中学生 14才編 〜バイク・バンド・ケンカ〜
中学2年生、この頃から私に対する周りの見方もだんだんと変わってきました。
廊下を通りかかった時に私が目についたのか、女子が珍しくも私の話をしていたのです。
「なぁなぁ知ってる?神道ってケンカ一番強いらしいで〜」
「あっ、それ知ってる!!この間○○が言ってたもん!!」
(おっ!?俺の話題やん!!こんな事もあるんやなぁ〜)
こんな事を考えていました…なぜなら、私は今までの人生、モテた試しがなく、また女子とまともに話した事もなかったからです。
実際、この頃の私の体型は小学生時代の小デブちゃんではなく、バスケのお陰で素晴らしいスマートな身体を手に入れていました。古くから私を知っている人は皆口を揃えて変わったなぁ〜と言うくらいです。
しかし気になったのは、いつの間にか、私が番長扱いになっている事です。
同学年で一番誰が強いかのバトルは勿論、ケンカが強いと言われている奴ともケンカすらしていません。
何故こんな話になっているか意味不明!!道理で最近なんか避けられているような気がしていたんです!!
〜14才編〜
ーバイクー
ある日の出来事
「なぁええ事教えたろか?」
不意にうっちーが問い掛けてきました。
「んん〜?なに〜?」
休み時間に爆睡をこいていた私は眠たい目を擦りながら聞きました。
するとうっちーは嬉しそうに
「実はな、今日いいもん(良い物)拾ってん!!」
「ふ〜ん、っで何を拾ったん?」
満面の笑顔でうっちーはブレザーの中ポケットから1本のカギを取り出した。
「じゃ〜ん!!原チャリのカギ〜!!」
「うぉっ!!まじか!!」キー付き(カギの取り忘れでカギがつけっぱなしになっている事)やんけ!!ええもん(良い物)拾ったやんけ!!今度乗らしてや〜」
※ここで言う拾ったとは窃盗の事です。
そして次の日曜日に何時もの溜まり場『オオボク』に仲の良い連中が集まり、うっちーの登場を心待ちにしていました。
オオボクは駄菓子屋兼喫茶店で店の向かいにはベンチがあり、お菓子を買ってはそのベンチで食べる事が出来る画期的な場所である。しばらくすると遠くの方から原チャリの音が近づいてきました。
うっちーの登場です!!
当たり前の様にノーヘルです。
みんな玩具を買ってもらう子供の様に我先にと原チャリに跨がります。やはり1番手はぎっちです。
今までに乗った事があるのか、すぐに乗りこなし車体を滑らせて止まる高度テクニックを披露しています。
次にマチャ、天性のセンスが光ります。
そして私の番…
「大丈夫か?乗った事あんのか?」
周りが心配しています。
「大丈夫、大丈夫、昔乗った事あるから!!(嘘)」
緊張しながら原チャリに跨がり、ハンドルを握ります。
そしてアクセルをフルに回します!!
皆さんの想像通り私はそのままぶっ飛びました。
勿論、ゴミ箱に突っ込むベタベタなオチ付きで…
今となっては笑い話ですが当時その瞬間は盗難車と言う事もあり、全員猛ダッシュで逃げました。
ただ一人うっちーだけは冷静に原チャリを起こしてブモォ〜っと退散していきました。後でまた集合したときは皆にボロカスに文句を言われました…
ーバンドー
とにかく何でも新鮮、何でも興味有りの私は、ながちん、マチャの誘いもあり、この頃から音楽(楽器)を始めました。
当時は凄いバンドブームでエッ○スジャパンやらルナ○ーやらが大暴れしている時代です。私も例外なくバンドにハマリ、当時もうすでに解散していた伝説のバンドBO○WYに熱を入れていました。(遅いっつーの!!)
しかし、やっぱり私はダメダメなんですねぇ〜皆ギターに行くもんだから、ノリで俺ベースがいいって、おいっ!!どんな音がするのか曲のどの部分の担当なのか、まるでわかっていなく、知らないまま、おかんにねだって安物の無名ベースを買ってもらった!!
チューニングをながちんにしてもらい(一足先にギターを購入し、ながちんはマチャと共にギター教室に通っていた為、チューニングくらいは楽勝でした。因みに私は未だにチューニング機会を使わないとチューニング出来ないダメ男君です)
そして、初弾き…ダァーン!!
「???…だーん?」
想像ではギターみたく高音が鳴るかと思っていた為、ダァーンというベース特有の4弦の解放音はかなりの衝撃だったのでした。
(う〜んっイメージで言うと三味線かな?)
しかしへこむことなく、このベースという楽器に私はハマリました。だって、奥が深すぎる!!低音からくる重低音!!そしてリズム!!更にはメロディーまで担当するのだから、各有名バンドのベーシストがいかつくて、カッコイイのが頷けます。(関係ないからね)そうベースはいかつい奴がやるべきだと悟りました。(こじつけです)
ひとまず買ってきた初心者用のやさしいベースギター入門編なるもので、フレットやコード、タブ譜(曲の譜面をその楽器専用に書き換えた物)の読み方など初歩を覚えます。
そして練習曲を何度も弾いて練習しますがこの練習曲、知らない曲なので正しく弾けてるのか、まったく解りません…
ベースというのは基本リズムなので初心者では正しいかどうかすら解らないのです。
私は諦めて、BO○WYのスコアブック(楽譜)を買いに行く事にしました。
店頭に並ぶスコアブック(楽譜)でBO○WYのビートエモーションを手に取ります。
…たっ高い!!
1000円位で足りるかと思っていた本の値段はなんと3000円!!
手持ちは3200円ほど、1時間くらい思い悩んだ末、有り金をはたきスコアブックを入手しました。
これではれて練習が出来るとルンルン気分で家に帰り、いざベースを弾いてみると今度は…
むっ難しい!!
鬼のダウンピッキング松井には程遠い龍也だったのでした。
ーケンカー
類は友を呼ぶ
まさにそう、私を含め、周りの連れ達、一緒に遊ぶ先輩達、皆揃ってヤンキーという生き物は皆バカである。
なぜか?
それは物理的に不可能な全国制覇なるものを夢見て日夜ケンカをするのです。私達も例外なく、そんなバカな夢を見ていました。
小学校時代のあんまり仲良くなかった奴等が急にイチビリだしたりし、調子にのって他校にケンカを売ったり、カツアゲをし出しました。
私達のグループは基本自分からは他所にケンカを売ったりしなかったのですが、こいつらは(仮に私達のグループを本家本元のAグループとして、彼等を偽者Bグループとします)本気で全国制覇を狙い出し(だったらまず私達のグループを潰せよ)わざわざ他校にケンカを売りに行きました。
そして隣の学校とケンカになり、何故か私が助っ人参加する事になったのです!!
人数は5対5、このBグループは私を入れて4人…1人足りません。そこで私は後輩の1人を連れて行くことにしました。この後輩は私と同じエリートヤンキーの部類で兄は私の兄(次男)と同級生!!しかもかなりの化け物です。
ケンカ場所に行く道中、私は後輩にケンカは気合いや、全員蹴散らせとだけ伝え最終は俺が動くと、意味不明に大物振りを発揮し、ケンカ場所に到着しました。
そこにはもう既にBグループの3人と他校の5人がいます。
(ん?なんか真面目くさい連中が…)
「お前等か?俺等にケンカ売ってきた奴は?」
(逆です)
私が確認の意味を込めた言葉に1人が頷きます。そして何やらコソコソ話をし出しました。
どうやら彼等はケンカを売られて、人数を揃えて来たものの、1人を除いてはケンカ等したことありません的な発言をし、尚且つ負けを認めるんでこの人をこのケンカから外して下さいと言う始末…
外された相手は…私!!
最早何をしに来たのか分かりません。彼等の1人を除いてはやる気がないと言うより、無理矢理連れて来られたオーラを出しています。
そんなダレダレな雰囲気の中、こちらサイドでやたら殺気を放っている奴がいます。
…後輩君です!!
何故か彼だけキレているのです。こう側の1人だけやる気の自称1番ケンカが強い君が気にくわないみたいで今にも飛び掛かりそうなほどっておい!!
…言うてる間に殴りかかってます!!
さすがと言うべきか、中々ケンカが強いですね〜
ラッシュ、ラッシュで圧倒的に押しているなか、ハイキックで決めにかかろうとした瞬間!!
…ズルッ!!
そう、このケンカをしている場所は地元にある小さな山の頂上、某遺跡の跡地である。当然、下は滑りやすく水分をたっぷり含んだ土で、普通に歩いても足を滑らすくらい足場が悪い状況のなか始まったケンカ…
知っている人は分かると思うが素人のケンカはコケるとほぼ負けである。運良く立てたとしとも相当なダメージを与えられる。下手したら、マウントポジションをとられてタコ殴りなんてのもよくある話…
勢いよくズルっと、コケた後輩君はボコボコにされるが見事に立ち上がり、ファイティングポーズ!!
その時、相手が降参!!
「もう俺等の負けでいいからやめようぜ!!」
「ふざけんなやっ!コラァー!!」
と、後輩君は納得がいかない様子…
それもその筈、彼はコケた時、タコ殴りにされてますから…
しかしそんな願いも虚しくケンカは終了〜
見事1校目を制覇したのでした…
(後にこの学校、私達の影響で凄い数のヤンキー学校になります。)
この件を境にBグループは見境無しに辺り構わずケンカを吹っ掛ける始末…
そして、2校目のケンカのアポを持って私の所へやって来ました。
正直面倒くさかったのを覚えています。
また5対5のケンカで対戦相手は近くの学校です。
橋の下のよく浮浪者が段ボールで家を作るような場所でケンカスタート!!
Bグループの1番強い奴と向こう側の1番強い奴とでタイマンです。今回も高見の見物が出来るかと思い行く末を見ていると、中々始まりません。
「おいっ!早くやれや!!」
中々始まらない事に痺れを切らした私は声をかけますが…
「俺、こいつの顔殴られへん!!」
「はっ?」
この生き物は何を言っとるんだ?
理解がまったく出来ません。だって自分からケンカを売って始まったケンカである。そんな人間が自分からケンカ拒否??
わからん!マジでわからん!!
仕方無いので代わりに私がケンカする事にします。
「お前もう帰れ!!代わりに俺がやるわ!!」
実はこの時、かっこいい倒し方を思い付いたので実戦したくてしょうがなかったです。
その倒し方とは相手の髪の毛を掴み、そのまま相手を前屈みにして顔面に膝蹴りである。決まれば一撃必殺だが素人が思いつきでしかも練習無しの実戦で決まる訳がない!!
そんな簡単な事に気付かずに私は…
(ふっふっふっ見とけよ!一発KOを見せたるわ!!)
舐めてたのか、調子に乗っていたのか、分かりませんが実戦!!
まず右手で髪の毛キャッチ!!
予定通りです。しかしその瞬間…
ドスッ!!
私の右頬に相手の左ストレートがまるで待っていたかのようにカウンターで入ります。
予想外の一撃に私は右手を放し体勢を整える為、距離をおきました。
そして再び相手の髪の毛を掴みます。
…そのままタコ殴りになったのは言うまでもありません。しかもこれが人生初(同じ歳でね)の敗北です。(ちゃんとやれば勝てた試合だったと思います)
そしてBグループもこの件を境に他校にケンカを売らなくなりました。
バイク、バンド、ケンカ(ヤンキー)実は全て女の子にモテたいが為に始めた事でした。その甲斐あってか、私にも彼女が出来たのです。
彼女は幼なじみの子で小学校の頃はきんくんの妹(家が隣)とばかり遊んでいました。中学生になり、私達のグループに混ざり一緒に遊ぶようになり暫くして彼女からの告白です。正直驚きましたがすぐにOKの返事を出しました。
一緒に学校から帰ったり、夜電話したり、手紙を貰ったりと今思えば、なんて甘酸っぱい事をしていたんでしょうね〜
しかしこの頃の私は友達と遊ぶのが凄く楽しくて、彼女を蔑ろにし、そのまま自然消滅という最悪なパターン!!チューも何も結局してません。付き合った期間も3ヶ月程です。
この最低男は何も学習せずに同じ事を繰り返していきますがそれはまたのお話で…