シーン#00 プロローグ
人類は三度目の過ちを犯してしまった。底を尽きそうな資源の奪い合いが各大陸の小国同士で始まったかと思うとそれは次第に周辺国を、そして大国までも巻き込んでいき、避けねばならないと誓い合ったはずの世界大戦が再び勃発してしまった。その世界第三次大戦ではここぞとばかりに進化した殺戮兵器が陸海空を飛び交い、どの都市にも核の雨が降り続けた。勝者と敗者を決める前にどの国も存続不可能なほどに壊滅し、そこでやっと人類はこれ以上の争いは無意味であり、また互いに共生し合う必要があると気付いた。そこに至るまでに払った犠牲はあまりにも大きかったが、それを経て遂に人類は人種も言語も文化も全てを超越して団結するという新たな時代へと移行した。
しかし地球は人類を許さなかった。世界大戦により大気は放射能で汚染され、長年黒い雨が降り続けた。棄てられた兵器は草木の成長を妨げ、各地で砂漠化が進んだ。気温の上昇に合わせて南極の氷は解け、海面がさらに上昇し島々は海に沈んだ。人類が人類の繁栄と利益に執着した結果引き起こした環境破壊はもう既に修復不可能になっていた。
遂に地球は人類を滅ぼそうとする。新世紀になって各地で人類だけを襲う謎の巨大生物、通称「対人類生命体(Against Human Intelligence)」の出現が確認された。過去を反省し団結し始めた人類を滅ぼす為に地球が産み出した生命体だと科学者及び生物学者達は見解を示した。
「地球」対「人類」。誰も予想しなかった世界の新たな構図に人類は手を取り合い、各地で破壊活動を行う対人類生命体に対処し始めた。そんな中で地球に対抗するべく地球由来の資源を用いない新たなエネルギーとして「アドレセンス」が注目される。それは人生経験の少ない思春期の少年少女が産み出す葛藤や苦悩に似た無限大で不可視のエネルギー。脳から放出されるこのエネルギーを纏い、人類は地球に再び矛先を向ける。これは人類を守るために闘う少年少女の物語。
ご覧いただきありがとうございます。作者のハルヤマノボルです。
初投稿作品から1年以上経ってしまいましたが自身2作目の投稿になります。
「人類VS地球」というありそうで無かった構図を題材に少年少女の苦悩と葛藤を織り交ぜたような小説になります。
2021年6月17日現時点で5万字ほど書き溜めておりますので、是非結末までお付き合いいただき、作品をお楽しみいただければなと思います。
何卒よろしくお願い致します。




