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居候  作者: 椋原紺
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 自宅まで戻ってきた頃には、もう体中が水浸しで感覚が半分麻痺していた。それでもお構いなしに、簡単に体を拭いて部屋着に着替えると、さっそく家の中を忙しく歩き回った。

 居間で捜し物をしていると、テレビの傍に立て掛けてある家族写真に偶然目が行った。昨日、セナが私に見せてきた例の物だ。

 ――――どうして、こんな簡単な事に気がつかなかったんだろう。

 自分がどうしようもなく嫌な人間に思えた。

 携帯のバイブが響く。ポケットに手を伸ばして確認すると、母からの着信だった。









* * * * * * * * * * * * * *







 この雨を見ていると、セナは嫌な事を思い出してしまう。大切なものを失った、あの日のことを。

 また失ってしまうのだろうか。絶対やだ、そんな事。

 息を切らし、ペダルを必死に踏む。傘はもう差さなかった。その方が、早く家にたどり着けるから。

 どうか、間に合って。そう願いながら、降りしきる大雨の中を疾走していった。


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