表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ねこのなかのひと  作者: ままこたれこ
19/25

19

 カードが何とか使えないかと、発動の仕方を試行錯誤してみた。ミリパナにカードを持たせて、「ファイヤー」とか「ファイヤーボール」などと唱えて貰ったが、全く反応がなかった。


 コマツさんとも、ミリパナとバニラを中継して、相談した。全く『伝言』の面倒さには苛々させられる。まぁでも、中継するから俺たちの特殊な能力を、ミリパナとバニラにも理解し合えているメリットもあるのだと思って我慢することにしている。


 色々話し合ううちに、一つの考えが浮かんできた。俺たちの特殊な漢字使いを、魔術の構築に使えないかということだ。魔法技師スペルエンジニアが使うカードは、明らかに魔術であり、魔道具なのだ。それが俺たちには、読むことが出来ない文字で構築されている。俺とコマツさんの使う漢字は、使うと魔法のような効果を得られる。魔法のように呪文があるわけでもなく、ただ意識のなかで使うだけなのだ。極端に考えればカードと同じとも言える。一文字だけ書かれた実体のないカードなんだ。


 実際に金属を使って、漢字を彫って作れるものかを、実験してみれば分かるだろう。それをするためにも、必要なものを集める必要がある。買うのはリスクが大きいので、掘って探すしかない、それはダンジョンの中にある、先は長い。


 ダンジョンは迷宮である。元はドワーフたちが掘り進めた坑道だ。坑道に成っている穴は、嘗て鉱物があった場所か、鉱物に至った経路である。縦横に広がっているが、計画的に掘られた訳ではない。恐らく適当で勘に従ったものなので、下層へ行かなければ見つからない訳ではないはずだ。


 コマツさんの使える漢字は、割と錬金術寄りであり、『抽出』と『調合』がある。どちらかといえば、薬物なんかの調合に適していたりする。最近の魔物から得た『分解』と『探知』があり、『分解』で岩を穿つことが可能だった。『探知』は岩ではない異物が感覚で分かるらしい。ミリパナも、土魔法で削る程度は出来る。バニラは呪文を覚えれば可能だろう。


 我々は、コマツさんの感覚に従って、すでに枯渇していると言われている上層で、金属を探し始めた。細かく散らばった金属類は直ぐに見つかった。ただそれを回収するのは、非常に困難だったが、『抽出』で少しずつでも回収していった。


 こうやって探して掘ってを繰り返すと、自然に下層を目指すことになっていた。


 上層では、階段状だった通路も、ある程度降りるといきなり垂直な坑道が多くなってくる。一階と二階と明確に別れているわけでもないので、いま何階なのかということも分からない。このような構造なので、歩行して移動する魔物は地上には出てくることが、ほとんど不可能だ。降りて行くに従って、当然見たことのない魔物に遭遇するわけだ。そしていちいち名前など付けない。面倒くさい。適当に特徴で呼ぶことになる。耳がないやつとか、足が六本ある奴とかだ。だから呼び名が同じで、別種の魔物が複数居たりするわけなんだが、この深さで出会う魔物は俺達には、楽勝なのでどうでもいい。


 一度潜ってしまうと、なかなか地上には戻れないが、水は出せるし、魔物は食えるし、空気も有るみたいで火も着くので、燃料さえあれば問題ない。肉が中心で偏食だと思われるけど、ビタミンとかミネラルとかアミノ酸なんかは、ある程度自力で作れるみたいだ。純粋にヒトではないからなのかもしれない。汚れはスライムが綺麗にしてくれる。燃料なんだけど、石炭を見つけてしまった。きっと石油も出るんじゃなかろうか。この世界では、必須な燃料ではないので、積極的に使われることがなかった。何故なら魔力が燃えるわけで、大規模な火が必要ないからだ。金属は錬金術で溶解状態に出来るし、分離も変形も出来る。火魔法で攻撃的なことは難しいが、魔術で可能だった。それを可能にしているのが、支配層の一部なのが問題だった。石炭はもちろん(燃える石)として、知られてはいる。


 水が少なく乾燥した国土、植物が育ちにくい。獣人にとっては問題なくても、支配層の人間にとっては切実な問題である。この領地を治める伯爵は、食料を輸入で凌いでいる。対価としては魔物の素材や、宝石に充填した魔力である。そしてダンジョンで採れる菌類がある。毒があったりするが、見分けがなかなか難しく、死ぬ人は多いらしい。


 段々月単位てしか地上に戻れなくなっていて、久し振りに戻って色々を雑貨屋で換金して、塩や胡椒などを仕入れていると、殺気を感じる。今までも何度か襲ってきたが、ことごとく排除してきた。全くしつこい。毎回殲滅しているわけで、俺達が犯人だと分からないはずなんだがな。分かってるのは、隠していた水場が見つかった事くらいだ。やはり元を絶たなきゃ駄目なのかな。


 だけどさ、いくら強くなったとはいえ、魔法技師スペルエンジニア多数+兵隊多数を相手に、喧嘩を売るのは不味いよな。どれだけいるのかもはっきり分からないし。辺境伯と言うからには他国と国境を接してるだろうし、侵略に備えて兵隊沢山いそうだしな。ある程度なところで、他国へとんづらするのがベストな気がする。なにも此処だけにダンジョンがある訳じゃないしな。そういや、あの森の向こう側はどうなってんだろうな。




年末にかけて色々と多忙に成りつつあり、更に更新が滞るかもしれません。

申し訳なく思います。

戦闘シーンも上手く書けなくて悩んでいます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ