雑魚乙。
姉の決心が鈍らないうちに改めて山路教授と姉を会わせて書類を書いたり色々打ち合わせやって姉の会社に連絡いれて、ともかく一回向こう側とも話し合うことになった。
「未払い残業代のことも訊いてみるけどいいよね?」
「いいですけどきちんと支払われてるのでほぼないと思いますよ」
「まあまあ」
だから山路教授その悪い顔なに?
んで話し合いの日になる。
姉の会社はデカいビルの中にあった。受付で山路教授が「予約入れてる山路でーす。平岡さんにお話しがあってきました」やけにテンション高い声で言う。受付のきれいな女の人が俺達三人を視線でさっとなぞりそのなかに青い顔をした姉がいることに不思議そうな顔をする。姉がぺこりと頭を下げる。
受付の人が予約を確認して内線電話で取り次いだ。「山路さんがお見えになりました」二言三言その人が話して通話を切り、俺達に向き直る。「三階で降りて応接室へどうぞ」左手側にあるエレベーターをてのひらで指す。
「ありがとー」
山路教授が礼を言い、俺達はぞろぞろとエレベーターに乗り込む。
エレベーターが動き出して表示が三階で止まる。ドアが開く。中年のおっさんが俺達を待ち構えていた。“安そうじゃない”くらいのスーツを着てる。腕時計。髪をきっちり撫でつけている。たぶん三十代後半から四十代前半といった風情。若い頃は男前だったんだろーなって感じの顔つきだった。結構びしっと決まってるはずなんだけど「なんかちがうな」という印象を受けた。そいつを見て姉が俺の後ろでびくっとしたのがわかった。ああ、こいつか。
「お待ちしておりました。平岡です」
「ああ、どうも平岡さん、ぼくは山路で、こっちは由美さんの弟さん」
山路教授が微笑しながら俺にてのひらを向ける。
「どうも」
愛想よくする必要も礼儀正しくする必要もべつにないだろうと思う。平岡が俺を見て、背後の姉を見る。姉を見たときの目つきが気に入らなかった。自信に満ちた目をしていた。「自分には一切瑕疵はないけれどめんどうなことに巻き込まれたから仕方なくこの場に付き合っている」。そんな顔つきに見える。
姉が委縮して俺の服の裾をぎゅっと握る。
「ご案内します。こちらへ」
平岡の先導で俺たちは廊下の角を曲がって応接室へ通される。観葉植物がおいてあってテーブルと来客用の椅子がある以外はなんもない。無味乾燥な部屋だった。テーブルの向こう側には若そうに見える眼鏡のおっさんがいて手元から顔をあげてちらっとこっちを見た。
「斎藤です。よろしくお願いします」
ちょっとだけ頭を下げる。
「由美さんの代理人のやまじでーす。普段は学校の先生をしてまーす」
なんか、ウソはついてねーな、って感じの自己紹介を山路教授がする。
なぜか教授が「座って座ってー」と俺たちに椅子を勧める。教授が斎藤さんの前に。その横に俺、姉の順で座る。平岡が斎藤さんの隣の、俺の前に来る。厳めしいツラして俺と姉を順に見る。姉がますます委縮する。
「時間を無駄にするのもなんなのでさっさと本題に入りましょう。パワハラの話しをしにきました!」
「事実無根です」
山路教授の言葉を斎藤さんが一刀両断にした。
「訴えにでるというならばこちらにも相応の用意があります。守秘義務違反、情報漏洩で本谷さんを告訴する準備を進めています」
「へえ。そういう態度に出るんだぁ」
にこやかにしてた山路教授からさっと表情が消えた。
「やるんだね? 裁判。いいよ。ぼく年甲斐もなく頑張っちゃうよ。いまひまだし。材料はあるんだから徹底的に詰めちゃうよ。それでいいんだね? わかったよ」
「はい?」
「そもそもさぁ、守秘義務違反、情報漏洩ってどういうことで言ってるわけ? 秘密保持命令って準備書面だとかを漏らしたり業務上の秘密が含まれてないと適用されないよね? 由美さんが自分のスマートフォンに送られてきた上司とのやりとりを訴訟の準備のために必要だから弁護士資格持ってる僕と家族の弟くんに相談したからってそれがどういう風に守秘義務違反に繋がるってんの? 言ってみなよ? いやぁ、僕の知らない所で法律の解釈が変わってたなんてびっくりだなぁ!」
「……」
「はい、論破―」
山路教授が片手でピストルを作って相手に突きつけた。
「あのさぁ、相手が素人さんと学校の先生だからって“一発脅してからことに掛かろう”なんてのは五流のやることだよ? きみじゃ話にならないよ。ちゃんとした顧問弁護士の人だしてよ」
「……篠崎電子の顧問弁護士の斎藤幸助と申します」
「はぁ? まじで言ってんの? あぁ、もう、まあいいや」
山路教授が座り方を崩して足を組んでひじ掛けに思いっきり肘をつく。
顔を顰める。態度をデカくする。
「金額の大小じゃなくてパワハラ自体を否定する気でいるんだね? きみなんて聞いてるの? 調査ちゃんとやった?」
斎藤さんとやらがたじろいでいる横から、平岡が「熱が入ることもありましたが正当な指導の範囲内だと考えております」と言った。「ふうん。由美さんあれ貸して」「はい」姉が鞄から小さなペン状のものを取り出した。ぽちっと山路教授がスイッチを押すと。「てめえ何日休んだ? 社会人が一週間近くも休み取るとか仕事なめてんのか」、「顔に反省がでてねえんだよ。誠意みせろ。膝つけ。バカでもそれくらいできるだろ」平岡の怒鳴り声が流れた。続けてドンと壁を叩く音。山路教授がとりだしたのはボイスレコーダーだったらしい。いつ録ったんだよと思ったがすぐに思い当たった。姉が泡吹いて倒れたときのやつか。教授の入れ知恵で自衛手段として持たせていたようだ。
「これ、パワハラにあたんないって君は主張するんだね? ちなみにこれ十五分くらいあるけど全部聴く? ほんとはもっと取れる予定だったんだけど、なんかにあたってスイッチ切れちゃったみたいで、なんにあたったんだろーね? 胸ポケットに入れてたのを、誰かが突き押したのかなぁ?」
「ひ、平岡さん!?」
斎藤さんの声が裏返った。こいつはほんとに平岡からなんも聞いてなくて「厄介な部下がパラハラをでっちあげて有利な条件で退職しようとしてる」とかそういう案件だと思ってたようだった。
「捏造です」
「それは裁判所と労基署に判断してもらおっか。で、訴訟やるんだよね?」
山路教授の顔に笑顔が戻ってきた。
「……示談に」
「えー。本谷さんどうしよっか?」
「裁判にします」
姉が言う。
ちなみにこれも山路教授の入れ知恵で「ぼくが止めるまで裁判するって姿勢でいてね!」とのこと。
すまし顔だった平岡が一瞬だけものすごい形相に変わった。すぐに元の顔に戻る。
俺しか気づかなかったが。やっと本性見せたなーと思う。
「三年って長いよねぇ。由美さんつらかったねー」
「か、隠し撮りは証拠採用されるかどうか疑問点もつくはずです」
これは確かにそうで例えば姉が不当に平岡を挑発して録音内容のような発言を引き出したケースが考えられるためだ。が、どう聞いても流しっぱなしになっている録音の中の姉は「すみません」、「ごめんなさい」を繰り返していて平岡を挑発しているようには聞こえない。にも関わらず平岡は一方的にヒートアップしている。
「由美さん、スマホ出して」
姉がLINEの画面を見せた。
例の平岡からの「メッセージの送信が取り消されました」がずらりと並んでいるやつ。
「こちら側からの返信は“すみません”、とか“ごめんなさい”ばっかりだけど、これ平岡さんはなんて送ってたの?」
「業務上の内容です。お話しできません」
「OK、“業務上の内容”ね。言質とったよ? 斎藤さんも聞いたよね?」
「は、はぁ……」
「たぶんねぇ、斎藤さん。きみが聞いてるのと、こっちが持ってるやり取り違うと思うんだよ。だから一枚だけあげるね」
教授がクリアファイルから、例のLINEでのやり取りをコピーした紙を一枚抜いて、斎藤さんに差し出した。「全裸で土下座してこい」とか書いてあるどぎついやつだ。
「……」
斎藤さんがそれに視線を落としたまま見るからにうなだれた。「平岡さん、この内容は事実ですか?」、「さきほども言いましたが捏造です」山路教授が「いいねえ。じゃあ業者さんに頼んでデータの復元お願いしよっか。こういうのって消したつもりでも実際は消えてなくてログには残ってるんだよね」にこにこしながら言う。
「まあまともな人ならわざわざ消さないといけなかったんなら、そういうことだってわかるよねえ」
なにか言いかけた平岡を、斎藤さんが手で制した。
あんたはもう黙っててくれってことらしい。
「30万で手を打ちませんか」
「ここで過去の判例を振り返ってみよっかー」
山路教授は休職や心的外傷後ストレス障害 (PTSD)などを含んだパワハラで賠償金が200万円を超えた例を持ち出す。(その例では目に見えた暴行もあったそうだが山路教授はあえてその点はぼかす) 姉は職場で泡吹いて倒れて母親にぎゃーぎゃー言われたくらいでビビッてがくぶるしてて具体的に不眠やら食欲不振の症状も出てて少なくとも自立神経失調症の類には該当しそう。
「もういいです。わかりました。50万。近い事例の判例から考えてもこれ以上は出せません」
山路教授が姉に目配せする。俺も判例をいろいろ調べてみたが、パワハラ受けた人が死んだとかでなければ100万が最大で50万はとれたら上等という感じだった。うまくいった方なんだろう。
「もちろんだけど、+平岡さんに対する是正勧告は絶対ね?」
「はい」
斎藤さんが眼鏡をはずして額を揉み解した。鞄の中を探って書類を取り出す。示談書だ。斎藤さんが空欄にさらさらと金額やら諸々を書き込んで、平岡に確認をとる。平岡が渋い顔で頷く。「やり方に不備があったということは認めます」まだ言ってやがるとは思ったが、まあ金払うならなんでもいいやとも思う。
「この内容で間違いありませんか」
「うん、まだだね?」
斎藤さんが怪訝な顔をする。
山路教授が「さっきLINEで送付していた内容が“業務の内容”だってことは平岡さんの口から確認したよね? それで、このLINEの内容を見て見たら“すぐに返信がなければ叱責される”みたいだね。ねえ、これって法的には『業務時間』だよね? 残業だよね?」と言った。
「通常業務が終わるのが午後六時。だいたい七時くらいまでかかることはあるみたいだね。平岡さんからのLINEはそのあたりから多くの場合は午後十一時まで。長ければ午前一時まで及ぶこともあるねぇ。おおっと。休日に一日中付き合わされることもざらだねえ。給与の日割りからざっと概算して三年分を掛け算すると、慰謝料とは別口で未払いの残業代が四百万ってところかな!」
「それは、その、解釈によりますが」
「いいよ。聞くよ。日常的に上司から連絡が送られて返信がなければ叱責される場合にどういう解釈をつけるのか。なによりさっき平岡さん自身の口から業務内容だってもらってるしねー。似たような例は何件か知ってるけど僕が知ってる限りだとちゃんと時間外労働だって認定されてるね。おおっと。受け取っても返信の義務はないだろう、だから業務時間には当たらない、って? 今回の場合は明確に何度か“返信が遅い”、“連絡を受ければすぐに返すのが当然”という文言が見受けられるよ? 上司である平岡さんは由美さんに対して返信を義務づける業務命令を下してるね!」
「……」
山路教授が判例を何件かあげるのを遮って斎藤さんが「上と話しますので、すこし待ってください」と言って、席を立った。
「だってさー。ぼくらもちょっとやすもっか」
んなこといっても平岡が向かいにいると喋りづらい。
姉が席を立つ。たぶん便所だろう。
すこし遅れて平岡も立ち上がった。部屋を出て行く。
平岡が消えたので俺は小声で「残業代ってそんな取れるもんなんすか」訊く。「いやぁ。どうだろうね?」山路教授はけろっとしている。まあ俺も大目にふっかけて折り合いをつけれる点を探していくのがこういう場合のやり方ってのはある程度知ってるけど。
山路教授とくちゃくちゃ喋ってるが、斎藤さんの電話は長引いてるし姉も平岡もなかなか戻ってこない。教授がふと「敦くん、トイレの様子見てきて」と言う。
……げ。思い当たらなかった。
「行ってきます」
急ぎ足で部屋を出て通りかかった人に便所の場所を聞く。角曲がった奥。平岡とすれ違った。悠々と堂々と歩いてった。「姉?」女子トイレの中に向けて呼びかける。返事はない。「すみません、入ります」手洗い場で姉がぐったりして座り込んでた。「姉―、姉。だいじょうぶか」うん、大丈夫じゃなさそう。
でも姉は自力で起き上がって俺の手を振り払うようにして歩き出して応接室に戻ろうとふらふら歩きだす。あの野郎なにしやがった? と思ってたら、斎藤さんが電話終えて戻ってきて再開する流れの一発目に姉がやらかす。
「訴えを取り下げます。パワハラなんて元々ありませんでした。わたしが過敏になっていただけでした。弟と山路さんに唆されてとんでもないことをしてしまいました。すみませんでした」
対面の平岡が勝ち誇った笑みを浮かべている。
「ふーん」
山路教授がおもしろそうに姉を見る。
姉はぴくぴく震えていていまにも死にそう。呼吸も荒い。斎藤さんも姉と平岡を交互に見て「こいつやりやがったな」みたいな顔をしてどうしていいのか迷っている。が、なんとか「取り下げるということであればもうこちらから言う事はなにも」と流れに乗ることを決める。新庄さんの言ってたことが脳裏を過る。「姉は洗脳されている」。なーるほど。
「まあ本谷くんも反省したようだし、処分はなしにしましょう」
処分? おまえの? と思ったが姉を降格とかの処分にすることを言ってるらしい。
ブチキレて手が出そうになったがここでブチキレて手が出たら終わりだよなー。
とりあえず隣の真っ青な姉を見る。
「姉。だいじょうぶか? 息できるか?」
姉が小さく首を横に振る。息はできない。「さわるよ」訊いてから背中をさする。「姉がそれでいいならしょーがないけど、なんかあったか? しんどくないか?」しんどい、の四文字分だけ口が小さく動くけど、声が出てない。泡噴いて倒れてないだけましって感じだな。
「ほんとに取り下げたい?」
「 」
やっぱり声が出ない。「俺がこわい?」横振り。「平岡がこわい?」縦振り。「ちょっとむこう向かせといてください」姉と逆側の壁を指さす。平岡がなんか言いそうになって斎藤さんに止められて壁の方を向かされる。人間は抱かれるとストレスが三分の一くらい減るらしいから姉を抱きしめてみる。「おこ、おこらないで」姉が声を絞り出す。「あいつ以外は誰もおこらねーよ」元々そうだっただろ。いや、うちの母親は捉え方次第では「怒ってた」に入るのか。あーもう余計なことばっかりしやがるなー。現実逃避がてら別のことに思考を飛ばす。
姉には落ち着く気配がない。まあ元凶がすぐそばにいて落ち着けってのは無理があるかもしんない。もういいや、あんま気を使ってても現状がよくなることはなさそう。強硬手段に出てやれ。
「さっきだよな? なにがあった? なんか言われた?」
「訴えを取り下げろって。そう言えって。平岡さんに」
寸詰まって途切れ途切れになりながら姉がなんとか言う。
「刑法223条、強要罪」
山路教授が舌を出した。
「わたしはなにも言っていません。本谷くんの思い込みでは? 彼女は精神の弱いところがあるからなんでもないことを過敏に捉えたんでしょう」
平岡が堂々と言い放つ。わお。すっげーな、こいつ。恥ってもんがねーや。
いや、本人はまじで「なんでもないこと」を言って「相手が過敏に捉えている」と思ってるのかもしんない。
「女子トイレの前って監視カメラついてるよね? それ見たらだいたいなにがあったかわかるんじゃないの」
山路教授がトイレの方を指さす。「うちの設備です。提出に同意しません」あっそ。
「姉、いま姉が取り下げるって言ったらまじであの女子トイレ侵入変態くそオヤジへの訴えをほんとうに取り下げることになるけどガチでマジでほんとうにそれでいくのか? 姉がそれでいいってんなら、俺らは引き下がるしかねーけど。まあそれでもべつに怒りはしないけどさ」
酸欠の金魚みたいに姉が口をぱくぱくさせる。
「俺は怒らねーよー。だいじょうぶだよー。落ち着け―」
呼吸が落ち着かないまま姉が平岡を睨みつけた。
「死ねばいいのに」
ぽつりと呟く。
ああ、それが聞きたかったんだよ。おまえさぁ、“でもわたしが悪いんだよね”なんていう行儀のいいやつじゃなかったじゃん。気に食わないことがあったら食って掛かって勝ち取ってきただろ? 戦ってきただろ。付き合ってからも新庄にまとわりついてくる周りの女と揉め事起こして「負け犬―。雑魚乙―」とかって煽ってたじゃねーか。
「死ねばいいのに。よくよく考えたらなんであたしがおまえにバカとか言われないといけないわけ? なに? バカはおまえじゃん。財布なくしたときに散々あたしのこと盗人扱いしといてカバンの中敷きの下から出てきたの、あれまじで呆れたよ? 有川さんのところの発注の件だってあたしが数値の入力ミスったことにして謝りに行かせたけどさ、あたし有川さんのとこの入力なんて一ミリも触ったことなかったじゃん。上も上でおまえの報告鵜呑みにしてろくに調べもしねーであたしに責任おっ被せるしさ、まじふざけろよ。何そのスーツ。無駄に金かけてっけど似合ってねーから。センスないって営業の人みんな言ってるよ。それから話しかけるときにいちいち太もも触るのまじで気持ち悪いからやめてくんない? 尻や乳じゃなかったらセクハラじゃないと思ってんの? きっしょいわぁ。つかおまえ何回も食事行こうっつってくるけどさ。あたし彼氏いたしおまえ既婚だろ? なんであたしがおまえの性欲処理に付き合わねーといけねーんだよ。おまえはすっきり出来て最高かもしれねーけどあたしはきたねーおっさんにきたねーち〇ぽ突っ込まれて場合によっちゃそのあと嫁さんに訴えられて金までとられんのに、あたしになんの得があるわけ? なんでおまえなんかのせいであたしが雄一にフラれないといけないの。まじでガチできしょいよなおまえ」
姉は小声でぶつぶつと平岡の背中に向けて言い続けた。
「取り下げません。金払わないんなら訴えます」
姉が冷たい目と声で言った。
それからすぐに顔を逸らして、平岡がこっちを見ないうちに俺の腕の中に隠れた。
「あとの話しは全部ぼく通してね。よろしく!」
山路教授が名刺渡した。




