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居候  作者: 椋原紺
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 宅配ピザを初めて注文してみたのだが、想像していたよりも味は良かった。この具合なら、また一人で留守番しないといけない時に利用しようかな。せっかくクーポン券も貰ったんだから。






「セナ、お風呂入るよね?」

 後片付けを終え、入浴を司る指令機を操作しながら私は尋ねた。昨日のような事があっては面倒だし、替えの衣服やタオルを前もって用意しておきたかったのだ。

 しかし、私の予想とは裏腹に、食卓に座ったままのセナは浮かない顔をして頭を横に振った。

「ううん。宇宙船修理しに行くから、私は良いよ」

「え、そう。分かった」

 拍子抜けしている私のすぐ横を通り過ぎ、セナは玄関へと一目散に歩いて行った。どうしたんだろう急に。靴を履いている後ろ姿を眺めながら、旦那を送り出す主婦のような口ぶりで言った。

「何時くらいに帰ってくるの?」

「別に、私の勝手でしょ」

「勝手、って。何それ、ちょっと無責任すぎるよ」

「なんで?」

「心配するからに決まってるじゃん」

 私の声は微かに上ずっていた。どうして当たり前の事が分からないだろう、こいつは。

 だが、セナは取り乱すことなく、川のせせらぎのようにすらすらと言葉を並べた。

「心配? 私、ただの居候だよ。それに、私がいなくなる方が莉奈は清清するでしょ。早く宇宙船直してこの家から出て行った方が良いに決まってる」

「どうしたの。なんかおかしいよ」

「別に。どうもしてない」

「あ、ちょっと!」

 セナに続いて外へ出てみたけど、彼女は忽然と夜の闇へ姿を消してしまっていた。なんだよ、こういう時だけ宇宙人ぶりやがって! 

 何故か異様に腹が立ってきた。もう、勝手にすればいい。私はさっさと家へ引き返し、鍵を閉めた。








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