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神社の正殿に足を掛けたところで、着物の袖が強く引っ張られる。
文乃が、打ち掛けの裾に足を引っかけたか? 慌てた心で隣の文乃の綿帽子の方を向く。司以外おそらく誰も気付いていないが、文乃は意外におっちょこちょいな部分がある。だが、司の思考は、大きく外れた。
「山川君、いた!」
顔を上げ、紅潮した頬を見せた文乃が、再び、司の着物の袖を強く引く。
「どこに?」
「サッカークラブの友達の後ろ」
誰にも見咎められないよう、小さな声で尋ねると、小さな声がすぐに返ってきた。
確かめるように、辺りを見回す。正殿に入ってしまっているから、友人達の姿は既に見えない。でも、文乃が「いた」と言っているのだから、きっと透も、二人の結婚を見守ってくれているのだろう。
温かさが、司の胸に広がる。
文乃に好意を伝えることを躊躇っていた司の背を押してくれたのは、小学校の時から一緒にいた透。透がいたからこそ、現在の司と、文乃がいる。だから。
「ありがとう」
透の祝福が、嬉しい。
誰も居ない空間に、司は小さく、頭を下げた。




