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ボクはいつもより少し遅い時間に寝た。
大貴や陸君のことを最初から話をしていたから時間がずれてしまったんだ。
お母さんもばあちゃんもじいちゃんも、今度はぼくの話を止めず最後まで聞いてくれた。
「男になったな」と、じいちゃんは言い。
「大変だったね」と、ばあちゃんは言った。
お母さんは涙ぐんで頷きながらぼくの話を聞いていた。
だから、マリとシャロに夢の世界で「お別れだ」と言われた時、ぼくはおどろいて何も言えなくなってしまった。
「だって、”もう明日が来なければいいのに”って思わなくなっちゃったでしょう?」
マリの言うとおり、学校はまたぼくの楽しい所に戻った。
「ジャンも、クラもタイキクンの夢から出ていくそうだ」
あいかわらずカサをさしながらシャロが言う。
「ぼくたち、もう会えないの?」
ぼくの問いにシャロはうなずいた。
「そうだね。君の人生を最悪に変える事件が起きない限りは」
「それは――……」
会いたいけれど、そんなことが起きるとなると、素直に喜べない。
「じゃあ、行きましょう。シャロ。私の可愛い夢主が待ってるわ。次はこうはいかないわよ」
黙ってしまったぼくを無視してマリが明るくそう言った。
「お手柔らかに頼むよ。マリ。人は真実よりも現実逃避を好むからね」
そんなことを言っている間にも、二人の体はだんだんと薄れていく。
「マリ! シャロ! 今まで本当にありがとう! ジャンやクラにもよろしく!」
ぼくがそう言うと、二人は困ったように笑った。
「本当に今回の夢主は珍しい」
目覚まし時計が鳴るより早く、ぼくは目が覚めた。
ぼくは着替えを済ませ、リビングへ行く。
「おはよう」
お母さんがびっくりしながら言う。
「どうしたんだ、和人。今日は学校休みだろ?」
新聞を折りたたみながらじいちゃんが言うので、僕はカレンダーを見た。
今日は土曜日、学校は休みだ。
「そんなに学校楽しみだったの?」
ばあちゃんに聞かれ、ぼくはイスに座りながら言う。
「当たり前じゃん」