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十三話 戦況は悪化する

皆さん、お久しぶりです。


まだまだ一章が終わりそうにないです。なんとか約束通り日曜日で納めるべく、奮闘しております……。入らなかったらごめんなさい。m(_ _)m

 魔法が使えなくなった。


「どうですか? 驚きましたか? あなたたちは魔法が使えなくなったことに大変驚かれているでしょう。より絶望していただくために、どういう訳かご説明いたしましょう。

 大気中に目に見えない精霊たちが魔素を生成していることばご存知でしょう? それを私たちが体内へ取り入れ、魔力に変換することで始めて魔法を使うことが出来ます。そこに目をつけたドールド共和国の研究者たちは精霊を遠ざけさせる魔道具を作成しました……ここまで説明すればもうおわかりですよね? ですがあえて言わせて頂きます。......この周囲には一匹たりとも精霊はいませんし、先ほどのあなたたちの魔法によって空気中にも一切魔素は漂っていません」



 フリッツはうすら笑いを浮かべてそう言った。

 つまりは身体の中に残っている魔力を使いきってしまえば、もう魔法は使えない……そういうことだった。


 魔法が使えないというこの状況は戦況を一気に悪化させた。


 なにも出来ない存在に成り果ててしまった貴族たちを兵士たちは一網打尽にする。





 戦力が激減していく中、アルベールは魔力がなくなって身体強化すら出来なくなっても構わず突っ込んだ。


 敵だけは何らかの処置で魔法が使えているようで、身体強化の恩恵を受けたまま、アルベールへと一斉に刃を振るう。


 それを今までで培ったスキルと気力で防ぐが、全てを防ぎきれずに無数の傷を追う。



「うおおぉぉぉぉ!!!!」



 それでも足を止めることなく、足を進める。


 剣を突き立てられようとも、魔法を打ち込まれようとも進む、進み続ける。


 正に鬼。その眼光に射ぬかれたフリッツは身を震えさせた。



「あぁぁぁぁぁ!!!」



 ついにその刃がフリッツに届かんとした時。



「やれやれ、困ったものだな」



 アルベールの胴と足がパックリと別れた。



「アルベール!?」


 アルメラが大声をあげた。あの最強の男がこんなにも呆気なく破れ去ったことに戸惑いを隠せなかったのだ。


 皆が愕然とする中、彼を殺した男ーー

 ボルドーは静かに剣を納めた。誰にも彼がいつ剣を抜いたさえ分からなかった。



「よ、よくやりました、ボルドー。しかし、もう少し早くお前がやっていれば……」



 ボルドーがフリッツの首目掛けて剣を振った。それは寸止めではあったが、僅かに当たったのか首から薄く血が流れ出た。



「ぼ、ボルドー?」


「あーあー、うるさいなぁ。お前なんてボクらからしたらどうでもいいんだよ。下らないおままごとに付き合ってあげただけのこと。今回の案は元々そんなに宛にしていなかったし」


「な、何を言っているのです! 私のこの案があったからこそ、ここまで国王を追い詰められているのです!! この何十年間もの拮抗を崩したのですよ!?」



 金切り声でそう叫ぶフリッツにボルドーは笑い始めた。



「ははははは、こりゃ滑稽だ。ははははは!」



「何が可笑しいのですか!?」


「いやぁ、まさか君達の国よりも資源が豊富な我が国が今まででの戦争に全力を出していたと、思われていたなんて。これは笑わずにはいられない。はははははははは! それじゃあ見せてあげよう。我が国の力を」



 鏡が膨張を始める。そこから出てきた大きな二つの手が鏡の枠を押し広げていく。ギチギチという嫌な音を鳴らして徐々にその巨体が侵入していく。


 岸壁の肌に、五メートルは越えるであろう巨体。



「グヮァァァァア!!」



 岩の巨人が姿を現した。


 そしてそれは一体だけではなかった。次々と侵入していき、その数は十を越えた。


 その光景は人々が戦意を喪失するには充分すぎた。


「終わりだ……」そんな声が口をついてでる。


「分かってくれたかな、フリッツ? 君はついでだよ、ついで。本当にどうでもよかったんだ。来年には戦争を仕掛けて、こいつらを投入する予定だったからね」



「と、いうことはまさか! 私をこの国の国王にするのを協力するという話は……」


「そんなもの認めるわけがないじゃないか。君、もしかして頭弱い子?」


「わ、わたしを騙したのかッ!」


「だったら、今から裏切る?」


「ッ!?」


「じゃあね、バイバーイ!」


「まっ……」



 なんのためらいもなく、ドルドーはフリッツの首を飛ばした。

 あの敵だった筈のフリッツまでが殺された。

 目まぐるしく動く状況の中、どんどんと事態だけは悪化の一途を辿っていた。



「貴様……何者だ?」



 国王が口を開いた。



「そういえば、名乗っていなかったね。ボクの名前はボルテックス・バーン・ドールド。ドールド共和国の首席の長男だよ!」


「なんだと!?」



 ……首席の長男。つまりは時期首席ーー国のトップであることを意味していた。






「それでさぁ、流石に国王の君をこの場で殺すわけにはいかないから、大人しく捕まってくれないかなぁ」



 ボルドーはそんなことをのたまう。



「それは出来んな。徹底的に戦わせて貰おう」



 アルメラは何処からか黄金の剣を取り出してそう言った。



「うわぁ、めんどくさー。でも、そういうのもいいね。やろうか」



 ボルドーも腰から剣を引き抜いた。緊張した空気が辺りを漂う。



「助太刀致します」



 二人の対決が始まろうとした時、横から割り込む影が一つ。



「おお! お前は……」



 金色の髪に整った顔立ちの碧眼の男。その手には翡翠色の流線型の剣が握られている。


 この戦いをずっと見定めていた者がついに動き出す。




「ハミール!!」



 かつて神童と呼ばれたこの男が戦いへと身を投じた。





ここで魔力について一度きちんと説明しておこうと思います。


魔力の大きさというのは、基本的には魔素から魔力への変換効率、一時的に体内に魔力を貯めておける魔力タンクの最大容量の二つで決まります。


つまり変換効率がよければ魔力を大量に出しっぱなしににしていても全然魔力量は減りませんし、体内の魔力タンクの最大容量が大きければ魔素を作り出す精霊が周囲にいなくてもある程度までは使えたりするわけです。


それとハミールについては、何日間もぶっ通しで魔法を使用するくらいですからバケモンです(笑)

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