file.4 夜明けの狭間
前回のあらすじ
影の追葬との戦いに挑む春咲達、押しつ押されつの攻防の中、一度は倒れたかだんが新たな力を持って追い詰める…それでも暴れる影の追葬に援軍としてきた名織も合わせてついにかだんの一撃をくらわせ勝利する。そしてそこには新たな謎が残るのだった…
句崇刃「まだかかるのか?」
鷹矢凪「まだもう少しかかるな…」
句崇刃「……何やってるかは教えてくれないのか?」
鷹矢凪「探偵なのだろう…少し話がてら解いてみるといいのではないか?」
…句崇刃「…舐められてるのか、それとも実力を測ろうとしてるのか」
鬼沙羅「どっちにせよ普通に話してくれるような話じゃないのかもしれないし…」
句崇刃「まあまだかかるなら話聞いて損はないか…話してもらうぞ」
鷹矢凪「そうだな…まずは最初の方から話そうか」
そうして鷹矢凪の回想が始まった
元々鷹矢凪は躯体位・ラッドRASの孤児だった。その頃は〜〜〜〜〜の定期的な崩壊の余波でいつもより荒れていた、他の区からの支援もあったがそれも取り合いになるほどだ。鷹矢凪は奪い合ってきた食糧や諸々を仲間内で分けるくらいにはなんとかなっていた、しかしそれをよく思わないものは往々にしていた。その後徒党を組まれ襲われて食糧を失った鷹矢凪達は仲間を失いつつあったがある女性に助けられる…
〜一時回想終了〜
句崇刃「なるほど…その女性は彼方さんだな」
鷹矢凪「ほう…?どうしてそう思う?それこそ鬼姫の母方の可能性もあるし全く関係のない人かもしれないぞ?」
句崇刃「そういう可能性もあるだろうが、俺に取っておばあちゃんに当たる人間はまずありえねよ。いろいろ調べてみたが母さんがそもそもラッドRASでは珍しい良家の令嬢だ、そんな家がいきなり孤児を複数人拾うようなことがあればまず知れ渡るだろう。でも過去の資料を読み漁ったところそんな事実があった形跡はない、そしてそもそもそうじゃない人間に孤児を引き取っている余裕はない。」
鷹矢凪「じゃあどうして彼方さんだと思ったんだ?」
句崇刃「それは彼方さんが母さんよりももっと階級が上の、それこそ区の代表を張っている家柄だったからだ」
鷹矢凪「区の代表のことまで既に知っているか…そう簡単な情報ではないはずだがな」
句崇刃「胤波さんがある程度の情報も渡してくれたからな」
鷹矢凪「……あの女、余計な真似を…罪滅ぼしのつもりか…」
鬼沙羅「?」
句崇刃「話を続けるぞ、4つの区にはそれぞれ代表の家系があってラッドRASには躯鷹家がこれに当たる、彼方さんの旧姓がそれに当たるのも確認済みだ。」
夜鬼嶋「ですが区を納めているだけ今の話と何の関係があるのでしょうか」
句崇刃「区を納めている分、区内での特権みたいなのがあったんだろう、実際今の話のことがあったということを本人から聞くまでは知らなかったわけだしな。」
鷹矢凪「概ねその内容であっている、拾われたのは確かに彼方さんだった。話を続けよう」
〜回想再開〜
そうして躯鷹彼方に拾われた鷹矢凪達はしばらくその豪邸で暮らしていた。その後、独立し各々色々な仕事に就きしばらく経っていた…
鷹矢凪は主に護衛の仕事をしていた、危険な区なのでかなり重宝される仕事だった。
ある護衛の仕事の時、鷹矢凪は鬼姫と出会う。それから親睦を深め、いつの間にか結婚することになっていった…
そしてその後にあの事件は起こってしまう…
〜一時回想終了〜
鷹矢凪「この後に起こること…お前には見抜けるか?」
句崇刃「……バテン・ガイストか」
鬼沙羅「…ばてん……?」
夜鬼嶋「バテン・ガイスト、かつて4区全てを脅かしたといわれている区伝説の一つといわれていますが…そもそも存在しているかすら…」
鷹矢凪「その存在…どこで知った?」
句崇刃「室伏から教えてもらったことがある、あいつの歴史チャンネルではそういうのもたまにやってたみたいだしな」
鷹矢凪「なるほど…あの小娘か…確かに一度、出会っているんだったな」
句崇刃「実際は都市伝説扱いではあるんだろうが…実際あったことなんだろうな…」
鷹矢凪「なぜそう思う…」
句崇刃「あいつの動画を見ればわかるが都市伝説にしては詳細が細かすぎる…それこそ誰かが体験したことを話したといっても遜色ないぐらいに詳しい。他の都市伝説は詳細があやふやなことやそもそも突飛すぎて現実に起きえないことが出てくるのが大半だがこのバテン・ガイストだけはそういうのがない…だから怪しんではいたよ」
鷹矢凪「そうだ…このバテン・ガイストというのは実在する、俺もこの目で見たことがある。当事者だしな」
夜鬼嶋「それが鬼姫さんの今の状態と何か関係があるのでしょうか?」
鷹矢凪「そうだな…もう少し話を続けよう」
〜回想再開〜
ある日、このイストリアの地にバテン・ガイストが現れた。バテン・ガイストは各区を荒らしにかかり、実際に少ない区でも10%、酷い区だと50%もの被害を出していた。このままだとまずいと思った4区は緊急の招集会を開いてどうするかを協議しあった結果、区から代表者を出して討伐に向けて行軍することにした。そしてラッドRASからは鷹矢凪譲疾、句崇刃鬼姫、瑞膳・アザルディからは名織信館、雀遜・ケルマイからは室伏雁斎その他大勢のチームアップでバテン・ガイストの討伐に向かった…
そして皆の活躍もあり後一息まで追い詰める方ができたが、バテン・ガイストが放った呪いによって鬼姫が危篤状態になるが、思ったより効かなかったことに一瞬動揺したバテン・ガイストの隙をついて倒したかにおもわれたが…
バテン・ガイストを倒すにはラッドRASの根源の鬼の力が必要だった、それを持っているのは鬼姫だったため苦し紛れにバテン・ガイストが放った呪いが運が悪く当たってしまった状況になってしまった。そうして仕方ないこととはいえ封印するにとどまってしまった…
その後、新たにcome me区が出来上がり、バテン・ガイストからの目を掻い潜りながらいろいろな出来事が起こる
〜一時回想終了〜
鷹矢凪「この話の間の中で俺が問いたいことは二つ…そもそも何故バテン・ガイストが現れたか…そして何故鬼姫が狙われたのか…」
句崇刃「……両方とも内通者がいたで説明がつく。問題はそもそもどうやって内通者がいたかを証明するかだが…」
鷹矢凪「この謎がわかるか息子よ…」
句崇刃「…この際呼び方についてはもういいか…でもどの区から内通者が出てるかはわかっている、それは榊史羽・カラガタだ」
鬼沙羅「なんでなの?」
句崇刃「さっきの回想の中でそもそもカラガタについてだけは言及されてない、それに残りの区で名前が出てるのは俺たちも知ってる2人、師範代と室伏の爺ちゃんだ。そうなると…もしかして内通者はカラガタの代表者だったりするのか?」
鷹矢凪「……そうだ、今でもアイツの顔や発言を思い出すと怒りが湧き上がりそうだ…」
静かな声だが突風が少し吹き荒れ険しい顔をした
句崇刃「そんとき何があったかまでは流石に推理しきれないが、そういう顔するんだな。少し見直したよ」
鷹矢凪「当時のカラガタの代表は自分本位なやつでバテン・ガイストを呼び寄せたのも元より邪魔な残りの区を排除して統一するためだった。鬼姫の力のことも知ってたから回想では苦し紛れにといったが今だとそもそも作為的だったことはわかっている…でも当時は止めることができなかった…」
夜鬼嶋「…………」
鷹矢凪「話に戻ろう…これで最後だ」
〜回想再開〜
そうしてバテン・ガイストが封印されて数年後…鷹矢凪と鬼姫の間に子供が産まれる…本来は根源の力は鬼姫が持ち続けるはずだったが、既に呪いが進行している状態だったため、呪いと根源の力の両方を抱え込むことにリスクがあった…鷹矢凪はどうにかできないかいろいろと試行錯誤したが特に有効な手立てを立てられないまま出産の日になってしまう…
このままでは出産の体力消費の影響で死別すらありえたが、原理がわからないが出産時に根源の鬼の力だけが子供である句崇刃に渡ってしまった。そして呪いによる衰弱と出産の疲れによって鬼姫は倒れて意識がなくなった状態になってしまうが、一命は取り留めた。
鷹矢凪は妻の一命の取り留めに安堵しつつも息子にいつかくるかもしれない重い使命を負わせてしまったことに後悔を覚える…
そうして鷹矢凪は句崇刃を信館の元に預け、自分はフェルヴェーレングを設立してバテン・ガイストの討伐へ再び舵を切るのだった…
〜回想終了〜
句崇刃「フェルヴェーレングはバテン・ガイスト絡みの組織なのか…ハイエンミュラーとかもそうなのか?」
鷹矢凪「そうだ、ヤツは元々博物館の館長だったがいつしか落目になっていたところを俺が拾ったんだ、あのとき近くでバテン・ガイストを見ていたからかバテン・ガイストの影響を受けた人がなんとなくわかるようになってしまったんだ。それがあったから今こんなことしてるんだけどな…」
鬼沙羅「……でも、句崇刃君からはなれる必要はあったんですか??それこそ私の両親が残したものや師範代と協力してやってもよかったんじゃ…」
鷹矢凪「君の両親の話はしてなかったんだが…」
鬼沙羅「気になって実家に戻って倉を探しているときに両親が残した巻物を見て…私の両親はやっぱり…」
鷹矢凪「……あぁ、バテン・ガイストとの戦いで既に…」
鬼沙羅「……そうですか」
鬼沙羅が泣きそうになるが夜鬼嶋が肩に手を乗せ宥める…
鷹矢凪「ちなみに君の両親が残したものは既に息子に使ってある…」
句崇刃「そうなのか…?」
鷹矢凪「影の追葬と戦った時に一回瀕死の重体になっただろう…本来であればアレで死んでいたぞ」
夜鬼嶋「は…?なんて危険な相手を句崇刃君にぶつけてるんですか!!」
鷹矢凪「すまない…アレは俺にも制御が難しくてな、それに時間がなかったから残してもらったアイテムに賭けるしかなかったのも事実だ」
句崇刃「それで結果的には助かったわけだが…結局何だったんだ?」
鷹矢凪「似魂の救枝ってやつでな…似力が発現してない時に危険に陥ると似力が発現して一時的に力と回復を得ることができる代物なんだが…ピーキーすぎて結局使うことなかったやつをお前に託してたわけだ」
句崇刃「それが結果的に本当の似力である鬼魂体の発現になったわけか…」
鷹矢凪「そうだ…話が逸れたな、俺が1人で他の仲間を集めてこんなことしたのはバテン・ガイストが執着の強い化け物だからだ」
夜鬼嶋「つまり危険な相手を執念深く追い詰めたりってことでしょうか」
鷹矢凪「そういう感じで構わない、ヤツが一番に執着するのは絶対に鬼姫だ。だが今は衰弱しているため保護して手を出させないようにしてる、そうなるとヤツが次に執着するのは…」
句崇刃「父さん…アンタになるのか、つまり周りを巻き込まないためってわけか」
鷹矢凪「…初めて父さん….と呼んでくれたな」
句崇刃「そりゃ最初はなんでだよとは思うことばかりだったけど、ちゃんと理由があったし俺のことを大切にしててくれたのは状況証拠から疑いようがないしな」
鷹矢凪「…ありがとう、でも俺を許さなくていい。結果的にはお前を捨てたことに変わりはない」
句崇刃「そりゃ、俺が決めることだ。それにしてもバテン・ガイストを倒すためとはいえ倒れたフェルヴェーレングの奴らはどうするんだ?」
鷹矢凪「それは秘策がある、影の追葬はともかく、ハイエンミュラーもきっと衝突の果てに死んでしまうかもしれないだろう…そいつらを復活する大事な手はちゃんと持ってるさ」
句崇刃「そりゃよかったぜ」
鷹矢凪「…ついたぞ、俺から最後に頼み…依頼がある」
句崇刃「……聞こうか」
鷹矢凪「俺と一緒にバテン・ガイストをこの世から消し去って…そして鬼姫を、お前の母さんを救ってくれ」
その声は覚悟の決まった声だった
句崇刃は父の肩を叩き…
句崇刃「任せとけ」
ハイエンミュラーと影の追葬が倒され、鷹矢凪と句崇刃達は最後の場所へ向かう…それまでの時間で推理という体で過去のことを語る鷹矢凪、それには鬼姫との出会いや過去に現れたバテン・ガイストの壮絶な戦い、そしてその結果、命を落とすものや鷹矢凪が息子の元を離れた理由を知る。句崇刃は全てを受け止めて父の鷹矢凪から依頼されたバテン・ガイストの討伐に足を踏み入れる…
file.5に続く…
come・me区に語り継がれる伝説その2
ヤツを信じるなヤツを信じるなヤツを信じるなヤツを信じるなヤツを信じるなヤツを信じるなヤツを信じるなヤツを信じるなヤツを信じるなヤツを信じるなヤツを信じるなヤツを信じるなヤツを信じるなヤツを信じるなヤツを信じるなヤツを信じるなヤツを信じるなヤツを信じるなヤツを信じるなヤツを信じるなヤツを信じるなヤツを信じるな