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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ファンタジー世界の育成シミュ系ギャルゲーに、転生した俺のチートは残念チート

作者: まい

 悪役令嬢が乙女ゲーの攻略本を持っていた話は見ましたが、だったら男性向けギャルゲーのモブが持っていたらどうなるの?


 こんなコンセプトで書いたブツとなります。


 気に入って頂ける方がおられましたら、望外の幸せです。

 学園内に終業チャイムの音が響き渡る。


 ここは特殊な学園。 身分を取り払い、特殊な才能が有ると見出だされた、規定の年齢に到達した者のみが通える。



 ここの成り立ちは、国の発展に多大な貢献をした大英雄が全額出資して建てた、特別な学園。


 ()の者曰く、近い将来にて現在の文化・文明が崩れかねない、大変な事態が予想されるそうだ。


 その事態に対して行動を起こせる者を育て上げ、有事に備える。 それがこの学園に課された使命であり、悲願である。



 ……これ、本当なんだよね。 秘密だけど。

 しかも丁度、俺らの代が卒業する頃に顕在(けんざい)すんの。


 具体的には、この世界は魔法文明だけど、化石燃料資源も雑に使われている。


 ぶっちゃけ原油から精製できるアレコレも、魔法で作れたりする。


 つまるところ、地球の環境問題みたいなのがこっちでも起きそうになってる訳。



 なんで知ってるか?


 オレは異世界転生者で、チートを持ってるから。


 答えになってない? いやいや、省略したけどちゃんと言ってるんだよ。


 オレのチートは【攻略本】だからな。



~~~~~~



 攻略本の内容は、あまり参考にならん。


 だってこの世界。 学園育成シミュなギャルゲー世界で、攻略本に載ってるキャラのどれにも、俺の名前が入ってないんだから。


 ただ、同学年やその上下の学年にそいつらが存在して、各種イベントやエンディング後の世界が少し紹介されている。


 な? これが【攻略本】で、あまり役にたっていないって言葉の意味。



 でも、役に立つ部分があるのは間違いない。


 この世界にはステータスの数値が有るわけで、努力すれば必ず結果が出るんだよ。


 主人公の育成方針とか載ってるし、それを参考にして努力すれば着実かつ上手に成長できる。


 しかも2歳頃の、自我が芽生えて転生してしまったと認識した頃から、攻略本と共にある。



 となりゃあどうなる? どうする?



 フライングだよ。


 ゲームの登場人物達より、先んじてステータスを伸ばせるんだよ(悪い顔)


 楽しいぞー? やればやるだけ、確実に能力が上がって行くこの感覚。


 攻略本によって、どう鍛えれば良いか丸分かり。


 ちなみに俺は、町の平民生まれ。

 茶髪に茶眼の没個性カラー。

 年少連中用、学園の制服である青をメインとした半袖半ズボンの変形ブレザーを、きっちり着込んだ埋没ファッション。


 偶然近所に魔法使いの爺さんが住んでて、そいつから魔法の使いかたを少し習えて、攻略本を参考に小さい頃からステータス全般を鍛え続けた。



 学園に入れない可能性は考えなかったのか?


 考えてないよ。 学園設立目的を攻略本で知っていたし、それに添う能力を鍛えていれば学園入学は確定だと思ってたから。



~~~~~~



 その結果。



――――よおポイシュ! 一緒に街へ遊びに行こうぜ!


――――まったく君は……しょうがないなぁ、付き合ってやるよ。


――――よし! まずは雑貨屋でなにか面白いのが無いか、見に行くぞ!



 おっ、ギャルゲー主人公君ことタクロー。 メイン()()()()一直線だねぇ? 良いねぇ、応援するぞ?


 今は()()()だけど、好感度が一定以上ならば成長したら女性になる、幼い内は性別が安定しない種族の子だから大事にするんだぞ?



――――やあ美しいキミ、この(わたくし)とお茶を楽しみませんか?


――――えっ? あ、その……光栄です。 喜んで。



 ……主人公のキザなライバル君1号、お前まだ10歳だろ? こんな頃からナンパ野郎なの?


 制服にさりげなく装飾を足して、金持ちーって空気を放出していてお勉強とレイピアが得意なお前は、その内誰かから皮肉にも刺されるんじゃね?


 そんなイベント、攻略本には載ってなかったけどさ。



――――あのー、ポイシュ君は見かけませんでしたか?


――――それならタクロー君と街で遊ぶって言ってたよー。


――――……そうですか。



 あーあー、残念だったな。


 ポイシュを出汁にして、タクローと仲良くなろうとした作戦は失敗だ。


 あの子は家庭の事情で、学園の前半だけ出て来て攻略可能時期が短い子なんだよなぁ。


 時限と言う意味でレアな攻略対象キャラ。


 女子用制服であるキュロットをはいてる、引っ込み思案で動物大好きで、いつも場を譲ってしまう、お下げ姿の優しすぎる子。



――――むふ、むふふ。 タクロー君を中心として、面白そうな恋愛模様が見られるんじゃないかしら? もっと面白くならないかなー?



 ひとり周りから距離をとり、学園のスピーカーを気取る残念なキャラ。


 こいつも攻略対象の大容量キノコ(マッシュルームボブ)頭をした、フォレッツ。


 つまり、

 お前もその恋愛模様の一部になるんだよ!


 シナリオ展開はお約束。 トラブルメーカーとその世話役系。 やらかしてる内に責任感とかが涌いてきて、落ち着いた女性になるとか。


 でも自身の恋愛には初心(うぶ)で、純情なところが可愛いとかって載ってた。


 ん?


 さっきのフォレッツがオレの視線に気付いて微笑みながら手をフリフリしてきたけど、片手の平を見せ返す程度で華麗に目逸らし。



――――校庭を見て? スルマツ君が、ずっと走ってる。 相変わらず筋肉しか頭に無いみたい。


――――楽しそうに笑って、鉄アレイで腕力トレーニングも平行して行ってるわね。


――――どうしてあんなに、筋肉しか興味を示さないのかしらね?


――――顔は良いのに……残念よねぇ。



 モブ女子達に言われてんぞ、制服の上を脱いで汗まみれな白いタンクトップ姿がおぞましい、スルマツこと主人公のライバル2号。


 1号が知識系のライバルで、2号は見た通り。


 1号は技だろって? 知らねーよ、そんな事。




 ここまで来れば、俺の立場はだいたい解るだろ?


 ボッチだよ。


 同学年生徒の総合トップにして、孤高の存在ってな。



 小さい頃からステータスを伸ばし過ぎて、在学2年目にしてカンスト目前。


 誰かに話しかけようとすれば逃げられて、みんな遠巻きに見てくるだけ。


 んで、向こうから積極的に関わってこようとする者は、大抵厄介事の使者。


 学園の裏目標である、世界を救うとか古文書にあった伝説の、創造魔法使いを育てるって項目を、俺が達成しちまってさ。


 ダメ元でも必要なものとして、この授業があってさ。

 攻略本には創造魔法は何年も失敗し続けて、ようやく成功する魔法とか書いてあったりしてさ。


 失敗しても伸びるステータスが美味しいってんで小さい頃からずっと失敗し続けて、試行錯誤してたから学園でつい成功。


 そしたら学園関係者の大人が来るわ来るわ。



 でもダメなんだよ。


 本当の創造魔法使いはタクローとポイシュだってのに、オレじゃあ条件に合わないの。


 世界を救う鍵は、あいつらなんだよ。



 それを【攻略本】まで見せて学園へ申し出たら、タクロー達をこっそり気付かぬよう導いてやってくれって学園長に頭まで下げられたのは、マジでビビった。


 オレ、しがない町人の息子ぞ? 肝の小さい小市民ぞ?


 それで勢いに負けて、影の教育者よ。





 つまりな?



 オレ、非公式だけど先生なの!


 まだ10歳の子供が、補助教員!


 しかも給料無しのボランティアとか泣ける立場!


 オレね、学園ですげー奴だって見られてモテたくて、小さい頃から沢山頑張ったの!!



 でも先生なの!


 非公式でボランティアでも、秘密でも先生扱いされてるの!


 先生と生徒は、倫理的に恋愛禁止なんだよ!!


 教師連中から別れ際に、さりげなく釘を刺されたんだよっ!


 ギャルゲーとして出てくる、自称普通の女の子と言う名の美少女達がいっぱいで、ライバルキャラとして野郎の(容姿)レベルがとても高い当たり年なの!


 オレはどこから見てもモブ顔だけど!


 当たり年なのに、オレは生徒達と適切に距離を取らなきゃならないの!!


 チートの【攻略本】この野郎!


 お前のせいで! お前のせいでオレはなぁ!!!


 いくら可愛い女子から話しかけられても! なんか顔真っ赤にして、女の子~な顔した子にはなしかけられても!


 期待するな、問題になるぞと自身に言い聞かせなきゃならねーんだよ!



 タクローとポイシュ(あいつら)が望み通り育ったら、名誉はキミのものだぞって言われても、そうじゃねーんだよ!! 今モテたかったんだよ!!


 しかも名誉とか嘘だろ? オレの存在は永遠に伏せられるんだろ? あいつらより先に創造魔法使いが居たなんて、救世主の名誉にホコリがつく話は無かったことになるんだろ?

 んで話が違う! とかオレが言い出す前に、金で口封じまでがセットだろ? 物語で良く見るから、そんなオチは知ってるよ!


 そもそも、そんな名誉はいらねーとさっきも言ったよな!?




 あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!


 オレの青春は、既に涙色が確定しちまったんだよぉーーーーー!!!


 青春終了のお知らせが早すぎるっ!!


 チクショーーー!! 可愛い彼女が欲しいーーーーーーっ!!!

 どうしてこうなった……(頭抱えながら)


 補助教員にさせる気は無かったのです。


 でも気付いたらこうなってた。



 本当はモブで気さくな良い奴的主人公(モブ)


 圧倒的な学力で周りから距離を置かれ、主人公をチラチラ見ながらヒソヒソ噂話をされるも、時折やってくる勉強とか恋愛の相談にのって、攻略本情報を叩き台としてアドバイスしている。


「モテたいのに、こんな環境じゃあ好きな女の子ひとり見付けられなさそうだな……はぁ(ため息) モテたい」


 そんな独り言を繰る毎日。


 でも実は周りの女子、結構あなたへ好意を持ってるんですよ?


 耳をすませば、あなたの噂をポツポツ耳にするでしょう?


 顔は平凡だけど、万能で安牌筆頭。 変な性格ではないし、相談に乗ってくれる優しさもある。

 刺激的な生活を望まなければ、狙って損は絶対と言って良いほど無い。 仲良くしたいなぁ。


 モテる目標、達成してるんです。 後は気付くだけ。


 そして積極的な行動を心がければ、みんなあなたを頼りにしてモテキングダムが建国されるのです。


 的なオチにするつもりだったんですが……。




 どうしてこうなった(2度目)

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[良い点] 生徒と先生(同年代) インモラルでもええんやで?
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