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ねこのなかのひと  作者: ままこたれこ
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 ダンジョンから出て取り敢えず集落(ダンジョン村)へ向かっていると、決まったかのように奴らが現れる。そして現れる度に人数も増えている。勘弁してほしい。


 俺達は争う理由がないんだ。此奴等を殺してもメリットがないんだよ。ポイントが増えてレベルが上がるみたいなことはないんだよ。


 黒装束が三人もいる。そして兵士の一部にトカゲみたいな凶悪な獣人がちらほら。金属の鎧を纏って槍を構えている。


 取り敢えず『消』でバニラとミリパナの姿を消す。この漢字は、実際使うのは初めてだけど、検証はして消えることを確認してある。時間制限があるので、急いで移動する。


 移動した直後に、さっきまでいた場所に矢が数本突き立った。弓の位置が分かったので、そいつらの後ろまで移動して手で口を塞いでから首を切った。


 多勢に無勢ではあるけど、このくらいなら何とかなるかな。


 間髪を入れずに魔法技師スペルエンジニア三人を音もなく倒して、カードも奪う。こいつら遠距離攻撃だと高をくくって、全体の後方にいるので他の兵士に気づかれない。


 ここで『消』の効果が切れたので、『転』を使って数人を転ばすと、残りの兵士が気づいて悪態をつきながら向かってくる。ミリパナはヒョイヒョイと避けながら剣鉈を振るう。


 ミリパナが移動した後には、血飛沫が飛び赤く地を染めていく。


 バニラの槍もクルクルと回転して、敵を翻弄している。回転が止まったときには、兵士の首に突き刺さっている。流石に鎧を着たトカゲどもは、身体能力がヒトより優れていたし、鎧と同等のウロコで頑丈な身体をしている。それと予期しない方向から鞭のように尻尾が飛んでくる。やりにくい相手だ。


 倒れた兵士の中には、干からびた死体もある。コマツさんの抽出攻撃で、水分を分離したようだ。この短時間だと精々二人が限度だけど、防ぎようがないので恐ろしい。


 魔術を使うまでもなく片付いた。


「鎧で刃がボロボロだよ」


 刃こぼれなんぞコマツさんが直してくれるし、こいつらの鎧でまた作ればいい。そんな話をしながら、武器や鎧の回収をしていく。


「うひゃあ……!」


 バニラが突然おかしな声を挙げた。


「一瞬だけど目眩がした……何だろう?」


「あ、あたしも変な感じがしたけど、目眩じゃないような……地面が揺れたんじゃない?」


『地震か!?』


「じしん?なにソレ?」


 それっきり揺れることはなかったので、不思議な出来事は直ぐに思考の彼方へ追いやられたようだ。


 火山があるとか、そんな話は聞いてないので相当珍しいことなのかもしれない。


 二人の武器が限界に達していたことを考えると、このくらいの敵に対処するのが適切で、これ以上増えると魔術と魔法も使わなければならなくなる。呪文を短縮出来たとは言え、無駄な間が出来て合間を埋めるために魔術を使うことになる。相手を個々に倒せているうちなら何とでもなりそうだが、リスクは高まるだろう。


 やはりとんづらやな。


 俺達は、急いで売れる物は処分して必要な物を買い込んだ。雑貨屋のドワーフは仕切りに引き留めようと、時間稼ぎをしているように見えた。


 こいつ奴らと繋がってやがるな。


「ミリパナ、こんなに買い込んで旅にでも出るのか?」


「ん?何言ってんの、いつもこのくらいは買ってるでしょ?」


「そうだったか!?久しいから勘違いだったかな」


 あきらかに動揺している。実際いつもより多いけどな。


 ミリパナは、売った鉱石や素材の代金から買った分を差し引いた金を受け取って、早々に立ち去ろうとしたが、いつもならあっさりと送り出すドワーフが、必要ない物を押し売ろうと引き止めてくる。


「これ新しく入荷したんだがどうだ?」


「要らないよ」


 バニラも首を横に振り面倒くさそうに眉を寄せている。バニラは、カウンターから頭が少しだけ出る程度の背丈なので、ドワーフからは見えなくていつも無視されているが、そんなバニラにも勧めてくるのだ。


 ミリパナも、しつこいと一言言って扉を開けて雑貨屋を後にした。


 その足でいつものダンジョンへ帰る振りで、途中から北へ進路を変えた。


 何処までも荒涼とした荒野が広がっている。渇いた土が風に巻き上げられて、俺たちにまとわりつく。集落から遠く離れてから、ミリパナの背中の大きな荷物を『庫』に移し替える。


 どこまで歩いてもヒトが住んでいるとは思えないような、渇ききった大地だけがあった。




次回の更新が無理そうです。頑張るつもりではありますが……

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