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フェアウェル

#8「フェアウェル」/重野孝治、風間智和、山元智、雨宮瑞穂、町田洋介、高木源太郎

日本国/南東北州/仙台市/青葉区/一番町

2034年10月7日

 もういいかげん、ほろ酔いを通り越して、真っ赤な顔をした風間が音頭をとる。

「あー、3次会ですが、もう一度。雨宮と洋介の結婚を祝して、乾杯!」

「乾杯!」



「……でだ、オイ、若いもんの集まりに俺なんかがいていいのか?」

 上座に座った、否、他の全員の一致で上座に座らされた、高木のおやっさんが頭を掻く。照れているのが見てわかる。

「何言ってんスかおやっさん! おやっさんが仲人みたいなもんでしょ! ささ、ガンガン飲んでください!」

 町田がピッチャーのビールをおやっさんのグラスに継ぎ足す。

「配属の関係上、西村課長が仲人やりましたけどぉ、わたしたちの仲を取り持ってくださったのは高木警部補ですから!」

 こちらも真っ赤な顔をして、いいかげん出来上がっている雨宮。

「それにしても、奥手っぽいと勝手に思ってたけど、雨宮の方からプロポーズするとはなぁ。はい、おやっさん」

 隙なく、1品目のサラダを取り分ける山元。

「おう、すまねぇな。相変わらず気遣いが上手ぇな、トモ坊。これでなんで嫁のもらい手が居ないのか不思議だぜ」

「高木警部補ぉ、セクハラですよぅ!」

「こらこら雨宮。アタシは仕事と狙撃銃とで二股かけてますから。それ以上できるほど器用じゃないんで、えぇ」

 山元はそう言って、几帳面に菜箸を揃えた。

「フランスにはファンがいっぱいいるんだろ? 『セーヌを救った女傑』だっけか? よりどりみどりじゃねぇか」

 風間がまぜっかえす。

「魔性の女かっての、アタシは!」

「なんだ、もらい手はいるのか。風間はまだ遊びたい盛りか?」

「こいつ、パチンコと酒でほとんど給料使っちまうんですよ」

 山元がささやかな復讐をする。

「おいおい、最近は貯金始めたぜ!」

「貯金して、パチンコ行く代わりにカジノ行くんだろう?」

「重野班長まで!」

「そうそう、重野だ、お前も嫁さん探す気ねぇのか?」

 火の粉をかぶらない位置に居ようと思ったが、どうもそうは問屋が卸さないようだ。

「嫁さん探す前に、S.I.U.の有望株を探す方が大変でしてね」

「あ、重野班長ぉ、私のバックアップの扉破壊役ドアブリーチャー、見つかりましたぁ?」

「おいおい、瑞穂、飲み過ぎ」

 町田が空になった雨宮のグラスにウーロン茶を注ぎ直す。

「東北帝大の射撃部にとっておきの奴がいてな。クレーのトラップで25枚連続初弾命中させたやつだ。ドアだけじゃなく動く的もイケる」

「そんな奴ぁ、防衛隊体育学校からもツバつけられてたんじゃねぇのか?」

「そこらへんは、おやっさん譲りの“営業努力”ですよ」

「お前も言うようになったな、重野」

「おやっさんにくらべれば、まだまだです。ささ、もう一杯」

 空になったグラスにコハク色の液体を注ぐ。

「で、重野班長、俺のバックアップについては何か聞いてないですか?」

 左肩を妻に枕にされながら、町田が聞いてくる。

「小耳にはさんだ話だが、お前と違ってお堅い奴だそうだ」

「さりげなくひどいこと言いますね」

「アタシが聞いたのはゴツい風貌だってことですね。名前も“イシダ・イワオ”」

「ハッハッハ、そいつぁ傑作だな! トモ坊とじゃ硬軟併せ持つコンビになりそうだ」

 おやっさんは愉快そうに笑う。

 

 こうして、雨宮と町田の結婚式の夜は更けていった。

#9「サタデーナイト・スペシャル」/高木源太郎、真山光祐、重野孝治

日本国/南東北州/仙台市/青葉区/仙台市警あおば北警察署

2035年2月16日

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