1:魔術士は
「オッサン、動揺し過ぎ(・ω・少年)」
この世界には、魔法が存在している。“火”を出す、“水”を作る、“風”を吹かせる、“地”を揺るがす…所謂、4大元素を操ることができる。それに加え、“光”の治癒と“闇”の加護魔法の2属性を合わせ、6属性の魔法が存在する。火は水と、風は地と、光は闇とそれぞれ相反した存在となっている。
魔法を操る事は、素質である。詰まる所、先天性…血族が関係する。両親が火を操れるなら、子も同様。火と水で相反する場合は強い方を引き継ぐ傾向があり、どちらとも引き継ぐ事は前例にない。
だが、それを全て覆す存在がいる。後天性…環境の変化で素質が開花したもの達だ。命に関わるストレッサー…怒りや恐怖、あるいは絶望を切っ掛けに、新たな属性を操れるようになる。…相反する属性を含めて、いくつでも。但し、開花する毎、掛るストレッサーは大きくなる。
つまり、先天性で操れる魔法は最大3種類。後天性で開花させれば、最大6種類まで操れる。
この世界には無属性持ちは存在しない。
先天性だけを考えれば、1種属性持ちは平民…人口の約7割、2種属性持ちは貴族や騎士…人口の約3割、3種属性持ちは王族…一握り程度となっている。
だが後天性を含めれば10人に1人、3種以上属性持ちが存在する。そこまで珍しい事ではない。
だが、6種属性持ちは異例だ。異例すぎて、王国が保護している。…王宮魔術士として。
「バケモノ…って酷い呼び方ですよね。まぁ、それ以上に適切な言葉もないですけど。」
小高い丘の上、御者に向かいながらケラケラと笑うように少年が言う。
帽子を外した少年の姿は、サラサラとした濃い紫の短髪、果実を想像させる丸い赤眼。身長150〜155cm程の背丈に覆い被さるような茶色のコート、大きめの革製の掛け鞄。12〜13歳というのが適切な外見だ。
「ありがとうございます、御者さん。あっ、これお代です。」
少年は鞄からガサッと、乱雑に膨らんだ麻袋を取り出す。そしてそのまま、麻袋を男性に手渡す。
男性は困惑しながらも、麻袋から硬貨を数枚取り出す。そして麻袋を少年にーー
「えっ?」
少年は不思議そうに首を右に傾げる。
「…首都からここまでだから、銀貨硬貨5つで足りるだろ?」
これ以上安くはできない…と、男性は眉を顰める。
だが、少年は大きく目を開き、首と両手を大きく振る。
「違います、違います!この麻袋ごと受け取ってください!」
「…はぁ?失礼ですが、これだけあれば何ができるかわかってます?」
少年は、何を言われているのかわからないと言う表情で首を左に傾げ、目を閉じる。そして、数秒後に、
「…あっ、1週間分の食事!」
明るく元気な返答をする。
「はぁ!?どんだけ豪華な食事だよ!」
男性が思わず声を荒げる。
「えっ?王都でお世話になった人はそう言って受け取ってくれましたよ?」
少年は穏やかに言い放つ。対照的に、男性は頭を抱え苦い表情をする。
「…ぼったくりだ。これだけありゃ、1年以上余裕で食べれる。」
「あー…それは残念でした。」
「特徴さえ報告すれば、多少なりとも硬貨は返って」
「あっ、お金はいいんです。なんていうか…城下って冷たいんですね。あなたは親切な人で、とても安心しました。」
少年は、明るく微笑む。
「こんなところで引き止めてしまいすみませんでした。また機会があればお願いします。」
「機会…って、帰りは?」
「ご心配なく。こう見えても、わたしは王宮魔術士なんですよ?」
イタズラっぽく笑い、少年は丘を離れた。
※属性について
ポ○モンみたいな相性表ではないので悪しからず。ル○ラの秘宝を参考にした、相反する属性となってます。
つまり、火⇄水、風⇄地、光⇄闇
この設定が活かされるかはキャラの動き次第。
※ルビについて
作者にはセンスがないので、英語とか別ゲーから引っ張ってきてます。
(例:先天性・後天性→英語から、ピュア・クロス・トライ→某超能力TRPGから)
※名前について
少年や男性には名前を用意してません。フィーリングですると「ゴンザレス」が最有力候補です。ね、名付けない方がいいでしょ?(ドヤァ
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厚いようで薄っぺらい説明回です。分かり辛い部分が多々あると思います。もう少し付き合っていただければ幸いです(*´-`)