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自伝 〜Story〜  作者: 神道 龍也
15/18

中学生 14才編 〜火事2〜

中学2年生、この年は様々なイベントがあった年でもあります。

そして初めてばかりで、どんな些細な事も新鮮だった私達は色々な事に手をだします。

親に友達の家に泊まると嘘をついてギャラリー(暴走族が走っているのを見に行く事)に行ったり、恐喝したり、万引きしたり、バイク(前話参照)に乗ったりと、またこの頃にはタバコの銘柄が赤ラークの100mmで固定されていたり、髪型は前髪と後ろ髪(ヤン毛というやつ)をあほ程伸ばす事にポリシーを持ったりとバカ街道まっしぐらでした。




〜14才編〜



突然ですが、人間各個々に属性というものがあるとしたら、あなたはどの属性になりますか?

ちょっとゲームっぽくなりますが『火・水・風・土』の中なら、まず間違いなく私は『土』でしょう。しかし、この中でどれが好きかと言われると『風』と答えます。逆にどれに好かれているかと言うと…


やはり『火』だと思います。第1部4才編のエピソードから始まり、今まで何回『火』の恐怖にさらされた事か…


前置きが長くなりました。それでは本編スタート!!


中学2年生の夏前に彼女が出来て少しした頃、ある土曜日の放課後、この日はクラブ活動もなく、ただ帰るだけでした。


下校途中ある事に気がつきました。


「んっ?靴に何か入ってる?」

靴を脱いで中を見るとくしゃくしゃになった手紙が入っていました。


まぁ入れる相手は1人しかいませんが一応確認…


「今日、学校が終わったら皆でうっち〜の家に集まるから、よかったらこ〜へん?待ってるね!!雛美」


紹介がまだでした。

彼女は幼なじみから彼女に昇格しました。


南部 雛美(なんぶひなみ)

ー通称:なべー


少し美人顔でスタイルもよく愛嬌がある笑顔がとても可愛い子です。


「あれこれ?」


バシッ!!


声をかけた瞬間に手紙は彼女に奪い取られてしまいました。


「なんでもない!!」


「ん〜あ〜そう…」


女という生き物は何でこんな回りくどい事をするのか分かりません。私が手紙に気付かないなんて事も十分に考えられたはずです。っと言うより口で言えよ…


取り敢えず伝えたい事は理解したのでその事を踏まえた上で…


「どうしよっかな?俺この後ちょっと用事があるねんけど(ウソ)」


「だったら終わってから来て!!」


「ん〜行けたら行くわ」


女心が全くと言っていいほど分かっていません。寧ろ(むしろ)一生涯分からないと思います。


すぐにでも行くと返事したいのに、この天の邪鬼〜


この時期は携帯電話など持てる筈もなく、ポケベルが流行るちょっと手前くらいの時期なので連絡は家電話が主流です。

たまにと言うより、しょっちゅう遊びの誘いの電話が鳴ったので面倒臭い時は兄のフリをして、あいつおらんわ〜とか言って撃退したものでした。


家に帰り、食事を済まし、適当に時間を潰して、ど〜しよっかなぁ〜とか独り言を言いつつ遊びに行く準備をする私なのでした…


うっちーの家は私の家と同じ地区なので歩いて10分、チャリなら5分くらい場所です。

もうすでに皆集まっていて3帖くらいの部屋に私を入れて男5人、女3人のなかなか濃い密度で部屋はタバコの煙で充満していました。

私もタバコを1本吸い終えた頃、皆で裏の川に行こうって事になり、うっちーの家の飼い犬2匹を連れて川に向かいました。その頃うっちーはタバコの吸殻で一杯になった灰皿を処理する為、タバコの吸殻をティッシュで包んでゴミ箱にポイッ!!

灰皿は隠して部屋を換気してから川に来ました。


季節はもうほぼ夏で川の水が気持ちよく、犬達は我先に川に飛び込み、走り回っています。そして、うっちーが手でわっかを作り口でくわえて、ピィィィーーっと口笛を吹くと犬達はうっちーの所に戻ってきます。名前が馬島なだけにまさに猛獣使いです。


暫くいい雰囲気で遊んいると、遠くから声が聞こえます。

「〜ちゃ〜ん〜か〜っ〜〜で〜」


うっちーの妹が堤防沿いからこちらに何か叫んでいます。


「おに〜ちゃ〜ん〜か〜っ〜〜で〜」

「お前しばくぞ!!何言ってるか、分からんのじゃ!!」


猛獣使いうっちーが妹に向かって叫ぶと妹は精一杯の声で


「おにぃちゃ〜ん、お父さんがおうちもえてるから帰っておいでやってぇ〜」


全員大爆笑


アハハッ!!お家燃えてるって!!


皆そんな訳あるかいと爆笑しています。

猛獣使いうっちーは訳の分からん事を言っている妹にぶち切れています。


「あいつしばいたんねん!!」

と、敵意を剥き出しにして、ひとまず家に帰るとうっちーのおやじさんがお出迎えです。


「おぅお前ら全員中入れ!!」


私はただ単純にタバコがバレたのだと思いました。


うっちーの部屋に着くと消火器の粉だらけになっており、

壁一面から天井に向かって黒く焦げています。匂いも火事特有の煙の匂いで、そこで何があったか言わずとも分かる状況でした。


「ひろぉー!!」


「すいませーん!!」


うっちーのおやじさんは部屋に入るなり、うっちーをボコボコにしばき出しました。

厳ついおっさんにしばかれているツレを見て全員竦み上がっています。

次は私達です。

しかし逃げ出す訳にも行きません。


「お前ら!!こんな事して責任とれんのか?おぉこら!!」


1人が胸ぐらを掴まれて凄まれています。

ヘタレな私は前にいる奴の影になろうとジリジリ隠れるようにゆっくりと移動しているとおやじさんは前の奴を退かして私の胸ぐらを掴み、「お前も責任とれんのか?こらぁ!!」

恐ろしい事この上ありません。

私は「すいません」としか言えません。


そこへ…


「なにこれ?どうしたん?」


うっちーの兄貴が帰宅してきました。

事情を確認すると一言…


「お前ら皆で片付けろよ」

それからは皆で掃除です。

掃除が終わる頃にはおやじさんも落ち着きを取り戻し、火事が如何に恐ろしいかを2時間に渡って説教されました。

解放されたのは夜の10時を回っていたと思います。今から帰って事の次第を親に説明しないといけないと考えると憂鬱になります。

そんな事を考えていると、

「俺家出するわぁ」


ぎっちが家出する決意表明をするではないですか!!皆考えている事は同じだと思いました。

しかし、家出に賛成したのは私だけでした。


ぎっちと私はチャリに乗り宛もなく走り出し、夜は学校の近くの公園のベンチをベッド代わりにして眠りにつきました…


蟻が体を這い回り、蚊が私の眠りを妨げます。初めて布団意外で寝ようしていますが眠れるわけもなく、ただ目を瞑っているだけです。

長い長い夜が明け、私達はほぼ同時に起き上がりました。恐らくぎっちも眠れなかったのでしょう。


「腹減ったぁ〜」


私はお金がありません。この当時まだ24時間のコンビニが無く、飢えを訴えているとぎっちが立ち上がり

「おっしゃー行くか!!」

「どこに?」


私は思わず聞いてしまいました。恐らく今の時間帯は朝の5〜6時頃です。


「いいからついてこい!!」


疑問を抱きながらもチャリを走らせ、いつも溜まっている団地のスーパーの前に行きました。


そこには無造作にカバーがかかったケースが積んであります。ぎっちはカバーを外しケースの中覗いて物色しています。私も中を覗くと、なんとケースの中はパンがぎっしり並んでいるではないですか!!


これが俗にいう『朝パン』というやつです。


しかし、何でこいつ(ぎっち)はこんな事を知っているのか?今でこそ疑問に思いますがこの時は腹が減っていた事もあり、がむしゃらにパンを口に詰め込みました。


お腹も満たされ、またチャリに乗り隣の校区にある大きめな公園に移動しました。

「これからどうする?」


などと話をしていると目の前で車が1台止まりました。

するとぎっちが…


「ヤバイ親父や!!」


車から出て来たおっさんに意図も簡単に捕まり、家に連れ戻されました。


「………」


暫くぼぉ〜っとベンチに座り蒼空を眺めます…


「………」


「帰っか!!」


こうして私は家に帰りました。たった一晩だけではありましたが凄く楽しかったのを覚えています。


家ではおかんがぶち切れていて1週間の謹慎処分が待っていました。



ーおさらいー


検証

パンパンの灰皿


検証

吸殻をティッシュにくるんで捨てたのは?


検証

私は自分が吸ったタバコをちゃんと消したのを確認済み


検証

何故か被疑者は私?


検証

犯人は誰?

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