番外編:新しい特産品……
書籍第1巻が、2023年9月21日グラストノベル様より発売されました!
どうぞよろしくお願いします!
また、あとがきにも大事なお知らせがあります!
「さあ、皆さまご準備はよろしいですか?」
「準備万端じゃー!」
「私も問題ございません」
今日、俺の家で会議が開かれている。
出席者はルージュ、ソロモンさん、アタマリ、そして俺。
いつものメンツだ。
みんな、いつにも増してやる気に満ちあふれている。
何が始まるかというと……。
「それでは、ユチコレクション第2弾の製作会議を始めます!」
「「おおお~!」」
デサーレチの特産品製作会議だった……。
しかも第2弾。
こ、この流れは非常にまずい。
序盤でどうにか流れを止めなければ。
「待って! 俺関係の品はもう要らないんじゃないっ!? だって、もうたくさんあるわけで……」
「ユチコレクションは現在フィギュアと饅頭の2種類でございますが、もっと種類を増やすことが早急に求められております! これはデサーレチにおける喫緊の課題なのです!」
「そうじゃ、そうじゃー! 生き神様の象徴はいくらあってもいいんじゃ!」
「ユチ様をもっと大々的にアピールしましょう!」
わかってはいたが、一瞬でハイテンションになった彼女らの耳に、俺の声が届くことはなかった。
そのまま、ルージュたちは各々鞄から何かを取り出した。
な、なんだ?
「私はフェイスタオルの試作品を用意いたしました。デサーレチで採れた作物の繊維を使っていますので、肌触りも最高でございます」
「「おおお~!」」
ルージュが取り出したのは、横長の白いタオル。
清潔感にあふれ、触らなくてもすごいフワフワだとわかる。
「ユチ様、どうぞお触りくださいませ」
「う、うん……」
タオルを渡されたので触ってみる。
見た通りのフワフワ具合で、まるで真綿できているようだ。
撫でていると、ルージュは興奮した様子で詰め寄ってくる。
「どうでしょうかっ。自信作でございますがっ」
「す、すごい良い肌触りで素晴らしいのだけど……」
「はい」
「……俺の顔が描いてあるのだが」
中央にデカデカと俺の顔が縫われていた。
繊細極まる刺繍で。
繰り返すが、隅っこに小っちゃくではなく中央にデカデカとだ。
やるせない思いを抱いていると、ルージュが嬉々として説明する。
「無論、それが一番大事な部分でございます。顔を拭く度、ユチ様を感じられる仕様といたしました」
「や、やっぱり大きすぎるんじゃ……」
「生き神様! 今度はワシたちの試作品を見てくだされ!」
「ソロモン様と共同開発いたしました!」
最後まで言い切る前に、ソロモンとアタマリがバン、バン、バーン! と机に何かを置いた。
金属のマグカップだ。
「マ、マグカップ……ですか?」
「そうですじゃ! 魔法で断熱性も付与したから、熱いものを入れても火傷しないで持てますじゃ!」
「子どもでも扱えるよう、軽さにこだわりました!」
持ち手は適度に幅広で持ちやすく、金属なのに驚くほど軽い。
とても使いやすいことこの上ないだろう。
が、問題が一つだけあった。
「あ、あの~、一つ聞いてもいいですか?」
「なんですかな、生き神様!」
「なんでしょうか!」
ソロモンさんもアタマリも、目を輝かせて俺を見る。
「俺が描いてあるんですが……」
マグカップの表面には、俺が刻まれている。
今度は顔の拡大ではなく、全身の絵だった。
しかも、カップ毎に絵柄が違う。
寝ている様子、村を歩いている様子、飯を食っている様子……い、いったいどういうことなのだ。
「もちろん、それが一番の売りでございますじゃ!」
「飲み物を飲む度、ユチ様と一緒に飲んでいるような感覚になれますよ! ユチ様の表現に全ての力を注ぎました!」
ソロモンさんとアタマリは充実感に満ちあふれている。
本当に造るのが楽しかったらしい。
「ちなみに、イラストは私が描かせていただきました」
「う、うん……わかってた」
極めて再現度が高いからな……俺の。
「では、ユチ様! ユチコレクションの第2弾の製作は決定ということでよろしいですね!?」
「ワシはもう作るのが楽しみで夜しか寝られないんじゃ!」
「部下たちも製作の合図を、今か今かと待っております!」
無論、やる気に満ちあふれた彼女らを止められることなどできない。
領主たるもの、領民たちの幸せが第一なのだ。
「うん……いいよ……もちろん、いいよ……」
「おおお~! 生き神様のお墨付きじゃー!」
「ユチ様のために、私たちも精一杯努力します! どうぞ見守ってくださいませ!」
「全身全霊で打ち込みますよー!」
会議が終わるや否や、爆速で新しい特産品の製作が始まってしまった。
――――――――――――――――
【生き神様の領地のまとめ】
◆ユチ・コレクションVol.2
デサーレチの特産品として作られる品々の第2弾。
新しく、フェイスタオルと金属マグカップの製作が決まった。
どちらも実用性に優れ、ユチの再現度が極めて高い。
今後、何が増えるかはお楽しみ。
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