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眠り猫なJKのいる教室(クラス)  作者: 山野カエル
5/9

第5話 出逢いはジャスティス

ルビ振ってたりしたら日が変わってた…



「なんかアレだな…」


先輩が言った。

「こう天気いいと、なんか歌いたくなんな」

「え?」


「いやなんかピクニック来たみたいじゃん!芝生だし」

「そうすか」

「なんかアレだなー。あの楽しいやつ、なんだっけ…あっ


♪グリーング」



反射的に私は叫んでいた。


「ダッッメエエェェェェェェェッ!!!」



「!!」


「!!」


( わっヤバイ! )



正気に戻ったときにはもう遅かった。ガッツリ叫んでしまった後だった。

…いやもう、こればかりは思考を挟まないほうの反射だった。脊髄反射だ!なのでもう、不審者を見る目をした二人に、私から話しかけるしかなかった。



「出ますよ…。」



「なにがだよ…?」先輩はますます私が恐ろしそうな顔をした。たしかに私は鬼気迫る顔をしていただろう。しかし頭の中では、ちゃっかり"初めてちゃんと先輩と目ぇ合ったけどまっじでカッコいいなヒュゥー"と思ってる自分もいたのだ。

これだけは言える。女子は強い。



「取られますよ…!?」

「なにっ…?なにを!?」

「使用料…」



「は??」事情のまだ分からない先輩と違い、メガネ君の顔はみるみる恐怖に曇った。


「もしかしてっ!アレですか?

ジャスッ…」


そうだ、と私は無言でコクコクうなずく。


「え?ジャス…なに?」


「知らないんですか?時事性ないなぁ〜。」


「んだと!?あっ、芸人のヤツ?ジャスティス…ジャスティス池上あきら!?」


「いやもー。。


それ絶対サンシャイン池崎でしょ?政治に詳しくなってどうするんすか…」



…えっ。ちょい待ってやメガネ君。なんで今ので分かるんだ…。



「はぁ!?てか何であいつ掛け声ジャスティスなのに名前サンシャインなんだよ。意味わかんね」

うん、それは私も百万回くらい思ったやつだ。


「んでジャスなんなの?」

「ジャス…」

青井君はそこで言い渋った。忌むべきその名を口にするのを(はばか)っているー…


「…ジェイ,エー,エス,&(エン)、アー?,エー,スィー」


…からの、まさかの、アルファベッドに分解して伝達するスタイル。


「は?おま何なん突然。ラッパーかよ」

「J トゥザ A トゥザ」

「聞こえたって!Rの発言がムカつくんだよ。あと &を挟むな。エンって言うな。」

「じゃ、知ってるんすか?S トゥザ…」

「知らねー。普通に知らねーみたい」


「やつらは歌詞を引用したが最後、使用料を取りたてにどこにでも来るんです…それ以上歌うと、やつが、でますよ…!」


「なまはげかよ…」




「んで、お前は何をしてたの?」

と言って、先輩は私を見下ろした。


見下ろした…


んん!?


ってか何で!こんな近くに!立ってんの!?


…さっきまで芝生の端にいたじゃん!てかメガネ君もちゃんと後ろにくっついてる。何なんいつのまに!二人して忍者!?


「あわ…私は…芝生を、見に、…」


「おまえ同クラだっけ?」

「あ、う、はい」

「ほらやっぱ同クラじゃん。りく」


…???あっ、りくってメガネ君の名前か。案外可愛い名前してる。


「そうでしたか、すみません。目悪いんで許して下さい」

と、りく君が私の顔をのぞきこむと「青井です」と自己紹介した。こんなふうに爽やかに笑うと、なかなか好青年だな…。


「あっ、芹沢です…。」

「おれは立花」


「あっはい知ってます…」

「おまえ部活は?」


「えっ?帰宅部ですけど…?」

「…」


立花先輩と青井君はちょっと顔を見合わせた。

( えっ何…? )


っとそこでキーンコーンカーンコーンとチャイムが鳴る。

「あっやべえ帰るぞ。あっおまえ、芹沢!」

「はい!!?」


「おまえ、あした俺らのとこに昼メシ食いに来いよ」




え!!!??




「なん…え?…何でですか…!?」

「…」

なんか前を行く先輩は、両手をポケットに

突っ込み素知らぬ顔をしている。

と、青井くんが明るい声で言った。


「ははっ。芹沢さんがソロまるだしで、可哀相だったからに決まってるじゃないスか。ひとりであんなベンチにこじんまり座って、…ハハハ」



な!!!!!!!



おま!!!!!




メガネ!!!!!!




やばい…一気に顔に火がついた。恥ずかしすぎる!頭にカッと血がのぼったせいで、グワングワン耳鳴りがした。しかも次の瞬間、目の前が急に真っ暗になり、平衡感覚が全くなくなって、足もとの光輝く芝生に頭から激突するんだろうかと思った…


…しかし気がつくと、何とか両足で立っている。生まれたての子鹿のようにメチャメチャぷるぷるしてはいるが。。大丈夫。。激突は免れた。


「…おい大丈夫かよ…」


ソロ…

ソロまるだし…

おまえ、メガネ、初対面だぞ!?



こちとら女子だぞ!?



まじコロス!!!




「いやたしかにウチのクラスは部活入ってないとキツそうな感じでしたもんね〜」


「ちょ、もーやめろそれ以上喋んなバカメガネ!!」すごい剣幕で踵を返してきた先輩が、青井君のとこまで来ると、頭をスコーーーンと平手ではたいた。


青井君のメガネが2メートルくらい、芝の上を吹き飛んだ。



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