描写
「太陽はもう見えないのにどうして空はまだ明るいのだろうか」
貴方は私が想像も出来ないことをたくさん知っているのに、
夕焼けの色の変化に魅了されている、毎日。
この時がいつまでも続けば良いとそうおもった、私。
「太陽系は僕の住む世界から50000光年離れているんだよ」
そんなことまで知っているのに。
あの桃色が見たくて、まだ此処から離れられないでいる貴方。
永遠に思えた、あのとき。
遠くに、行かないで。
行かないで下さい。
私は知っていました。
貴方がそちらの世界で役人をしていて、本当はすぐに戻らなければならないこと。
けれど貴方の世界は地図上には無い世界。
どんなに声の限り叫んでも
どんなに遠くまで駆けだしていっても
何も貴方には伝えられないのよ・・・・ごめんなさい
ごめんなさい身勝手なのはわかっていたのよ
貴方と離れたくなかったの
もう、夕暮れ時には飽きてしまったの?
貴方が行ってから早いこと、六年たってしまいました。
私は16歳から22歳になり
仕事も見つけたし髪も伸びたし確かに色々なことを経験した。
けれど
どうしてなのでしょう?
貴方のことが忘れられなくて、未だこの橋に来ているのです、毎日。
貴方と二人並んで見ていた、夕暮れを一人で眺めている、私。
戻ってきて。
いつになっても良いから、出来るだけ早く。
もしかして、此処からこの激しい水の流れに身をまかせたら、
貴方のいる世界に出られるかも知れない。
命を捨ててでも逢いたいと思えるのは、貴方一人なのです。
帰ってきてくれることは期待しない。
私ももう大人になってしまった。
六年前の希望も夢も、薄れてしまっているのです。
風が私の髪をそよがせている。
私は橋から身を乗り出す。
思い切って風に飛び込む瞬間、何かが私の体をすくい上げた。
「一体、どうしようというのです。貴女は死んでしまうんですよ」
相変わらずの微笑みに私は思わず座り込んでしまった。
そんな私を立たせて貴方は、私の首に冷たいキスを落とした。
木枯らしに負けないと思っていた貴方でも、寒さを感じているのですね・・・
「またみれた」
夕暮れの空の色をみているのかと思うと、
その透明な青い眼は私をみていた。
「ずいぶん変わったね」
私はただうなずく。私は変わった、貴方はちっとも変わっていない。
違う世界の人ですものね。
「僕は・・・」
「変化するものにあこがれるよ」
そういって私を抱きしめた貴方は薔薇の香りがほのかにしていた。
ふと。
二人の前には桃色の空が広がっていた。




