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「……シャロ。夢繋ぎを使おうと思うんだけど、これはアナタの意思に反するかしら?」
ふと、マリがそう言った。
「本来なら反対するけれど――……、そうだね。今の彼には必要かもしれない。許可するよ」
マリの言葉にシャロが静かにそう言った。
二人だけ知っていることらしい、ぼくには言葉の意味が理解できない。
「二人は何の話をしてるの?」
「アナタがタイキクンの夢に入れるように、夢と夢をつなごうと思うの」
マリは少し悩みながら言った。
ぼくみたいにマリも言葉が見つからないらしい。それに助け船を出したのはシャロだった。
「夢というのは、記憶整理のために存在する。何を見て、聞いて、感じて、思って、それを大事なものだけ残すように整理していく。だから、彼がどんな気持ちで日々を過ごしているのか私と見に行こう、という話差」
けれど、そう言うシャロの言葉はどこか楽しそうに思える。
「大貴の夢を見る? それって……」
良い事? と聞く前にシャロ言う。
「良いも、悪いも無い。これは君の夢だ。このことを誰かに話したとて、信じない人の方が多い。どうする? もちろん、君は拒否することだって出来る。その時は、他の手段も――……」
「行く。行きたい」
シャロの言葉を遮って、ぼくは即答した。
「いいね。こんな事をするのは久々だ。しかも、こんな楽しい気持ちで同意を得られるなんてね」
嬉しそうにするシャロの隣で、複雑そうな顔をしたマリいる。
「ワタクシが彼の為に動きたいのに……」
マリはそう言いながら、棒のついた飴で地面をコンコンと叩いた。すると、音もなくクッキーで出来た扉が地面かr生えてくる。
「ワタクシは夢を繋ぐためにココに残るけど、気を付けてね。シャロは真実を見せるのが好きだけれど、そのやり方はあんまり良くないものだから」
「それってどういう意味?」
「さあ、時間が無いよ」
シャロは。ぼくの腕を掴んで言うと、クッキーの扉の向こうに歩き出した。