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閑話休題

さて、一回どうでもいい即興の話を混ぜます。


ちなみに今回出てくるキーワードが今後重要な複線になるかと言えば、それはないでしょう。多分ね。

藤堂が狂ってからさかのぼること3時間前の豊島区内警察署。資料室にて。




木村

「倉島さん、藤堂って子、信じられますか?」


倉島

「わからん。恐怖が記憶を混乱させていると考えることもできるだろう」



木村は手にしたコーヒーをすする。

倉島は足を机に投げ出して座っていた。

木村がそれをマネしようとしたら、資料室のイスは、キーキー音を立てて抗議した。丈の短いスーツから見えた足は汚い。


木村

「じゃあやっぱり、あの少年の言うことは丸飲みできないッスね」


倉島

「短絡的な考え方はよせ。言っていることと、そいつの信用は全く別問題として考えた方がいいだろう。何しろ彼は殺される恐怖を味わった。そこから脳が記憶を操作して、彼にとってショックでないように変えたと考えるべきだ。だとすれば、彼は妄想癖でも虚言癖でもない。信用はしてやれ」


木村

「でもあの頃の年代って、まず目だったり、自分がトラブルに関われるワクワクって言うんですか?そんなものに支配されている年代じゃないですか?」



つまり、いわゆる厨二病ッスよ。と、木村は分かったような風に語る様を、倉島は咎める気にはならなかった。勿論その可能性もあるかもしれない。それは倉島自身、過去の少年犯罪に関わったときに感じている。あの年頃の子供の言うことは、大半が大げさであり、真剣に聞くものではない、と。だが倉島は、彼らの虚言の中にも、大なり小なり真実が見え隠れするということを知っていた。あながち全部が全部嘘じゃないのだ。


倉島はインスタント珈琲の水面を見て考えている。


もし彼の記憶が全く正しいものだとすれば?


そうすれば、アカマントとかいう怪人が、池袋をのさばっている事になる。



木村

「にしてもケッサクですよね(笑)赤マント、だなんて(笑)」



倉島が訳も分からず呆けていると、木村は「都市伝説ですよ」と教えてくれた。ネッシーとか、その類なんだそうだ。だからこそ木村は、信憑性が薄いと踏んでいるようだ。



倉島

「赤マント・・・ってのは、実際には存在しなかったのか?」


木村

「あー・・・確か元の事件はあったような気が・・・」



木村は「ちょっと待ってくださいね」と言って、資料室の右端にあるパソコンで、いくつかのサイトを開いて調べだした。それによるとどうやら、創作話と、実際に起きた変質者の事件とが同一化してしまったため、そんな都市伝説が産まれたらしい。


倉島

「もしかしたら、気が狂った殺人鬼が名乗ってるだけかもな」


木村

「その線ッスか・・・」



木村は納得はしていないようだ。

藤堂は目頭を押さえる。手がかりがない。証言もあやふや。得体のしれない犯人。成果の出ない聞き込み。完全にお手上げである。

(こんな時、先輩刑事はなんて言ってたっけか・・・)

倉島は、そんなことを思ううちに睡魔に誘われてしまった。5分だけ。そう決めるのに、意識は間に合ったかどうか。



そんな倉島を余所に、木村はネットサーフィンに夢中になっている。赤マントというキーワードから、色々なオカルトサイトに飛んでまわっているのだ。


机の上の珈琲が冷めるまでネットで遊んでいた彼は、ようやくサーチエンジンで調べた結果の2ページ目を開いた。まだ仕事と遊びの境目がわかっていない男である。


上から何行か調べていくと、その検索結果の6つ目に、大学院生の論文が載っていた。



木村

「赤マントで・・・論文・・・?」



論文自体がとても古く、内容はPDFで公開されていない。だが、概要は簡略して書いてある。

『本実験は、人間の深層心理内に、もう一つの人格を意図的に作れるかどうかを検証する』

どうやら怪しげな内容だが、何故赤マントというキーワードでこの論文がヒットしたのか、木村には良くわからない。ぺージのソースを見ると、最後の検索用キーワードの中に、「赤マント」と入っている。制作者は、何故ここに赤マントという文字を足したのだろうか。流石の木村も、この実験が今回の事件と関係があるのではないか、というところまでは考え至ったが、多重人格と赤マントを繋げる明確な手がかりは手元になかった。



木村

「犯人はもう一人の藤堂君だった・・・そんな三文マンガみたいな展開はないだろうな」



木村はとりあえず論文が、何処の大学の院生のものか調べることにした。するとそこは、木村の母校でもあった。おまけに実験の担当教員は、木村がかつて所属していたゼミの先任であり、木村自身何度か会ったことがある。

 これは大きな手がかりになるかもしれんと木村は鼻息荒く研究員の名前をメモする。もしかすると、自分はこの事件を解決できるかも知れない。そうすれば、評価は一気に上がり、今度の昇進試験も通るかも知れない。そうすれば、倉島と階級も同じになる。木村はいつも半人前扱いをする倉島を出し抜いてやろうと寝ている倉島はそのままに、一人で母校へと向かった。


交通課の前では、同期が綺麗な他部署女性警官と話している。木村がちょっかいかけようとすると、シッシと追い払われた。いいさ。無能は一生ヒラでいればいい。俺はもっと偉くなってやるんだと、ひねたモノの考え方をして、木村はメトロの駅を目指した。

さて、相変わらず更新速度が遅いです。反省せねば・・・

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