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コツ。
コツッ。
授業中、頭にちぎった消しゴムがぶつけられる。
大貴のヤツだ。
前まで「やめろよ」と反応していたけれど、先生がぼくばかりを「集中しなさい」なんて言うから、今では投げられっぱなしでガマンしている。
一度、じいちゃんとばあちゃんとお母さんに相談したけれど答えは
「相手にするな」
「無視すればいい」
とか言うだけで、本気になって心配してくれない。
それ以降、ぼくは相談するのを止めた。
仮病をして学校を休もうと思ったけれど、ばあちゃんとじいちゃんが「休むならしっかり休め」とゲームをさせてくれない。なにより、看護師のお母さんはすぐにウソだって気が付く。
「ヘンなの~」
不意に聞こえた女子の声に、ぼくは振り返った。
「何がヘンなの?」
「別に。ヘンなのはヘンじゃん」
ぜったいぼくに言ったのに、イジワルな女子は「ヘン」とぼくにむかって言うだけで、何が「ヘン」なのかを教えてくれない。
ヘンなのはどうやらぼくらしいことは分かったけど、それはきっと、大貴が何か女子たちに言ったんだ。
学校なんて行きたくない。
明日なんて来なければいいのに。
家に帰って、ゲームをして、暗い気持ちのまま、ご飯を食べて眠った。
お布団はあったかい。
きっとばあちゃんが干してくれたんだ。お日様の匂いを嗅ぎながらぼくは目を閉じた。