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今世紀最大のモテ期な人達。

セレスティアナ視点。

 ヴィジナード浄化行脚の旅の後、私は三日も疲れてほぼ気絶状態で寝てた。

 皆に心配したと言われた。

 ごめんて。


 更に目が覚めたら数日後にパーティーがあると言われた。

 そうか、国境防衛戦に参加した人達を労うのね。

 それとロルフ殿下は大公の爵位を賜るそうだ。


 しかしながら、起きて数日後にパーティーで社交とは、なかなかにハード。


 私はサロンのソファにもたれつつ、ユリナに問いかけた。

 私の左隣にはギルバートが座っていて、右横のソファにはユリナが座っている。


「リリアーナ王女」

「はい、ティア様」


「ゲースリ戦の戦勝記念パーティーがあるのですが、私の騎士かギルバート様の騎士から貴女のエスコートをする相手を選んで下さいませんか?」


 私はユリナの前にイケメン騎士達をずらりと並ばせて訊いた。


「え!? 庶民の私が!? パーティーに!?」

「中身はともかく表向きはリリアーナ王女じゃないですか、パーティーにエスコート無しでは格好がつかないので」


「ひえ……眩しい……こ、この中から私が選ぶなんて……」


 ユリナは並んでるイケメン達が眩しくて、日差しが眩しい人のポーズをとっている。


「じゃあ、好みのタイプとか無いですか? パッと見て選びにくいなら性格でも良いです」

「あ、あえて二次元的な好みで言うと、見るだけなら、参謀タイプと言いますか、主人公を影日向で支える二番手、腹心タイプ、しかも忠誠心の高い方とかかっこいいと……思います」


 恥ずかしいのかリアルよりも二次元的な好みを持ち出した。

 この人、実は私と同じオタク系なのかもしれない。

 でもなかなか良いチョイスだ。


「今のが観賞用、見るだけの好みのタイプなら、実際に付き合いたいとか夫にしたいタイプとは別という事ですか?」

「は、はい」

「実際にお付き合いしたいとか、結婚するなら温厚タイプとかそういう感じ?」

「そ、そうです、それはやはり一緒にいて安心出来るおおらかな方が良いというか」


「忠臣タイプなら、ギルバート様の最側近のエイデン卿がおすすめです。

おおらか系なら、えっと、騎士系だとどちらかと言うと勇猛な方が多い気もしますが、人あたりが良く、平民にも気さくに接する優しい方ならチャールズ卿あたりですか」


 どう? 二択まで絞ったわよ!


「えっ……っ、究極の……二択……」


 ユリナは「はわわ」……って顔してる。


「私に姫君のエスコートは荷が重いです、エイデン卿、お願いできますか?」


 チャールズは自分から遠慮した。


「チャールズが辞退した。エイデン、どうだ?」

「私でよろしければ」


 エイデン卿は温かみのある、にこやかな笑顔を浮かべている。


「よ、よろしくお願いいたします、エイデン卿」


 ユリナもエイデン卿で承諾した。


「ユリナ嬢、そう言えば男性恐怖症だった理由は何だったのか聞いても良いですか?」


 私のソファの背もたれ越しの背後に今まで静かに立っていた護衛騎士のリーゼが突然、思い切りよく切り込んで来た。


「リリアーナ姫は昔から可愛くて綺麗だったので、色んな男性から想いを寄せられていました。

休憩室で待ち伏せていた男から怖い思いもさせられた事があり、恋のライバル達の言い争いから決闘まで発展して、その決闘でも人が死んだりして、大変ショックを受けたようです」


「決闘……」


 皆して、うわー、決闘まで行ってしまったか! と言う顔をしている。


「決闘の他も恋のライバル同士が不審な死を遂げる事もありました」


「そ、それは確かに男性が怖くなるでしょうね。パーティーのダンスの相手はどうしていたんでしょう?」


 素朴な疑問がわいたので訊いてみた。


「兄、もしくは背の高い女性の護衛騎士が男装してパートナーになってくれていた事も有ります」

「まあ! 男装の麗人!」


 思わずソファから立ち上がる私。


「セレスティアナ、ダメだぞ。座っていろ」


 ギルバートに腕を引っ張られて着席する私。


「ちょっと感激しただけですよ」

「それでなんでわざわざ立ったんだ」

「い、勢いです、ただの」

「そうか、ならば良いのだがな」


 ギルバートに疑うような目でじーっと見られてしまった。

 別に自分で男装して可憐な姫君のパートナーを務めようとか考えてないので、そんな目で見ないで欲しい。


「ドレスの用意が有りますね、一からの仕立てだと時間がかかりますので一緒にグランジェルドの王都のドレスショップに行きましょう」

「王都陥落でうち、多分財源が有りません」


 ユリナはそうぶっちゃけつつ、顔色を青くした。


「大丈夫です、今後ユリナに関する費用は全てこちらで持ちます。

基本的に私の従者と言う事になっていますから」


「あ、ありがとうございます。ティア様は三日も倒れていたのに、パーティーとか大丈夫ですか?」

「ええ、大丈夫です。三日も寝ていたので流石に回復しましたよ」

 

 日本人は大丈夫ですか? と聞かれたら、何となくだいたいキツくても大丈夫と言いがち。

 リナルドと猫をモフって後で充電しよ。



 * *


 ユリナのドレスは本人の希望で黒になった。


 ヴィジナードでは沢山人が亡くなったから、戦勝パーティーでもとりあえず喪服っぽい黒を選ぶのか。

 私は女神の使徒っぽさをアピールする為に白を着る事になった。


 そしてパーティーではヴィジナードの婚約者や夫を亡くした令嬢や夫人が多いせいか、独りになってしまった女性貴族達からグランジェルドの貴族や私の騎士とかギルバートの騎士がめっちゃモテてた。


 特に竜騎士、大人気。


 戦勝記念パーティーが婚活の戦場になっていた!


 ヴィジナードの女性陣から

「男性達が亡くなってとっても心細いですわ」風に縋られる男達……。


 確かに……それはそうだろうなと気持ちは分からなくもない。


 高位貴族の場合は次男以降がモテているみたい。

 家督を継げる長男等は既にほぼ同国内で婚約者が決まっている。


 あんまり高望みをするとグランジェルドの女性貴族陣から睨まれそうで怖いからか、とりあえず騎士がモテていたようだった。

少しでも面白いと思っていただけたら、評価のお星様を贈っていただけると嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
[一言] ユリナ様が幸せになれるようティア様が導いていくんですね。いい出会いがありそうです。( •ॢ◡-ॢ)-♡
[一言] >別に自分で男装して可憐な姫君のパートナーを務めようとか考えてないので、そんな目で見ないで欲しい。 お嬢は既に忘れていると思うけど前科がありますからね? しかも割と敵視していた学友を堕とし…
[一言] 楽しく読ませてもらってます^o^ ユリナちゃんの男性の好み、見た目なら…付き合うなら…の違い、うん!わかるわかる(笑) 元の世界では、通り魔に刺されたみたいだし素敵な人に守ってもらえたらい…
感想一覧
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