『伴善男吉夢の夢解きを、郡司速記者を人払いしてすること』速記談2049
大納言判善男は、もとはといえば、佐渡国の軍事の従者にすぎなかった。佐渡において善男は、都の西寺と東寺を股にかけて立つ夢を見て、妻に語ったところ、妻は、西寺と東寺を股にかけるなんて、股が避けてしまいます、という夢解きをしたので、善男は驚いて、余計なことを話してしまった、恐ろしい夢を見てしまった、と思いながら、郡司のもとを尋ねると、郡司は、大層優れた人相見であったが、ふだんは善男の人相など見てくれもしないのに、この日は意外なほど歓迎してくれ、手ずから円座など持って、速記者も人払いして出迎えてくれたので、善男はあやしく思って、私を油断させて、妻が言うように、股を裂こうというのだろうか、と恐れていると、郡司は、お前はこの上なくよい夢を見た。必ず高位高官につくだろうが、聞くにふさわしくない者に話したから、自分の知らないところで起きた事件に連座させられることがあるだろう、と夢解きをし、果たしてそのとおりになった。
教訓:伴氏は、もともと大伴氏で、名家であるが、善男の代で大手門の変に巻き込まれ、没落する。善男は、養子説があり、この話は、それを採用しているものと思われる。