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第27話:伯爵家の資産が底をつき始めたああああ(Side:エラブル③)

「ゲホオオオオ……早く次のポーションを持ってこいいいい! ……ハアハア」


 相変わらず、ポーションやら薬やらが全く効かない。

 もはや、身体強化のポーションで無理やり体を動かしていた。

 一瓶50万エーンの物を一日5、6本のペースで飲んで、ようやく身体が少し動かせる。

 ものすごい勢いでサンクアリ家の資産が減っていく。

 そろそろ、笑い飛ばせなくなってきたぞ。

 こうなったら、使用人の給金を延期するしかない。

 先月も未払いだったが、払えない物は払えない。


「「エ、エラブル様……今月のお給金をまだ頂いていないのですが……というか、先月のお給金はいつ頂けるんでしょうか……」」


 そう思った瞬間、使用人どもがぞろぞろやってきた。

 今月の支払い日から2週間ほど経っている。


「こ、今月の給金も無しだあああ! 来月にまとめて渡すううう!」

「「そ、そんな……!」」


 使用人たちはガーン! と衝撃を受けた。

 と、思いきや、いっせいに突っかかってきた。


「困ります、エラブル様! 毎月頂かないと生活できません!」

「子どもたちのご飯を作ってあげられませんよ!」

「お願いですから給金を払ってください! このデブキノコ!」


 使用人どもが私を取り囲む。

 とんでもない悪口を言われた気がするが、体調不良と人の圧でそれどころじゃなかった。


「「黙れえええ! 黙れえええ! 黙れえええ! 私に対して口答えをするんじゃないいいい!」」

「「うわあっ! 瘴気が!」」


 一斉に使用人どもは後ずさる。

 ふんっ、このザコどもが。

 この私にたてつこうとするな。

 すると、使用人の一人が恐る恐る紙を渡してきた。

  

「エ、エラブル様……フォックス・ル・ナール商会から請求書が届いておりますが……」

「ぬわぁにいいいい!」


 使用人から紙の束を奪い取る。

 気絶しそうなほど、高い金額がびっしり書いてあった。

 


<古代世紀の儀礼箱>

レア度:★8

 古代世紀で特別な儀式の時に使われていたとされる小さな箱。古のドラゴンを復活させるのに必要。クッテネルングは300万エーンで購入した。


<エンシェントドラゴンの血>

レア度:★9

 古のドラゴンと呼ばれるエンシェントドラゴンの血。古代世紀で誰かが採取した。小ビンに保管されている。クッテネルングは700万エーンで購入した。


<エンシェントドラゴンの逆鱗>

レア度:★10

 古代遺跡より発掘された大変貴重な素材。クッテネルングは2000万エーンで購入した。



 知らないうちに、フォックス・ル・ナール商会からレア素材を大量に買っていた。


「いったいこれはなんだああああ!? 誰がこんなに買ったのだあああ!」

「デブキノコジュニア……ではなく、クッテネルング様です!」

「なんだとおおおお!? クッテネルングウウウウ、どこにいるんだああああ! 出てこいいいい!」


 怒鳴りつけると、クッテネルングがフラフラしながらやってきた。


「なんだよぉぉぉ、父ちゃまぁぁぁ」

「この請求書はなんだああああ!」


 目の前に紙の束を叩きつける。

 クッテネルングはバツが悪そうに目を逸らした。

 私はボカりと殴りつける。


「この愚か者おおお! こんな大金を使い込みおってええええ!」

「いたぁぁぁ! なんで殴るんだよぉぉぉ!」


 クッテネルングはびーびー泣いていた。

 ポーション代やら何やらで、今すぐ3000万エーンなど払えん。

 ツケにするしかない。


「どうしてこんな物を買ったのだあああ!」

「そ、それはぁぁぁ、古のドラゴンを復活させるためだぁぁぁ」

「なにいいいい?」

「僕ちゃまの<ドラゴンテイマー>でテイムして、クソ兄者に復讐してやるんだよぉぉぉ。あいつのせいで僕ちゃまは女の子たちから嫌われたんだぁぁぁ」


 クッテネルングはジタバタ足を踏み鳴らしている。

 こいつもゴミ愚息に復讐したいのか。

 ふむ……。 

 〔ジェットブラック〕を送っているから、ユチの死は確定だ。

 だが、万が一のこともある。

 念のため、更なる策略を用意しておいてもいい。

 

「エ、エラブル様……」

「今度はなんだあああ!」


 また使用人がきた。

 何度追い払ってもやってくる。

 こいつらはグールか。


「王宮からの使者がいらっしゃってますが」

「な、なんだとおおお」


 オーガスト王国の貴族は、定期的に王様へ領地の報告をすることになっている。

 そういえば、今日がその日だった。

 ゴミ愚息の嫌がらせを考えていたら、すっかり忘れていた。

 ぐっ……まずいぞ。

 そうだ。

 

「体調不良で行けないと伝えておけええええ!」


 体調が悪いのは事実なのだから、別に問題はないはずだ。

 よし、とりあえず今回は誤魔化そう。


「で、ですが、前回の報告の時も体調不良だと仰られていたような……」


 使用人の言葉に私は固まる。

 しまった。

 そうだった。

 税金を重くしたばかりだったから、前回も体調不良だと断っていたのだ。

 何度も何度も休んでいると、領地経営の適性が無いと判断される。

 領地の没収……ゆくゆくは爵位まで取り上げられる危険まである。


「ぬうううっ……ぐうううっ……」

「エラブル様、早くしないと使者の方がお帰りになってしまいます」

「黙れええええ、そんなことわかっておるわあああ!」


 対策を必死に考える。

 そうだ。


――デサーレチのウワサを確かめる良い機会かもしれないぞ。


 もし、ウワサがウソならば……。 

 私はニタリとほくそ笑む。

 ウソの話を広めたとして、ユチを陥れてやる。 

 万が一にも、〔ジェットブラック〕が失敗することはあり得ないが、念には念を入れておこう。

 ゴミ愚息の逃げ場を完全に無くしておいてやる。

 いや、むしろ……。


――クソユチを詐欺師ということにしてしまおう。


 例えユチがウソを吐いていないとしても、そんなことは後からどうとでもなる。

 よし、筋書きは完璧だ。

 やはり、私は頭が良いのだな。

 

「使者には先に行けと言っておけえええ! お前は馬車を用意するんだああああ!」

「承知いたしました……デブキ……エラブル様」


 適当に準備したら、さっそく馬車に乗り込む。


「デブキ……エラブル様、資料などはご用意しなくてよろしいのでしょうか?」

「黙れえええ! この私に口答えするのかああああ! さああああ、さっさと馬車を出せええええ!」

「わ、わかりました! ……クソッ、絶対に復讐してやるからな」

「なんか言ったかあああ!」

「いえ! 何でもございません!」

 

 王様と王女様の前でユチの化けの皮を剥がしてやる。

 そうすれば、あいつはもうおしまいだ。

 デサーレチでのたうち回って死ぬがいい。

 私は明るい気持ちで王宮へ馬車を走らせた。

お忙しい中読んでくれて本当にありがとうございます!m(__)m


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