真実
完結させられれば最高傑作になる予感
-取調室に警察と向かい合って座る
警察は困ったように話し始める
「あれから鑑識を入れて君の持っていた子の部屋を調べて見たんだが、君の指紋は一切出なかったどころか何一つ君がいた形跡は出なかった
しかも、開いていた窓からもその子の指紋しか出ていなくて他の窓も扉も全て施錠されていて梯子などを使った痕跡すらない
そして、なんと首の部分はちぎられたような痕跡が出ている
1体どうして君はあの子の頭を持ってあそこに居たんだ?もし君が犯人なら1体どうやったんだ?」
少し悩んでから、もう諦めて話す
「恐らく俺の別人格か何かがものすごい運動能力でやったんだと思います
気づいたら彼女そっくりな姿になっていて、血塗れで彼女の部屋に立っていた
俺も意味が分からない」
警察は呆れたような顔をしたが、悩み込む
「ふざけているとしか思えないが、現時点ではそれを信じるしかないしそれだと納得いくんだが…
立証は無理だろうし、君は無罪で迷宮入りになるだろうな
でも、もしそうなら罪を犯したという事実は消えない
無罪になっても、一生その事を忘れずに償って生きなさい」
俺はもうなにか吹っ切れていた
「くくくっ、償う…?ふざけんなよ!俺は自分が望んだ訳でもないのに別人格のせいで、大切な人を失ったんだ!
いい迷惑だよ、ほんと
別人格だけ上手く死罪にしてやってくださいよ、俺は何も悪くない
でもそんな事は出来ない
自分がしたくもなかったことで罪を背負い他人からも自分からも責められて人生最悪の更に下に行った俺の気持ちなんか誰にもわからんでしょう
そして、誰に責めることが出来るんです?」
警察は決して呆れず怒りもせずに真剣な面持ちをしてから、話し始める
「黙っていることも出来たのに素直に話してくれたのは良いと思うし、君は被害者でもあると言える
本当なら、君の気持ちはきっと誰にも分からない
開き直るどころか、そうしないとやってられないだろうしそれは正当だとも言える
ただ、彼女やもし君がやったと言うなら公園で倒れていた2人本人や家族友人はきっと君のことを一生恨むし殺したいとすら思うかもしれないだろう
君は、嫌でもそれに耐えて…
最悪、殺されるかもしれないという覚悟を持って生きるしかない
人を殺したのが別人格だからなどと彼らからしたら関係ないだろうからな
人を殺したのに無罪になり、捕まらずに暮らすとはそういう事だ、残念ながら俺達には君を守ることは出来ないし、動けるのは危害が加わるか殺されてからだ」
正論でしかないと思ったので、反抗はしなかった
そして、取調べが終わって留置所内の部屋へ戻る
壁へもたれて天井を眺める
ずっとそのまま何日も過ごした
その後はもう取調べにすら呼ばれずに証拠不十分で開放された、事件は迷宮入り
恐らくあの警察は俺から聞いた事を誰にも言わなかったんだと思う、とんでもない汚職警官だ
優しさで足元救われないように祈る
まぁ、言ったところで誰も信じないだろうが
そして、最後にあの警察は一言俺に告げた
「平和墓地」
-宛もなく歩く、家に帰る気にはなれない
気がつくと、またあの公園へ着ていた
この人気のない公園が自分には相応しい
いっそ、そこのトイレで自殺してクダラの元へ向かって詫びようかとも思ったが、きっとあの白い場所へ行って今度こそ戻れないだけかもしれないと思うとする気にはなれなかった
呪われたベンチに腰掛けて暫く空を眺めていると、もう夕暮れだった
やはり家に帰る気にはなれなかったので、平和墓地と教えられた場所へ向かってみることにした
近くの交番で道を聞き、歩いて20分くらいで着いた
真ん中に木が一本立っていて、囲むように墓があった
一つ一つ墓の名前を見ていく、教えてくれたからにはきっと何か意味があるのだろう
多分…
やはりそうだった、十字のR.I.Pと掘られた墓石の前に石碑が置いてありそこには
クダラ
の3文字
オオアマナの花が供えられていた
花言葉は確か純粋と…こんな大切な時に思い出せない
確かに純粋なやつだった
あの純粋で元気で優しい感じが本当に大好きで、生きて共に一生を添い遂げたかった
まぁ、あの裏切られたのが本当ならそれは叶わなかっただろうが、寧ろ今はそうであって欲しい
-俺は夜になってもそこの前に立っていたが、やがて墓の前で倒れるように寝てしまった
-夢を見た、俺があの公園で起き上がるところから始まった
目の前には見覚えがあるような服装の男女
2人は驚いた後に怖がりながら声も出さずに逃げていく
「ワタシガ コワイカ?ククク」
そう言って笑ってから、俺はすごい速さで飛びかかり2人の頭を地面に叩きつけた
とても気持ちが良かった
そうして直ぐに走っていく、この道は
嘘だ、辞めろそっちはダメだ、だが体は止まらないし直ぐに着いた
もうどうすることも出来ない
俺は窓へと飛び移り、即座に開けて中へと入る
そして、
ベッドで寝ているクダラの首を絞めた
クダラは、直ぐに起きて苦しそうに恐怖した表情を見せる
かなり興奮した
「ぐっ…だ、だれ?」
何とかその言葉を捻り出したのを聞いて、俺は喋り出す
「オマエハ ヤクソクヲ ヤブッタ ドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテ」
力がどんどん強くなる、確定した訳でもないのに辞めろ
何故、何故?
「もしか…て、コウク…リ?
うぐっ…ちがっ…」
手の力が緩まると、咳き込んでからクダラが喋り始める
「何のことを言ってるのか分からない…
でも、私は貴方としか約束はしてないし破ってない、本当!」
「…ヤッパリ シラ キルンダナ」
もうどこからか来る怒りが抑えられない、また手の力が徐々に強くなるが今度はより長い時間苦しめるためにゆっくりと強める
「ぐっ…そう、あくまで私殺す気なんだ…」
クダラは涙を流しながら、必死に叫ぶ
「さっさと殺してお前も死んじまえ、クソ野郎!」
「オレ オマエ ノコト キライダワ」
力が入って首がねじ切れる
とても気持ちが良かった、それだけ
その後頭を持って、立ち上がる
記憶は補完された、結局真実は分からずじまいだがもうそれもいい
夢から目覚めると朝日が丁度昇っていた、体を起こすと目の前に知ってる顔が居た
「先輩、こんなとこで寝ちゃダメじゃないっすか
でも、クダラさんのこと残念でしたね…」
後輩のシラギだった、そして
「そうやぞ、お前
お前もあっち側いっちまうつもりなんか?
ダメやぞ」
モロコシ先輩
モロコシ先輩は、長いひとつの三つ編みをしているのがトレードマークのイントネーションおかしい茶髪でエセ関西弁を喋るが美女でお調子者の先輩
シラギは近所の子供達とよくあそんでいるのをみかけるか、金髪の優しそうな感じの後輩だ
彼女らとは中学が一緒だったのでそこそこの付き合いだ、
「ほうっといてください、もう少しここに居させてください」
俺は少し強めにそう言って、また墓を見つけて座り込む
そうすると、モロコシ先輩が前髪をかきあげてから少し笑みを浮かべる
「そうか…
なーんてな、まぁ、心配せんでええわ」
「何がですか?」
落ち着いた口調でその言葉は放たれた
「お前もすぐあっち側に行かせてやっからよ」
「そうっすよ、リメンバー出来るんなら脅威になりかねませんしね」
先輩が手を顔で覆い、シラギが自分の手に噛み付いた瞬間唐突に先輩とシラギの姿が、光に包まれて
次には全く別の姿に変わっていた
先輩は、紫色の三つ編み2つにした髪に目をして紫色の縦縞が入ったタイトスカートに白いセーターの長身の女性に
シラギは、緑色のツインテールに目をした白い半袖のカッターシャツに、緑色星模様が着いたサスペンダー付きのスカートを着た小学生くらいの少女に
それを脳で分析している間に気がついたら目の前に飛び込んできていた
俺は咄嗟に2人の蹴りと殴りを命からがら避ける
クダラの墓石が簡単に壊れて破片が弾け飛び、頬を切る
「次は無いな…」
またも理解できないまま、墓地の外へこけそうになりながら必死に走る
警察が言っていたのがまさかこんな形で現実になるとは思わなかった
そんな、ことをこの期に及んで考えている間に足音がして気がついた瞬間には景色が回転していた
目が回っているのではない、首から切り飛ばされた頭が回っている
そして意識が途絶えた
まだまだ続きますのでよろしくお願いします…