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うさぎとかめ


むかーしむかしあるところに、うさぎとかめがおりました。


「もしもしかめよ、かめさんよ。世界の中でお前ほど歩みののろい者はない。どうしてそんなにのろいのか。」

「なにをおっしゃるうさぎさん。そんなら私とかけくらべ。向こうのこやまのふもとまで、どちらが先にかけつくか。」

「よしのった、勝負は明日だ!太陽が真上の時にここにくるんだぞ!」

「のぞむところです。」



うけたはいいが、かめさん、よくかんがえたらうさぎに勝つ見込みはない。さてどうしたものか。丸々一日考えて、ようやく思いついたのは、はたして何やら。



~第一レース~


お陽さまはちょうど真上!約束の時間がやってまいりました!ここ、野原競馬場は今、席がほぼ満席で、人か動物かよくわかんないけど会場内が埋まっております!


「よし、来たな亀の旦那。ところでこの周りの奴らは何だ?」

「・・・。」

「にしても皆、手にチケット持ってたり新聞読んでたりするが・・・。」

「・・・。」

「おい聞いてんのか。」

「・・・。」

「(まさか怖気づいたか?まあいいや。)」


トランペットのどヘタなファンファーレが鳴り響きました!

あまりのヘタさに会場の全員が失神ー!!!もちろんうさぎとかめも・・・っとぉ!かめ選手、なぜか平然としている!どういうことなんでしょうか?


「えいしょ、耳栓しといて良かった・・・。」


なんと、耳栓でファンファーレを乗り越えたようです!予期していたのか?


~1時間後~


おぉっとぉ、かめ選手が今ゴールしましたぁ!1着です!かめが1着!

うさぎ選手惜しくも破れ去りました!

えーただいまのレース払い戻しは・・・。


「ってちょっと待てーい!なんじゃ今のレースは!」

「あれ?また寝ていたんですかうさぎさん。学習能力がありませんね。」


お・・・これは・・・うさぎ選手がかめ選手に抗議しているようです。


「だーかーらーあのトランペットさえいなければ俺が勝ってたの~!」

「じゃあトランペットなしでまた明日やりましょう。」



うさぎはちょっと頭をひねって、その夜競馬会場にトランペットがないかどうか、楽屋や馬小屋、座席の一つ一つに至るまでしっかりに調べました。そしてトランペットがないことを確認すると、穏やかに眠りました。



~第二レース~


お陽さまはちょうど真上!約束の時間がやってまいりました!ここ、野原競馬場は今、席がほぼ満席で、人か動物かよくわかんないけど会場内が埋まっております!


「来たな亀の旦那。にしてもまだ観客がいるんだな。」

「・・・。」

「(今度こそ怖気づいてやがるヒッヒッヒ・・・。)」


あれれ?またどヘタなファンファーレが流れました!どーいうことなのか?

ああっと!トランペットではなく、トロンボーンがファンファーレを鳴らしていたようです!またまた全員失神ー!!!勝負にならない!


またもやかめ選手が耳栓を外しました!これは怪しい!しかし周りに誰も抗議する者がおりません!



~1時間後~


おぉっとぉ!かめ選手がまたまた1着でゴールしました!かめが1着!

うさぎ選手またもや敗れ去りました!

えーただいまのレースの払い戻しは・・・。



「ちょっと待てーい!今度はトロンボーンかい!」

「だってトランペットじゃないですよ?」

「全員失神してレースにならんじゃないか!も~うファンファーレを止めろ!」

「わかりました・・・。そこまで言うならやめてあげましょう。」

「おう。じゃあまた明日な。」


その夜うさぎは、今度こそ音を鳴らす物がないかしっかりと調べつくしました。そしてニヒニヒ今度こそ勝てると笑いながら眠りにつきました。



~第三レース~


お陽さまはちょうど真上!約束の時間がやってまいりました!ここ、野原競馬場は今、席がほぼ満席で、人か動物かよくわかんないけど会場内が埋まっております!


「来たな亀の旦那。観客が相変わらず賭けみたいなことしてんじゃねえか。」

「そりゃ競馬ですからねぇ・・・。」

「(今度は耳栓なしか・・・。これは勝てる!)」


おぉっとぉ!ファンファーレが鳴り響かない!確かに約束は守られました!

さて、かめ選手、颯爽と馬に飛び乗りました!


「!?」

「なにしてるんですか、うさぎさん。早くレースを始めますよ。」

「いや・・・馬が・・・」

「だから競馬だと言ったでしょう。」


ゲートが開きました!両選手、見事なスタートを・・・っとぉ!うさぎ選手、さっそく落馬です!練習してこなかったのか?

かめ選手、見事な乗馬テクニックです!これは熟練の技といったところでしょうか!


「ちょ、まt」

「うさぎさーん、その先はカーブですよー。」

「だからなんで馬なんd・・・ゴヘェ!」


うさぎ選手、勢い余って壁に激突!大丈夫なんでしょうか?

おぉっとぉ!そんなことをしている内にかめ選手がゴール!かめが1着!

うさぎ選手、またまたまた敗れ去りました!

えーと、ただいまのレースの払い戻しは・・・。


「いやだからなんで馬なんだって!」

「え?最初に言ったはずですよ、競馬だって。」

「いやだから足の速さを競おうとしたのであって・・・。」

「じゃあ今度は馬なしでやりましょうか。」

「よし、そりゃOKだ。」


その夜うさぎは、少々やつれた顔で競馬場に馬がいないか探しました。車庫やピットまでしっかり調べました。


「・・・ん?車庫?今度は車でやる気か亀の旦那め!そうはいくか!先読みして車の特訓だ!」


そうしてうさぎはその夜、オールして車の特訓をしました。



~第四レース~


お陽さまはちょうど真上!約束の時間がやってまいりました!ここ、野原競馬場は今、席がほぼ満席で、人か動物かよくわかんないけど会場内が埋まっております!


「来たか亀の旦那。観客はまだ賭けやってんのか。今回は俺の勝ちだがな・・・。」

「どうしたんですか?車の特訓でもしたんですか?」

「まあそんなところだ。お前のたくらみも終わりだな。」


さて、両選手とも小さい車に乗りました!しかし小さい車ですね~・・・。しかもかめ選手の車には大量の亀が乗っています。ルールは大丈夫なのか?


「おい亀さんよ。その連中はなんじゃ。」

「ああ、私の連れですよ。どうしても見たいというんでね。」


ジュゲムのスタートの合図で、両選手とも同時に発車!


おぉっとぉ!かめ選手、連れの亀を放り出しました!やっぱり荷物になるんでしょうか?

っと思ったらその亀が甲羅にこもってうさぎ選手の車に体当たりをはじめました!もはやなんでもありか?


「ちょ、マ●オカート・・・。」

「すいません、今の発言は任●堂に訴えたほうがいいですか?」

「もっと世界観を大事にしろよ。」

「第一競馬とか車とか言っている時点で世界観もクソもありませんけどね。」


おぉっとぉ!かめ選手、赤い甲羅の亀を放り出しました!この亀、うさぎ選手の車をホーミングしているようです!追われる方はたまったもんじゃありませんねぇ・・・。


「マジ反則・・・。」

「反則とか言う前に審判がいませんねコレ。」


うさぎ選手、故障部分を直そうとピットイン!しかし誰もいなーい!まぁ、頼んでませんしね。


「しまった、頼んでなかった・・・。」


うさぎ選手、ピットで立ち往生・・・と言っても座ってるんだけども・・・ブッ・・・。


「自分で言ってふくなよお前。」

「んなこと言っても実況には届きませんよ~。」



おぉっとぉ!そうこうしている内にかめ選手ゴールイン!かめが1着!うさぎ懲りずに敗れ去りました!

えーと、ただいまのレース払い戻しは100円から~・・・。


「ちょっと待てオイ。賭け金の安さにも突っ込みたいがまずお前だカメーーー!」

「何気に微妙なFF用語挟まないでください。」

「何故お前だけアイテムありだし・・・。」

「いやーあなた頭にもともとついてるのかな~って思って。」

「これはうさぎ頭巾じゃない!もともとだって!しかもそんなアイテムあったっけ?」

「知りませんよそんなこと。」


「とにかく今度こそちゃんと自分の足でレースやるぞ!」

「ハイハイ。」

「なんかだんだん言葉づかい悪くなってない?」

「そんなことねーよ!フザケンナ!」



その夜うさぎは眠いのを必死におさえて、競馬場内に変なものがないか、しっかりと探しました。芝生の一個一個。駐車場の車を中まで一台一台。男子トイレも女子トイレも。あげくのはてには近隣住宅の一つ一つまで調べ上げ、終わった時には朝でした。



~第五レース~


お陽さまはちょうど真上!約束の時間がやってまいりました!ここ、野原競馬場は今、席がほぼ満席で、人か動物かよくわかんないけど会場内が埋まっております!


「ヘッヘッヘ・・・来たかい亀の旦那・・・。」

「どうしましたうさぎさん。随分目が真っ赤ですね。」

「色々あってな・・・。だがそのおかげで今日は俺の勝ちだ・・・。」

「それはよかった。」


さて、両選手ともゲートに立ちました!今度こそ足でレースするんでしょうか?かめ選手のトラップはあるんでしょうか?

さあ、ゲートが開かれました!うさぎ選手、自慢の足でかめ選手を圧倒!やっぱりうさぎの圧勝でしょうか?


「あ、そういえばうさぎさん。」

「(ピューーーーン)え?何だい亀の旦那?今さら降参は聞かねえぜ。」


おっとかめ選手、トンボ返りしてきたうさぎ選手に何か書類を突き出しています!レース中ですよ?


「あなたに逮捕状が出てますよ。人の車に勝手に入り、女子トイレに入り、あげくのはてに不法侵入ですか。まったくなにをしてるんだか。もう警察が来ますよ。」

「なにぃぃぃ!!」


おぉっとぉ!競馬場に警察が乱入!うさぎ選手を追っているようです・・・何かしたのか?


「えーいクソッ、ここまできて捕まれるか!」

「おまわりさん、こっちです。」

「ギャー!この亀野郎め!こうなったら最終手段!コースに逃走だぁ!」


おぉっとぉ!うさぎ選手、警察から逃げながらコースを爆走!そんなことしたら刑期延びますよ?


「待てー。」「待て―。」

「(5日前からの疲れがたまってるし、マジでやばい・・・。もうおとなしく捕まろうかな・・・。)」


うさぎ選手、急に減速しました!諦めたのか・・・?・・・ってあれは・・・


「待ちなさいあなた!」


な、なんと!何者かがコースに突っ込んできました!すぐさまうさぎ選手の横に並びました!メスのうさぎのようですが・・・何者なんだ?



「あ!お前!・・・仕事場と競馬場には来るなって言ったじゃないか・・・。」

「あなた!こんなところで遊んでないで仕事しなさいよ!今月家は火の車だって言ったばかりじゃない!」


どうやらうさぎ選手の奥さんのようです!鬼の形相を浮かべてうさぎ選手を捕らえようとしています!


「(いかん、こいつにだけは捕まったら殺される・・・!!)」


おぉっとぉ!うさぎ選手爆走!奥さんもほぼ同じスピードで追いかける!なんというスピードでしょうか!?


おぉっとぉ!あっという間にうさぎ選手がゴール!うさぎがまさかの1着!かめ選手、やっとこさ敗れ去りました!

えーと、ただいまのレース払い戻しは・・・って誰もうさぎ選手に賭けてませんね。残念ですね~。残念ですがここでお別れの時間が来てしまいました~。次の番組は、「オールバイトニッポン!」です。滝川クリ●テルでした。チャオ~。


「求人番組か!っつーかお前滝川クリ●テルってオイ待t」

「あなたーー!!!!」

「(と、とりあえず亀の旦那にドヤ顔してこなきゃ・・・。)」


「ヒーヒーフーフー・・・。ど、どうだい亀の旦那・・・勝ったぜ・・・」

「通報してくれた上に、犯人を誘い出してくれてありがとうございました。」

「どうもどうも。あ、もらえるんですかコレ。」

「金一封もらってんじゃねぇぇぇぇぇ!」

「あ、ホラホラうさぎさん。あなたのレースはまだ終わってませんよ。」

「あなたーーーー!!!!!!!」


こうしてうさぎさんは、いつまでもいつまでも、幸せに走りましたとさ。めでたしめでたし。


「さーて、次はどこのうさぎを釣りましょうかね。」


                                                        終わり

なんじゃこりゃ。

ちょっと息抜きで書き過ぎじゃ・・・。

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― 新着の感想 ―
[一言] まりぉカートが、本当に頭に浮かび、にまにま笑ってしまいました。
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