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第12話:鉱山の浄化をしたがまた晒される

「さて、ここが鉱山か」

「例外なく、ここもクソ鉱山でございますね」


 しばらく歩いて、俺たちは山の麓に着いた。

 ルージュとソロモンさん、領民も一緒だ。

 危ないから来なくていいと言ったんだが、「御業を拝見したい」ということで、みんなついてきてしまった。


「ワシらは”死の鉱山デスマイン”と呼んでおりますじゃ。見ての通り、ここも近寄れないくらい、ひどい有様なんですじゃ」


 デスマインはそれほど高くはなく、小高い丘って感じだな。

 そこかしこに洞窟があるような山だった。

 だがしかし、例のごとく瘴気がぐじゃぐじゃに溜まっている。

 空高く飛んでいる鳥ですら、山に近づけないくらいだ。


「鉱山っていうくらいですから、鉱石とか魔石が採れたりするんですか?」

「昔は採れたらしいんですがの……今はサッパリですじゃ。それどころか、近づくことさえできませんでしたな」

「そうですか。じゃあ、さっそく入ってみますかね」

「お気を付けくださいませ」


 なるほど……こいつはヤバいわ。

 ちょっと入っただけでわかった。

 洞窟の中には目の前が見えないほど、瘴気が溜まりに溜まりまくっている。


「うわぁ……何も見えないじゃん」

「とんでもないクソ洞窟でございますね」


 俺たちだけじゃなく、領民たちもドン引きしていた。


「見ろ! 瘴気があんなにたくさんあるぞ!」

「いつの間に、こんなに溜まっていたんだ!」

「お願いいたします、生き神様! もはや、あなた様じゃないと進むことさえできません!」


 俺は洞窟へ入っていく。

 領民たちは期待に満ち溢れた目で俺を見ていた。

 いや、背中に視線がビシバシ当たって痛いんだわ。

 とりま、さっさと終わらせよう。

 瘴気がテリトリーに入ったところで、魔力を込める。

 <全自動サンクチュアリ>発動!


『ギギギギ……!』


 すぐさま、瘴気の群れがブルブル震え出した。

 俺は魔力を込め続ける。

 頼む、早く消えてくれ。

 領民たちの視線が痛いから。


『キャアアアアア!』


 例のごとく、女の子のような悲鳴を上げて、瘴気はすうう……と消えていった。

 それを見て、領民たちが大喜びする。


「さすがは生き神様だ! あっという間に、浄化してしまわれたぞ!」

「こんな御業が見られるなんて、生きてて良かったよ!」

「ああ、ありがたや! ありがたや!」


 バンザーイ! バンザーイ! と歓喜の声がこだました。


「ユチ様、振り返って足元をご覧くださいませ」

「え、足元?」


 後ろを見ると、洞窟の地面がキラキラ光っていた。

 青や赤、黄色に光っていたりする。


「なんじゃこりゃ?」


 拾ってみると、キレイな石だ。


「こ、これは宝石じゃありませんかの?」


 ソロモンさんが慌てて拾い上げた。

 ギラギラ光っている。

 

「え、宝石……ですか?」

「そうでございますじゃ! まさか、ただの道にこんなにたくさん落ちているなんて!」


 ソロモンさんの言葉を聞いて、領民たちも気づいたようだ。


「おい、これはルビーじゃないのか!?」

「こっちにはサファイヤがあるぞ!」

「ここにはオパールが転がってるじゃないか!」


 領民たちは大喜びで宝石を拾い集める。

 宝石は拾っても拾っても、有り余るほど転がっていた。


「ルージュも少し持って帰ったら?」

「お言葉ですが、私めはそのような物に興味はございません」

「あっ、そうなのね」


 そういえば、ルージュはあまりアクセサリーとか着けていなかった。

 宝石よりキレイなドレスとかの方が良いのかな。


「私めの興味はユチ様のみに向けられております」

「は、はい……そうですか」


 落ちている宝石はどれもこれも、すでに磨き上げられているかのようにギランギランに輝いている。

 しばらく歩くと、水が溜まっている場所に出てきた。

 小さな湖みたいだ。

 たぶん、雨水が溜まっているんだろうな。

 当然の如く、瘴気が溜まりまくっていた。

 領民たちもギョッとしたように眺めている。


「マジかよ、なんつう瘴気の塊だ」

「恐ろしいまでに汚染されています」

「ひでえ……知らないうちにこんなに溜まりやがって」


 湖の瘴気はじわじわと、洞窟の中を這いずり回っていた。

 どうやら、ここが瘴気の源らしい。


「雨水と一緒に瘴気が溜まって、山全体に瘴気が移動しているようだな」

「デスマインを完全に浄化するには、このクソ湖の浄化も必須でございますね」


 ま、まさか……。


「さあ、皆さま! ユチ様の御業のお時間でございます! お集まりくださいませ!」


 ルージュはまた石の上に乗って演説している。

 どうしてそう都合よく台があるのか……俺はもう諦めていた。


「生き神様の御業のお時間だぞー!」

「こうしちゃいられませんわ! みんな、集まって!」

「神聖なる沐浴のお時間だ! 見逃したら一生の損だぞ!」


 瞬く間に領民が集まってくる。


「ル、ルージュ。湖は結構深そうだよ」

「ご心配なく、水深はユチ様の腰くらいまででございます」


 ルージュが近くに落ちていた、木の枝らしい棒を湖に差し込んで教えてくれた。

 確かに、俺の腰くらいまでの深さのようだ。

 というか、なんで木の枝まで落ちているんじゃい。


「水は結構冷たいかも」

「ご心配なく。適度な冷たさでございます」


 俺は水の中に手を入れる。

 冷たくて気持ちよかった。


「皆さまもお待ちかねでございます」

「せ、せめて、領民の前でまた裸を晒すのだけはイヤだよ」

「お脱ぎできないのであれば、私めが脱がさせていただきます」


 有無を言わさず、ルージュが服を脱がしにかかってくる。

 恍惚とした表情だった。


「待て待て待て! 自分で脱ぐ! 自分で脱ぐから!」


 仕方がないので、俺は服を脱ぐ。

 ポチャンと湖に入った。

 よし、<全自動サンクチュアリ>!

 魔力を込めながら湖の中を進んでいく。

 ちょうど中心にでかい瘴気の塊が浮かんでいた。


『ギギギギ……!』


 俺が近寄っただけで苦しみだした。

 やっぱり、どんなに大きくても効き目がバッチリなんだな。

 早く消えようね。


『キャアアアアアア!!』


 やがて、瘴気はあっさり消えてなくなった。

 わあああ! と洞窟が盛り上がる。

 これでこの鉱山も自由に出入りできるな。


「「よーし、さっそく採掘を開始するぞー! 生き神様への供物を捧げるんだー!」」


 領民たちはカンカンと採掘を始めた。

 供物という言い方は気になるが、どんな鉱石が採れるのか俺も楽しみだった。


――――――――――――――――

【生き神様の領地のまとめ】

◆“キレイな”死の鉱山デスマイン

 村から少し離れたところにある小高い山。

 木々は少なく、そこかしこに洞窟があるのが特徴。

 それほど高くはなく、地質的にも登りやすい。

 生き物が近づけないほど、瘴気に汚染されていた。

 ユチのおかげで無事に浄化された。

 何が採れるかはお楽しみ。

お忙しい中読んでくれて本当にありがとうございます


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