オオアマナの花言葉
書くことが無くなりました
-またもや白い部屋送りかと思ったが、そうでは無いらしくて謎の液体で満たされたガラスで出来た大きな容器の中に浮かんでいた
何故か息は出来る
「問題なさそうですね」
「そのようですな」
どこかで見た事ある、オリーブ色の軍服を着た黒髪短髪の若い少し歳上に見える男性と、長い白い髪に髭を生やして白衣の中に黒いベストを着て灰色のズボンを履いてミリタリーブーツを身に付けた60代くらいの男性が話していた
その後、他の忙しなく動いている他の白衣を着た研究員らしき人達に機械の操作の指示を出していた
-暫くして、容器の中の液体が下の穴から放出され水位が下がり地面に足が着く
少しよろけていると、大きなバスタオルを持って容器の前側が開き2人が寄ってくる
「やぁ、まぁとりあえずこのタオルで体を拭くといい
今服を持ってくるよ」
タオルを渡してくる
優しそうだが、何故か好きになれない
…そうだ、コイツはクダラと一緒にいた男!
「お前、クダラと一緒に居た…!?」
男は足を止めてしゃがんで話し出す
「いやぁ、驚いたよ
まさか君がリメンバーできる人間だったとはね
妹を殺されて、部屋に駆けつけた僕を蹴り飛ばしてきた時は命の危険を感じたけど、まぁ君という人物を保護できたしよかったかな
まぁ、その様子だと怒りで僕のこと蹴り飛ばしたの忘れちゃってるかな」
妹…!?俺は兄と一緒に帰る仲良し兄妹に嫉妬して、約束を破ってもいないクダラを殺したのか!?
事の重大さがより深刻になってきたし、最悪のパターンだ
しかし、そんな兄の話なんて聞いた事がなかった、所詮俺はクダラの事をその程度しか知らなかったのか
絶望が込上げる中で、オオアマナのもう1つの花言葉を思い出す
潔白
涙を流しながら、膝をついて泣く
そして、何故コイツはそんなに平然としていられるのかという疑問も抱く
しかし、その疑問はすぐに解消された
「気にしてるだろうけど心配することはないよ、妹はホムンクルスだからね
代わりは何人だって作れる、記憶を引き継いだまま
それと僕の事は口止めしてるから多分喋らなかっただろうね、僕は戸籍から自分の箇所を抹消しているし
いやぁ、学生のフリをして学校に潜伏して妹を見守るつもりが思わぬ収穫をしてしまった!」
代わりが作れる…?もう一度会えるのか!
もうこの際、それでもいいアイツと暮らせられればそれで!
絶望が全て晴れていく
「クダラは?クダラはどこに?」
男は少し嬉しそうにする
「ほう、そんなに妹のことを好きになってくれていたんだね!
僕は嬉しいよ、一応設定的には兄だからね!
まぁ、親が正しいけど!
後で、合わせてあげるから今は君の状況とかを説明するね…
僕は服を持ってくるのでその間にカントウさん、お願いします」
すると次はもう一人の男性が来て、話し始める
「まず、君はリメンバーという特殊な行動ができる
これは記憶血管という、力を持つ人間にのみ存在する血管が、ある場面を思い出し特定の感情が高鳴ったことにより切れてそこから流れ出る特殊な血液で脳の周りが満たされることにより発動する
君の場合は怒り
光に包まれた瞬間使用者は一瞬死んでいるらしい、つまりあの世との繋がりが強い能力だ
愛する人間の姿へと容姿が変わり、髪と目の色はそのトリガーとなる感情によって異なる
服装も変わる場合がある、完全に制御できていればな
今は身体能力が著しく上がる事と感情の高鳴れば高なるほど力が増すという事くらいしか分かっていないが、まだまだ隠された能力あると予想される
まぁ、ざっとこんな感じだ
そこで、君にはクダラをやる見返りに研究や敵対組織の殲滅に協力して欲しい」
考えるまでもなく答えは決まっていた
「そのくらいなら、もちろん」
老人は顎を触ってから、特に顔色変えずにまた喋り出す
「そうか、なら話は早い
とりあえず、この腕輪を付けるといい
感情の高鳴りが少し抑えられてしまう分力が落ちるが、力を制御出来るようになる」
俺は受け取った腕輪を右腕にはめた
特に変わった感じはしないが、まぁ変身してみれば分かることだろう
そして、俺は浮かんだ疑問と元からあった疑問をつながっているかもしれないと聞くことにした
「どうして、未知の能力についてデータが多少は取れているんです?カントウ…さん?
俺を襲った二人とも関係が…?」
「そうだ、あの二人は元々うちの研究所…ダイトウアキョウエイ研究所の研究対象として保護されていたが、脱走して同盟を組みリメンバーが使えるものを探している
恐らく記憶血管狙いだ
移植すれば、人工的にリメンバーが使えるようになる他に、死体に移植することでこの世に呼び戻し1回だけ肉体を復活させられる
どちらかが狙いだろう」
疑問が解消されたが、その都度聞くことにしたので俺は納得したことを伝えて会話を終えた
その時丁度、もう一人の男が服を持って帰ってきた
「待たせてごめんね!
今これしかないんだ、そのうち外に出る用の普段着も買ってくるからそれまでこれ着ててね!」
オリーブ色の軍服にミリタリーブーツ、この男とお揃いなのはなんとも不思議な気分だが最早義理の兄みたいなものだしいいだろう
足早に着替え、本命の話題を出す
「早くクダラに会わせてくれませんか…?」
すると、着いてきてくれと手招きして直ぐに回れ右して男は白基調の部屋から歩いて出口へと向かう
「おっっと、悪いね!さぁ、こっちへ!」
男について歩いていく
そして、急に思い出したように話し出す
「後、自己紹介をすっかり忘れていたね!
僕はここの研究所所長のヤマト!
実験の被験者に自らなった結果、不老と再生能力がそこそこ身についてしまったんだ!
実の所さ…あの副所長の、カントウさんよりも歳上でもう多分80くらいかな!
後他にも沢山研究員や、ホムンクルスの皆がいるんだけどおいおい紹介するね!」
義理の兄80越えが出来たけど、人生で初めて幸せになれそうな瞬間が目前まで迫っているので問題ない
読んでいただきありがとうございます!
続きも読んでいただけると嬉しいです…