表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ねこのなかのひと  作者: ままこたれこ
8/25

8

 皮を鞣す作業かなりな力仕事だし、半端ない根気と臭いが伴う。皮の裏側の脂肪と蛋白質を除去していく。除去が終わると、ザポンの実(界面活性剤)で洗い流すことで臭みを消します。皮を広げて板に固定したら、脳味噌を砕いて温めたものを塗り、しばらく放置します。塗った皮を洗い軽く絞って生乾きになるまで乾かし、先を丸めた杭に当てて引っ張り伸ばすと、柔らかい鞣し革になるわけです。脳味噌って臭いんだよ。嗅いだことないけど……。


 この作業を錬金術で出来れば、ミリパナは楽になるし時間も節約できる。今は無理だけど、漢字次第でなんとかなれば良いな。



「あたしのお金ほとんど無くなったんだけど、どうにかなるんでしょうね?!」


 かなりお怒りのようです。


『あはは、申し訳ない。なるようになるんじゃないかな。また、狩りに行って稼ごう。それよりさ、さっき買ってきたミスリル見せてよ』


「話を逸らそうとして……え!!何これ?」


 袋に手を入れて金属板を取り出した、ミリパナの表情が固まった。


「あたし間違えて持って来ちゃった」


『間違えてないよ。それが買ったやつだからね』


 ミスリル板の表面には、読めない文字が……雑貨屋のマンガナホンに見せてもらったカードと、同じ様に書かれていた。


「どうしてぇ、どゆことぉ、なんでなのぉ?」


 確信はなかった。ミリパナには無駄遣いさせてしまったかもしれない。だけど検証はしたかった。実は密かにミリパナの使っている、剣鉈で試してみた。ダメだった。『写』の使い道。これは、写すってこと、所謂複写のことだと思った。オリジナルに対して同じ物を作る、ならば剣鉈を増やせる?まぁ結果は駄目だった。よく考えてみれば、無から有が生み出せるわけがない。複写機コピーは紙に文字を写してくれる、取り敢えず文字を写すなら、カードに書いてあるという文字をコピーすれば良いかもしれない、そう思った。他に文字が書いてあるものが思いつかないんだから、ミスリルを買って写してみるしかない。羊皮紙でも可能だったかもしれないけど、それでは本当に写すだけになってしまう。どうせなら使えるようにしたいよね。


 この世界にコピーという概念があれば説明も簡単だったけど、ミリパナは、説明しても分からないようだ。兎に角、同じ文字を写してくれる、魔法ということで納得してもらった。


『それじゃ、そのカードが使えるか確かめてみよう』


「分かった」


 ミリパナがカードを手のひらに乗せ、そこに手を重ねて目を閉じた。


 何も起こらない。こういう場合、光って発動したみたいな……くそう、やはりそんな上手く行かないわな。漫画やアニメじゃないんだ、見た目の演出なんて必要ないんだ。あくまでもこの世界では、実用的に使うのが魔法なのであって、そんな派手だったらいちいち邪魔だしな。使ったのがバレバレじゃ話にならないよな。ミリパナには、大金無駄遣いさせてしまった。頑張って魔物狩って取り戻そう。


「どうしたの?返事してよ。あたしのなかのひと」


『あ、あぁすまんかった。無駄遣いさせちゃったな……』


「何言ってんの?」


『ほら、大金使ったのに、何も分からなかったからさ、申し訳ないって思ってさ』


「えーあたしの魔力凄かったよ」


『うん、魔力はまた別の方法で、、、な、なに?魔力計れたのか?!』


「うん。ちゃんとわかった。あたしのなかのひとの魔法凄いねぇ」


『いや、俺の名前は遠山一郎なんだけど、言ってなかったか?』


「なんか、前に計った時よりたくさんあったよ。どうしてこんなに増えたんだろう?」


 たくさんって、あぁそうか文字が読めないんだったな。というか、どんな風に表示されてるんだろう。具体的に数値だと分かり易いけど、ミリパナみたいに文盲な人が沢山いたら読めないわな。


 恐らく元々あったミリパナの魔力に、俺の魔力が上乗せされたんだろう。それと『増』の影響もあるだろうし。水弾(水玉では余りにも弱々しいのでこちらにします。前話などの表記は元々弱々しいことを強調したいので、そのままとします。)の威力が半端ないのも、魔力が多いせいだろう。だからミリパナが新たに魔法を習得するようならば、強力なものになる可能性がある。


 問題は、呪文の長さだ。推測ではあるが、この世界には玉はあっても、弾はないんだろう。要するにイメージが足りないので、説明が呪文に組み込まれているんだと思われる。なので説明を無くしてしまえば、ずっと短くなるんじゃないだろうか。イメージが出来てしまえば、無詠唱も可能性がある。その呪文を羊皮紙に書いてもらって、添削すれば出来そうな気がする。俺にその文字が読めれば、なにしろカードの件があったからね。羊皮紙も高価なんだろうかな……高価なんだと思ってたほうが良いな。


「ねぇねぇ、あたしのなかのひと」


『だから遠山一郎だよ!たぶん俺の分だけ増えた、その魔力が増えたから、魔法の威力も増したと思う』


「そうなんだ」


『でもな、呪文が長すぎて使い物には程遠いんだわな』


「そんなのあたしのせいじゃないもん」


『この世界で使ってる文字は、どこで見られる?いや、ちょっと待てよ。呪文って意味なんか関係なく、唱えりゃいいんだよな?唱えてみてくれ』




無双はその内するかもしれないという夢想。

適切な漢字が使えてるのか、はなはだ怪しいけど、読んでね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ