第13話:色んな鉱石が出てきた
「ユチ様、もっと力を抜いてくださいませ」
「いや、ほら、もういいから」
領民たちがピッケルを振るう中、俺はルージュにマッサージされていた。
しかも、ただのマッサージではない。
パンツ以外の服は全て脱がされ、ルージュ特製のオイルによる怪しいあれだ。
地面にはマットを敷かれ、オイルを塗られ……やりたい放題だ。
これらのアイテムは全てルージュが持参してきた。
「力を抜いてくださらないとマッサージできませぬ」
「も、もう勘弁してくれ……!」
「ユチ様、いけません!」
逃げようとしたのだが、あっけなく捕まってしまった。
こ、これが元Sランク冒険者か。
有無を言わさぬい勢いだ。
ルージュはご満悦な表情で俺の体を撫でまわす。
瞬く間に、俺の全身はヌルヌルのオイルまみれになっていた。
洞窟内の僅かな明かりでも、ぬらりと艶めかしく光っている。
「お気持ちはいかがでしょうか、ユチ様?」
「は、恥ずかしいですね」
ここまで来たら、早く終わってくれることを祈るしかない。
幸いなことに、周りには誰もいない。
俺は領民たちへ強い念を送る。
来るなよ、来るなよ……?
「あっ、生き神様が裸でくつろいでいらっしゃる」
「見れば見るほど、本当に神聖な体つきだな」
「おーい、みんな。生き神様がマッサージを受けてらっしゃるぞ。見学させていただこう」
そのわずか一秒後、ぞろぞろ領民たちが集まってくる。
あろうことか、その場に座り込みだした。
採掘に参加していない領民たちは、温かい目で俺たちを見ている。
そして、石の台(これまた都合よくあった)に寝かされたパンツ一丁の俺。
だんだん、俺はいたたまれない心境になってきた。
「生き神様! 採取できた鉱石を見てくだされ! こりゃまたすごい鉱石が採れましたぞ」
洞窟の奥からソロモンさんが、ハイテンションかつ美しいフォームで走ってきた。
と、思いきや、俺たちの怪しい光景へ釘付けになる。
「……って、お楽しみ中でございましたな。これは失礼いたしましたじゃ。皆の者! 生き神様がお楽しみ中じゃ! さあ、もっと向こうの方で採掘するのじゃ! 邪魔しては悪いぞよ!」
ソロモンさんは何やら満足気な顔で洞窟の中へ戻っていく。
領民たちもハッとしたようだ。
「確かに、そうだよな。生き神様もお疲れなんだ。俺たちが近くで騒いでいたら迷惑だ」
「いつも私たちのために頑張ってくださっているのよ。たまには発散しないとね」
「さあ、みんな。生き神様はお楽しみ中なんだ。あっちに行くぞ」
みんな納得したような表情でその後を追って……。
「ちょーっと、待ってください!」
「あっ、ユチ様! まだマッサージは……!」
俺は大慌てでソロモンさんたちを引き留める。
特殊な趣味と思われるのだけはご勘弁だ。
「いかがされましたですじゃ? ワシらのことは気にせず楽しんでいただいて……」
「ど、どんな鉱石採れたんですか!? 見せてくださいよ!」
誤解を解くのはまた今度にして、とりあえず話題を逸らすのだ。
「ああ、そうじゃった! 皆の者! 生き神様に鉱石をお見せするのじゃ! 生き神様もきっと驚きますぞ!」
俺たちの目の前に、たくさんの鉱石が運ばれてくる。
「うおおお、すげえ」
「まさか、あのクソ鉱山からこれほど素晴らしい鉱石が採掘できるとは」
これまたとんでもないレア素材が選び放題だった。
<テンパレギュ石>
レア度:★7
周囲の温度を一定に保つ。石とは思えないくらい軽い。
<フローフライト鉄鋼石>
レア度:★9
この石から作られた装備や建造物は、魔力を供給することで浮遊する。加工性にも優れており、とても頑強な鉱石。
<ウィザーオール魔石>
レア度:★8
虹色に輝く魔石。この石で作られた装備品を持つと、魔力が何十倍にも増幅される。魔術の才が無い者も魔法が使えるようになる。装飾品としても価値が高い。
<ラブラヒールストーン>
レア度:★7
持っているだけで体力と魔力が少しずつ回復する石。怪我や病気も癒せる。ピンクや緑の淡い色合いが富裕層に人気。
<永原石>
レア度:★9
魔力を保存できる石。一度魔力を込めると、半永久的に同じ量の魔力を生産し続ける。石の大きさで容量は決まっている。
<ゴーレムダイヤモンド>
レア度:★10
大人の拳大くらいはある世界最高峰レベルのダイヤモンド。恐ろしく硬い上に、恐ろしく割れにくい。古のドラゴンでさえ傷をつけることはできない。これで作られたゴーレムが古代世紀を滅ぼしたとかなんとか。
「……いや、マジかよ」
デスリバーの時もそうだったが、さらに上回るほどのレア素材だ。
こんなの冒険者ギルドの人間とかが見たら、涎が止まらないんじゃないか?
どいつもこいつも、おいそれとは手に入らんぞ。
しかも、一つや二つではない。
<ゴーレムダイヤモンド>はやはり少ないようだが、それでも有り余るほど運ばれてくる。
思っていたより、デサーレチはすごい場所だったのかもしれない。
「こんな鉱山がこの世に存在するのか?」
「私めの知る限り、全世界でもここだけでございます」
俺は半裸のまま、ずっと疑問に思っていたことを呟いた。
「どうしてこんなにたくさんレア素材が採れるんだろう? 鉱山だけじゃなくて、畑も川も目が飛び出るほど貴重な素材だらけだったよな」
「きっと、ユチ様の前世の善行が結晶となって大地から出てきているのでしょう」
ルージュは自信満々な顔でうなずいているが、さすがにそれは違うだろうよ。
「ワシも考えたんですがの。元々、この土地にはたくさんの高級素材があったんだと思いますじゃ。そこに生き神様のスキルによって土地全体が聖域化し、素材の生産スピードが格段に上がっているのですじゃよ」
「へぇ~、そんなことがあるんですかね」
にわかには信じられなかった。
だが、ソロモンさんが言うのだからそうなんだろうなぁ。
「いずれ、しっかりとした調査をしてみましょうぞ。もしかしたら、この土地は世界でも特別な場所かもしれませんですじゃ」
「私めは古代世紀と深い関わりがあると考えております」
「ハハハ、そんなまさか」
二人が突拍子もないことを言い出すので、思わず笑ってしまった。
古代世紀とは、すでに失われた超文明時代のことだ。
今よりずっと、動物も植物も魔法も色んな技術も栄えていたと聞く。
空を飛ぶ城、天にも届くくらい巨大なゴーレム、深海まで行ける馬車……。
ほとんど伝説上の扱いとされているモンスターたちも、たくさんいたそうだ。
「生き神様、ルージュ殿の言うことは十分可能性がありますぞ」
「古代世紀と関係があれば、この土地は世界的にも重要な土地となります」
「いやいやいや、ありえないって。さすがに都合良すぎでしょうよ。アハハハハ」
これだけは確実に言えるが、古代世紀とデサーレチは絶対に関係ないはずだ。
まったく、二人とも冗談が下手だなぁ。
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