プロローグ
魔物は忌み嫌われる世界。使い魔は奴隷扱いする人も少なくない。
そんな魔物が産まれた理由は人間を救うための犠牲だったとしても……それを知り得ることはないんだろうね。
全く、君もなかなか意地悪だよね。そんな世界に彼を何も知らない状態で……。
これもあの世界をよくするためだって言うのかい?
まあ、君の考えもわからなくはないよ。
でも……あの人が黙っていないだろうね。
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少年は魔法が使えなかった。
少年は魔物と絆を結んだ。
少年は魔物を愛した。
少年は人を嫌った。
少年は人との友情を知った。
少年は愛を知った。
少年は優しさゆえの冷たさを知った。
少年は世界を知った。
少年は裏切りを知った。
少年は涙を知った。
そして少年は世界をーーーー。
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魔物が嫌われる世界で俺の能力は、公にはできない。大切な友達を失うなど、誰にとっても嫌だろう?
俺にとって大切な友達がみんなと少し違うというだけのことだ。
誰がなんと言おうと……魔物たちに対する気持ちは変わらない。
魔物がいなかったら、俺はとうにこの世界で生きる気力を無くしていただろうから。
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精霊の森には石碑があります。
その石碑には宝石が埋め込まれ、その手前にはとある文章が刻まれています。
私は、この石碑が作られるまでの物語を……一生忘れないよ。ダン君。