさか、ルージュのマッサージは恒例にならないよな?
いや、頑張って断れば大丈夫だろう。
まだ二回目だし定着することはないはずだ。
「生き神様! 早くこっちに来てくだされ! とんでもないことですよ!」
ルージュに無理矢理マッサージされているときだった。
ソロモンさんが大声で俺を呼んでいる。
その顔は驚きで満ち溢れていた。
「何か旨そうな魚でも採れたのかな」
「行ってみましょう、ユチ様」
「ちょっと待ってくれ、とりあえず服を……」
「生き神様! 何をやっているのですか! さっさと来てくだされ!」
服を取ろうとした瞬間、ソロモンさんに勢い良く引っ張られた。
すんでのところで俺の手は空振りする。
「ソ、ソロモンさん! ま、待って! 服!」
「そんなのいいから、早く来てくだされ!」
「服をお召しになられていると、ユチ様の魅力が半減いたします」
「そうじゃなくてね!」
結局、俺はパンツ一枚の格好で駆り出された。
高身長美人とロリ幼女に手を引かれる半裸の男。
傍から見るとただの変態だろう。
――それにしても、ソロモンさんはどうしてこんなに慌てているんだ?
しかし、川の近くまで行ったとき、その理由がわかった。
「マジかよ……すげぇな」
「これは……私めも驚きました」
川のすぐ近くの地面には、度肝を抜かすようなレア素材がどっさり積まれていた。
こりゃあ確かに、驚くわな。
<ジュエリンフィッシュ>
レア度:★7
目と鱗が宝石になっている魚。鉱石を研磨した宝石より、ずっと透明度が高い。乱獲のため数が減っており大変な希少種。肉も美味。
<ガラスクラブ>
レア度:★9
全身が特殊なガラスのカニ。このガラスを用いて作られた望遠鏡は、何十km先までも見える。肉も美味。
<リフレクティング・マジカルシェル>
レア度:★8
魔法を反射する力のある貝。この貝殻で作った鎧は対魔法力に優れている。肉は貝柱として食べるのが通。
<バフバフ水草>
レア度:★8
食べると身体能力が何十倍にも増幅される。水が極めてキレイな川でないと生息しない。
<プラチナ砂金>
レア度:★9
金の純度が100%の砂金。不純物など一切入っていない。この砂金で作られた装具は、魔法攻撃を吸収し無力化する。宝石としての価値も超一級品。
「どいつもこいつも、レア素材ばかりじゃねえか」
「あのクソ川からこんなにたくさんのレア素材が手に入るとは……私めも驚きました」
領民たちはせっせと素材を集めている。
しかも、見たところ川にはまだまだたくさんいそうだった。
さすがに取り過ぎはまずいが、採り切れないくらいあるんじゃなかろうか。
「見てください、生き神様! 夢のような光景ですよ!」
「俺だって長年生きているが、見たことねぇ物ばかりだ!」
「デスリバーからこんなに素晴らしい物が採れるなんて思ってもみませんでした! これも全部生き神様のおかげね!」
俺に気づくと、領民たちは跪き祈りを捧げ出した。
「い、いや、お祈りなんかしなくていいですからね」
「皆さま! ユチ様こそ生きた伝説! この村の守り神なのです! さあ、皆でその偉業を称えましょう!」
「「ははー!」」
ルージュがご満悦な顔で煽りまくる。
「それだけじゃないんですじゃ! 生き神様、この水を見てくだされ!」
ソロモンさんは大慌てで、小さな器を持ってきた。
中を見たが、ただの水だ。
透明でキレイだが、何の変哲もない。
「キレイな水ですねぇ」
「十分飲めそうな水でございます」
「もっとよく見てくだされ!」
ソロモンさんは、切羽詰まった感じで器を差し出してくる。
こんな水より、さっきの魚とか砂金の方がよっぽどレアな気がするが……。
と、そこで、俺たちはぎょっとした。
「お、おい……ルージュ……」
「え、ええ……」
結論から言うと、この水はただの水ではなかった。
<ライフウォーター>
レア度:★10
生命を司る水とも言われている。体力や魔力を最大限まで回復する。怪我をしたところに振りかけると全治癒する。コップ一杯飲むだけであらゆる万病を癒す。
「レ・ア・度・10!? こ、これは、あの<ライフウォーター>じゃないですか!? この水はどこから採ってきたんですか!?」
「このコップ一杯で人生を3回は遊んで暮らせますね」
病気は治ったのに、ソロモンさんはハアハアしている。
興奮を抑えきれないと言った感じだ。
「そ、それがデスリバーの水なんですじゃ!」
「「ええ!?」」
俺とルージュはめちゃくちゃに驚いた。
川の水が全てレア度10なんてありえるのか?
「ソロモンさん、そんなことあるわけないじゃないですか。そんなの伝説の神域レベルですよ」
大昔に滅びてしまった古代世紀では、“神の領域”と言われる領地ゴルドレムがあったらしい。
なんでも、“不可能が無い”と言われるほどに栄華を極めていたそうだ。
「生き神様! 川全体をよく見てくだされ!」
「川全体……ですか?」
ソロモンさんに言われ、ルージュと一緒にデスリバーをジッと見る。
「あ、あれ……? まさか、本当に……?」
確かに、よく見るとデスリバー全部が<ライフウォーター>のようだ。
つまり、この川自体がレア度★10。
とんでもない川だったようだ。
に、にわかには信じられん……。
「生き神様のおかげでキレイな水が飲めるぞー! いつも喉が渇いてしょうがなかったんだ!」
「これでもう雨水を溜める必要もないんだな! 俺はもう感慨深いよ!」
「いつでもキレイな水が飲めるなんて素晴らしすぎる!」
領民たちはしきりに感謝しながら、ガブガブと川の水を飲んでいる。
本当にこれ全部が命の水だったんだな。
デスリバーの聖域化は、飲み水の確保どころの話じゃなかったというわけだ。
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