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黒髪に黒いカクテル  作者: 幻中六花
4/10

恋人と彼女の噂

 しばらくして目の前に現れたのは、透悟の水色のカクテルと、真亜子の黒いカクテルだった。


「こちら、ブルーマルガリータと……こちら、ブラックシャドウです」

「すごいお洒落。真亜子ちゃん、黒髪が綺麗だからさ、黒いカクテル飲んでみてほしかったんだ」


 真亜子の前に出された黒いカクテルからは、僅かにコーヒーのいい香りが漂っていた。


「いただきます。……美味し……!」

「よかった! それ持ってる姿もさまになってるよ。モデルみたい」


 真亜子にとって、そんな夢のような褒め言葉はなかった。

 憧れの先輩に、モデルみたいだなんて。


「真亜子ちゃん」

「はい」

「……付き合って……もらえないかな」

「……え?」


 これが、真亜子と透悟の始まりだった。



 同じ部署での交際が(おおやけ)になると、異動や転勤になることがある。

 2人はそれを恐れ、付き合っていることは内緒にしていた。


 けれど、会社を出れば恋人同士。休日にはデートもしたし、お互いの家に行き来することもあった。


 そんな幸せな日々を送って10ヶ月ほど経ったある日、真亜子は信じられない噂を耳にする。


 先輩で隣の席に座っている浅川由美が、突然真亜子に耳打ちしてきたのだ。


「まぁちゃん知ってる? 飯塚君と莉夢(りむ)っち、付き合ってるらしいよ」

「え?」


 『莉夢っち』というのは、以前真亜子が透悟とご飯を食べている時に、『女優さんに似てますよね』とトラップを仕掛けてみたショートカットがよく似合う可愛い新人だった。


「えー? そんな噂初耳ですよ?」

「それがさ、昨日あの2人がホテルから出てくるところを、早希ちゃんが見たって言っててさー」


 早希は由美と同期で、真亜子にとっては先輩にあたる優しい先輩だ。

 早希がわざわざ嘘の噂を立てる意味もわからないし、そんなに性格の悪い先輩ではない。


「へ……へぇ! まあまあお似合いじゃないですかっ?」

「私はまぁちゃんと飯塚君が付き合ってると思ってたけど」

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